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【格闘技】

尚弥、一撃KO 70秒殺、7連続KO、11KOのトリプル日本新

2018年10月8日 紙面から

衝撃の一撃KOを見せ、ガッツポーズをする井上尚(出月俊成撮影)

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◇WBA世界バンタム級タイトルマッチ

 ボクシングのトリプル世界戦各12回戦が7日、横浜市の横浜アリーナで行われ、WBAバンタム級王者、井上尚弥(25)=大橋=が、元世界王者のフアンカルロス・パヤノ(ドミニカ共和国)に1回1分10秒でKO勝ちし、初防衛に成功した。井上の戦績は17戦全勝(15KO)。世界王者ら8人で争うワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)でも同級準決勝に駒を進めた。WBCライトフライ級王者の拳四朗(26)=BMB=は元世界王者のミラン・メリンド(フィリピン)に7回2分47秒TKO勝ちし、4度目の防衛を果たした。

 たった1本の右ストレートで十分だった。挑戦者の腕をかいくぐるような左ジャブに続いて、この日初めて放ったストレートが、挑戦者の顔面をとらえる。かつてのWBAスーパー王者がスローモーションのように大の字に倒れた瞬間、1万人をのみ込んだ横浜アリーナが爆発するような大歓声に包まれた。

 開始からわずか1分10秒は、日本人の世界戦最速KO。「モンスター」井上尚は、ボクシング史に永遠に残る一発でWBSSに、全世界に圧倒的な力を見せつけた。「体が勝手に動いてましたね。ただ、グローブを合わせるようなジャブの探り合いで距離感はある程度つかめていた。それをかいくぐって左ジャブを入れて、ステップインして右を。練習していたパンチです」。衝撃KOは、相手を読み切ってのものだった。

 これで世界戦7連続KO、通算11KOとし、元WBAライトフライ級王者・具志堅用高さんの6連続、同スーパーフェザー級王者・内山高志さんの10KOも抜いた。70秒、7連続、11KOのトリプル日本新には「記録のことは、よく記事で書かれるのでちょっとは気にしてますよ」と笑顔をはじけさせた。

 トランクスの腰には5日に1歳の誕生日を迎えたばかりの長男「明波(あきは)」の名を入れ、試合の後では、その長男をリングで抱き上げた。ともに初めてのことだ。「WBSSでの(大本命という)自分の立ち位置も分かっているし、子供はがんばる理由のひとつでもある。自分自身のケツをたたく意味で入れました」。父でトレーナーの真吾さんも後押ししたという。

 「短かったけど試合内容には満足してます。これだけのお客さんの前でこれだけの試合はなかなかできない。試合後のナオヤコールも、ものすごいものがありました」。井上尚は傷一つない顔をほころばせた。数々の記録を塗り替えたモンスターが、息子の存在も力にして、また新たなステージに上がった。 (藤本敏和)

 

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