2017年から2018年頭にかけて仮想通貨で“億り人”の仲間入りを果たした投資家が続出した。なかでも界隈を盛り上げた投資家として知られるのが、「ゲス仮想通貨投資家」を名乗るニシノカズ氏。あっという間に億を超える資産を手に入れた氏は、昨年10月にマレーシアへ移り住んだ。国際税務のスペシャリストである柳澤賢仁氏による仮想通貨対談企画第2弾「ニシノカズ」編・第2回目のテーマは、「マレーシアに移住した経緯」。
行けるならドバイが一番だったが・・・
柳澤 ニシノカズさんは、億り人になったタイミングでマレーシアへ移住していますよね。
ニシノカズ(以下、ニシ) もともと税金目的ではなく、また海外で暮らしたくなったんですよ。厳密にいうと、去年の夏ごろから移住を考え始めて、10月に移住。資産が億を超えるか超えないかぐらいのタイミングだったと思います。ただ、就労ビザがおりたのは今年の頭。申請を出してから3か月近くかかりましたね。
柳澤 マレーシアなら最長10年滞在可能な「MM2H(Malaysia My 2nd Home)ビザ」がありますよね? 就労ビザにした理由は?
ニシ 1つには就労ビザのほうが申請が簡単だから。MM2Hだと、3か月分の給与明細などが必要になってくるんです。あとは一応税金のことも考えて、就労ビザのほうが日本の非居住者として認められやすい、と聞いたことがあって。MM2Hは有効期限が10年と長いものの、「長期間マレーシアに自由に出入国できる」ことを保障するだけの事実上の観光ビザです。だから、MM2Hで1年の大半をマレーシアで過ごしても、日本の居住者と見なされるリスクがあると聞きました。そうなると、日本の高い税金が課せられますからね。
柳澤 それで、マレーシアに会社をつくって、そこで働くのに必要な就労ビザを取得したわけですね。その法人はクアラルンプールですか? ラブアン島ですか?
ニシ そうです。ラブアン法人を設立し就労ビザを取得してました。
柳澤 ほかのタックスヘイブンは検討されなかったのですか? シンガポールはキャピタルゲイン税がないので、投資家にとっては魅力的です。ドバイも所得税がかかりません。
ニシ 行けるならドバイが一番いいなとは思っていました。でも、シンガポールも含めてビザの取得がネックだったんです。ラブアン以外ですと、大学を卒業していないと就労ビザが取れなかったり、国家資格の保有者しか就労ビザが取得できない国もある。僕は高卒なので、比較的条件が緩いラブアンが最適な選択肢かなと。
柳澤 私に頼んでくれたら、シンガポールでもビザは取れますよ。うちは「OneAsia」といって、アジア20か国の会計事務所とネットワークをつくっているんです。実際、同じような学歴の方でも就労ビザを取れています。要は、シンガポールでしっかりビジネスをつくって雇用を生み出せるのか?が重要。
ニシ その点はラブアンもだんだん厳しくなっています。ラブアン法人はマレーシア国内で収入を得るビジネスをやったらいけません。国外からの収益をマレーシアに持ってくるというビジネスしか認められない。だから、日本のアフィリエイターたちがせっせとラブアン法人をつくってきたんですけど、今は「その会社をラブアンにつくる必要があるのか?」と突っ込まれることもあるようです。そのあたりも、「カンボジアに投資するために、地理的にもラブアン法人が最適だからです」といったテンプレートの回答をすれば問題ないようですが、今後はさらにハードルが上がってくる可能性がありそうです。