理由は簡単、次のジャンルの方が「ここにいて、ここで本を描いて欲しい」と言われたからだという。
私はずっとロム専だったけれど、神の描く自カプの話がとても好きで、どれもツボで、一冊目からずっと買っていた。
二冊目か三冊目の本を出したときに感想のお手紙をだして以降、新刊がでるたびに感想の手紙を渡していた。
私の感想を神が本当の意味でどう思っていたかは知らないが、毎回手紙を渡すと嬉しそうに笑ってお礼を伝えてくれるのがとても嬉しかった。
私は神の作品はもちろん神自身のそんな対応がとても好きだったのだ。
そんな風に神自身の人柄が好きだったのでもちろんツイッターをフォローしていた。
神が自カプの同人誌をだす少し前、ウェブで活動し始めてからそのアカウントを消すまでの数年間私はフォローし続けていた。
「この本が最後のAB(自カプ)本です」そういって新刊サンプルと共にツイートされたときはちょっと凹んだ。
凹んだけれど、神が決めたことだ。寂しいけれどみんなジャンル移動していくし仕方がない。
私は神がだす最後のAB本をイベントで買うために列に並び、いつもと同じように前回出した本の感想の手紙を渡した。
毎回手紙を持ってくる私のことを神は認識していてくれたらしい、手紙を受け取ってお礼を言ってくれたあと「あとでもう一度、落ち着いた頃にスペースに来ていただけませんか」と言われた。
理由はわからないが、神に声をかけられて断る理由もない。むしろ神から声かけてもらえてラッキーみたいな気持ちだった。「じゃあ買い物が終わって、列が落ち着いた頃に来ますね」と返した。
そこから他の自カプ本を買いに走り、ツイッターのフォロワーと会っておしゃべりをして、いつもどおりのイベントを楽しんだあと、神のスペースに顔をだした。その頃には列もなくなり、机の上には既刊も新刊もない完売状態だった。
神は私の顔をみると少し頭を下げて、お友達?売り子?にスペースを任せてから荷物を持ってスペースからでてきてくれた。
他の人の邪魔になるといけないから場所を少しだけ移動したあと、神が呼びだすようなことをしてすみませんと謝った。
そのあと神の話を要約するとこうだ。
私を呼び出した理由はどうしてもちゃんと今までのお礼を伝えたかったこと。
ずっと手紙に返事をしようか迷っていたが、返事を書いて渡すことで「次も感想の手紙を持っていかなければならない」みたいな義務感を与えてしまうのが怖くてできなかったこと。
手紙は本当に嬉しくて最初の物から全てちゃんと保管して何度も何度も読み返していること。
それらをすごく緊張した様子で紙は私に必死になって伝えてくれた。
こんな風に一方的に懐かれて気持ち悪いと思われるかもしれないけれど、これが最後だから勇気をだして声をかけたと。今までの感想のお礼として受け取って欲しいとプレゼント(紅茶とお菓子)を用意してくれていた。
そんな風に感じてくれていたとは思わず私も恐縮しながらこちらこそ今まで素敵な本をありがとうと伝えてプレゼントをありがたく頂戴した。今しかねぇなって思って普段は受け付けていないスケッチブックを駄目元でおねだりしてみたら神は笑って私のわがままを受けてくれた。
じゃあ後ほどスケブ取りにいきますね、と約束した時間にスペース受け取りに行くと神めっちゃ神イラストを描いてくださってた。
最高。今でも宝です。
他のスペースも撤退し、人も少なくなっていた。私はスケブのお礼を伝えた後なんとなく、「なんでジャンル移動するか聞いてもいいですか?やっぱり飽きちゃったとか、移動先の方が熱があるとかですか?」と聞いてみた。
神は少し迷ったような顔をしたあと「砂かけだと思わず聞いてほしい」と前置きをしたあと話してくれた。
神の移動先より自カプのほうが規模も大きいし、本もこちらのほうが手に取って貰えるらしい。
だけど、買いに来る人はほとんど誰も声をかけてくれないのだという。
移動先は今の半分も刷れないし、本が売れる数ももちろん半分以下だけど、求めてくれる人のほとんどが「楽しみにしてました」とか「本を買えて嬉しいです」と言葉にしてくれたらしい。
移動先ジャンルのツイッターアカウントは作っていないし、描きたい話があるから一冊だけだそうというつもりで本をだしたそうだが、そこで予想外にも求められたのだという。
「規模が小さいから私なんかでも求めてもらえるとわかってはいても、優しくされて自分でもびっくりするほど嬉しかった」と「数年間ABで欲しくて欲しくて堪らなかった言葉が移動先のジャンルでポンと貰えてしまった」と神は教えてくれた。
ABではジャンル規模のおかげもあって本は売れるけれど、声をかけてもらえることはほとんどなかったのだという。
「もし、それと同じ反応がABでもあったら移動しなかったですか?」と重ねて聞いてみた。
それには神は「わからない」と答えた。
私は優柔不断だし、人の反応が気になるし、お調子者だから求められるとすぐいい気になってしまう。
ABでもし移動先みたいな反応が貰えていても、熱のあるジャンルで同じだけの反応が貰えたら移動すると思う。
一言一句すべて同じではないけれどこんな感じの事を言っていた。
ただそのあと付け足した
「でも、欲しかった反応がもらえていたらここ一年こんなにしんどい思いで原稿していなかったとは思う。」
と答えたのがとても印象に残った。
そのあと少し話して神との接触は終わったし、私は最後のAB本の感想を奥付のメールアドレスに送っておいた。(ありがたいお返事とイベントで話した内容で気分を害していないか気遣ってくださった。神よ、私の中で神は永遠です)
そのメールを送って3日ほどたったころ、神は「数年間ありがとうございました!本はもうださないけれど、ABはこれからも大好きです」とツイートしたあとアカウントを消した。
私の書いた感想が、神を一年を支えたのだと思うと手紙を書いてよかったと思う。
私は感想の手紙を書くのがとても好きだし、これからも応援したい人にはきっと手紙をだすと思う。
でも、私一人の手紙は所詮一人分でしかなく、数には勝てないんだなぁとも思った。
神も人なんだよなぁ。そりゃ反応欲しいタイプの神もいるよなぁ。
それ以降列ってるサークル見ると、あそこに並んでる何人の人が声をかけるんだろう、と思うようになった。
みんな、自カプに長くいて欲しい人がいるなら手紙じゃなくても、声かけていこうな……
私も割合的には無言で買っていくこと多いけど、それからは意識して声かけるようにしている。
女のクソ長文の典型だな。死ねよ
何イラついてんの? 生理?
そうそう元増田読んだら生理になった
エンジェルビーツかと思った
神の描いた作品もだけど感想も需要があると実感した。神に新刊の感想送ろうと思う。ありがとう。
神の言うことめっちゃわかる 無言ROMの何百人よりもちゃんと言葉にしてくれる数人の方が絶対気持ちの拠り所になるしその分筆も進むもんだ
以前増田で読んだことがある「作家が別ジャンルに行っちゃった感想出しておけばよかった」系の話へのアンサーみたいなもんだね 感想を出していても移動する人は移動する 結局のとこ...