(HUGっと!プリキュア第35話より)
2018年10月7日放送のHUGっと!プリキュア第35話「命の輝き!さあやはお医者さん?」では、第27話に続いて「産院」を舞台にしたお話でした。
まさか自分も「帝王切開」って単語をプリキュアで聞く日が来るとは思ってもみませんでした。
巷では、来週第36話(10月14日放送予定)にTV本編でプリキュアオールスターズが登場する!って事でも盛り上がっていますが(これはこれで凄い事なのですけど)、本編も負けず劣らず「濃い」内容でした。
(プリキュアは予告のインパクトが強すぎる事が多々ありますよね)
(↓第36話予告。歴代プリキュアが集合する様です)
さて、第35話「命の輝き!さあやはお医者さん?」も「どストレート」に社会問題を扱う「HUGっと!プリキュア」らしく
・「完璧な育児をしないといけない」と思っているお母さん
・「帝王切開で生む事は、つまずき」だと感じているお母さん。
・「下の子が生まれてくる事で、お母さんを取られると感じるお姉ちゃん」
・「医療知識はネットの情報を鵜呑みにするのではなく、1人1人に向き合う」
など「子育て」をテーマに、小さな子どもだけではなく、一緒に観ている保護者にも訴えかけるお話が展開されました。
完璧な育児をしないといけない、と思っているお母さん
今話では「完璧な育児をしないといけない」と思ってる(世間に思わされている?)お母さんが登場します。(毒親といった感じで描かれているのではなく、真面目過ぎるお母さん、といった感じです)
このお母さん、2人目を帝王切開で生む事になったのですが、
(HUGっと!プリキュア第35話より)
1人目(あやちゃん)の時は「ちゃんと子育てをしないといけない」と思うものの逆に失敗ばかりしてしまい、
(HUGっと!プリキュア第35話より)
2人目は「完璧な子育てをしようと思っていたのに、最初からつまづいてしまった」と自己を責めます。
この「最初からつまずいてしまって」というセリフが心を打ちます。
このお母さん、
「帝王切開をすることは、子育てにおけるつまずきである」という認識を持っているのですよね。
しかし、お医者さんは言います。
(HUGっと!プリキュア第35話より)
「帝王切開はつまずきじゃないわ。立派なお産よ」
自分の経験でも(妻は自然分娩でしたが)かつて妻が出産した時にも「帝王切開は楽でいい」みたいな偏見が一部であった様に記憶しています。
(その他にも「母乳で育てるべき、粉ミルクとは何事だ」みたいなのも良く聞きました)
これ、周りがそう言っている事よりも「帝王切開はつまずき」って本人がそう思い込んでいる(思いこまされている)のですよね。
「正しい育児」を自分で勝手に決めて、それが出来ないからと言って悩んでいるのです。(もちろん、そうさせたのは社会の圧力であろうと思います)
これは出産、育児あるあるで、自分も「正しいと思っている事を勝手に定義づけて、勝手に出来ないからといって落ち込む」事が良くあります。
「帝王切開も立派なお産」
それを、子どもと保護者が一緒にみている「プリキュア」というアニメーションできちんと描く事は、本当に大事なのではないかと思うのです。
子どもと一緒に観ている保護者の考えもアップデートできる、っていうのは「子供向けアニメーション」の強みであると思います。
(↓その辺りは、自分もねとらぼ様の記事でも書きました)
子どもはお母さんが大好き
お母さんは「完璧な育児をしなければならない」という呪縛に取りつかれていているのですが、子どもはそんなお母さんをよく観察しています。
(HUGっと!プリキュア第35話より)
お母さん、失敗ばかりしています。
でもね。
(HUGっと!プリキュア第35話より)
子どもは、そんなお母さんの失敗をちゃんと見つつも、
遊園地に連れて行ってくれる
漫画が大好きで、
かけっこが速い。
(HUGっと!プリキュア第35話より)
そんなお母さんの事が大好き。
子どもは「完璧な育児」など望んでいない事が描写されます。
もちろん育児は家庭により様々なケースがありますが、今回の場合では、ただ親が勝手に「完璧な育児をしなければ」と思い込んでいるに過ぎないのです。
「完璧な育児をしないといけない」と思うあまり「今の娘」ときちんと向き合えないお母さん。
このシーン、お母さんも落ち込んでいて余裕もないのか部屋に入ってきたあやちゃんに声をかける事もなく、あやちゃんも1人で絵本を読み始めるのです。悲しいシーンです。
ここでは「絵本を読むふり」をしています。
お姉ちゃんになると、赤ちゃん返りを起こしてしまう、なんてことは良くあります。
そんな時はきちんと今の娘と向き合い「HUGっと!プリキュア」なのですから、娘さんにハグをしてあげよう。
そんなメッセージを僕は感じました。
そして、
「あやちゃんをみれば、あなたの子育ては失敗なんかしてないってよく分かる」
これはプリキュアを一緒に見ている保護者へのメッセージ。
(お母さんだけではなく、お父さんにも、その他たくさんの保護者にもです)
「あなたが完璧にできていない」と思ってる子育ては、実は失敗でも何でもなくて、今、そこに子どもがいる事こそが、あなたの子育てが失敗ではないという証なのですよ。
と、プリキュアをみている保護者の方に伝えているのではないのかと僕は思うのです。
(もちろん、これは子どもを独占し縛り付ける毒親問題をどうするのか、にも繋がっていくのですが、その辺りは、愛崎一家(かつて妹を縛り付ける兄が描かれた)の件もあり、今後解決していくのでしょう。)
「ネットの情報が全てではない」
今回、薬師寺さあやちゃんが、ネットで帝王切開の事を調べて
「帝王切開は決してネガティブな意見だけではないので、それをお母さんに伝えたらどうか?」
とお医者さんに提案します。
しかし、お医者さんは「ネットには有意義な情報もあるけど、そのお母さんやお母さんの赤ちゃんの情報は載っていない」ので個人に向き合う必要がある、と諭します。
ネットは万能ではなく1人1人ケースが違う、ってのは「生まれた時から既にネットが当たり前の様にある」今の子ども達に、きちんと伝える必要もあるのでしょうね。
また「ネットは悪い情報ばかりなので使わないようにしよう」ではなくて「ネットには有意義な情報もあるけど、自分に合わない事も多くあるので気にしすぎは良くない」とした事も良かったと思います。
特にマタニティの時期や子育て中は色々不安になり、ネットで不確かな情報を集めては一喜一憂する、なんてことは良くあるのではないかと思います。
そんな時に「ネットの情報が全てではないですよ」はお母さんの心の支えになってくれるのではないかと僕は信じたいのです。
「帝王切開は立派なお産」
「正しい完璧な育児なんか無いのだし、子どもと向き合いハグをしよう」
「子どもがそこにいる、ということはあなたの育児が失敗していない証拠」
これらを今の保護者に伝えることが出来るのが、今年のプリキュアの強みなんだと思います。
さて、HUGっと!プリキュアも残り1/3を切っています。
まだまだ回収されていない謎も沢山残っていますし、これから終盤に向けてどんどん盛り上がって行くものと思われます。
10月27日(土)には、映画「HUGっと!プリキュア♡ふたりはプリキュア オールスターズメモリーズ」も公開され、ますます盛り上がっていく事でしょう。
たのしみです。
(おわり)
ねとらぼで書いた記事