昨年に比べて、藤井聡太七段の対局が明らかに少ない
2018/10/07
藤井聡太七段の対局数が、昨年度に比べて明らかに少なくなりました。
昨年のような華々しい活躍をしているわけではないけれど、かといって負けが込んでいるわけでもありません。
最年少七段、王座戦ベスト4、新人王戦決勝三番勝負進出などの実績を残しつつ、今期も8割を超える勝率を維持しています。
なのに、藤井七段の対局が減った理由とはなんぞや?
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2017年度と2018年度の対局数を比較
(画像:マイナビ将棋情報局より)
まず最初に、藤井七段の2017年度と2018年度(10月5日現在)の成績を比較してみましょう。
年度 | 年齢 | 対局数 | 勝 | 敗 | 勝率 |
---|---|---|---|---|---|
2017 | 15 | 73 | 61 | 12 | 0.8356 |
2018 | 16 | 26 | 21 | 5 | 0.8076 |
(*出典:2017年度→日本将棋連盟 2018年度→デイリースポーツ)
年度の半分を終えて26局ですから、今年度はトータルで「50局を超えるくらい」になるでしょうか。
10月以降の対局がどのくらいあるのかはまだ分かりませんので、この前提で話を進めます。
なぜ対局数が減ったのか?
将棋界の公式戦は、順位戦などいくらか例外はあれど、基本的にはトーナメント方式です。
つまり、勝てば勝つほど対局が増えるはずですが、現実には対局数は減っている。
...ならば、減った分の約20局は、何処へ消えたのでしょうか?
その理由は、些か逆説的ですが、たくさん勝つからこそ対局数が減ったのです。
参加できる棋戦が減った
今年2月から5月にかけて、史上最年少かつ最速で七段まで昇段したことにより、今期の加古川青流戦とYAMADAチャレンジ杯に出場できなくなりました。
関連記事:若手選抜棋戦に出場できなくなった藤井聡太七段(16歳)
当たり前過ぎる話ですが、参加する棋戦が減れば、当然に対局も減ります。
昨年はどちらの棋戦も、ベスト8まで勝ち上がりました。
両棋戦合わせて7局(加古川→3局、YAMADA→4局)指していた分が、今年は丸々消えています。
シードされる棋戦が増えた
それだけでなく、藤井七段はプロデビュー以来勝ちまくってきたので、シードされる棋戦が増えてきたのです。
例えば、史上最年少で棋戦優勝を果たした朝日杯では、今期は予選をすっ飛ばして本戦トーナメントから出場します。
なので昨年指した6局(一次予選4局+二次予選2局)が、丸々無くなっています。
それと同じ理屈で、今期の王座戦ベスト4の実績により、来期の王座戦も挑戦者決定トーナメントから出場します。
こちらも挑戦者決定トーナメントまでに昨年指したのは6局(一次予選4局+二次予選2局)。
他にも、第4期叡王戦、第90期棋聖戦や第60期王位戦の3棋戦では、いずれも1回戦がシードされています。
いずれの棋戦も、昨年は予選の一番下から出場しており、減ったのは各1局ずつ計3局。
ざっと調べた分だけでも、合計22局分が減っており、昨年と今年(推定)の差とほぼ合致します。
藤井七段の対局数が減るということは...
まとめると、藤井七段の対局が減った理由は、大きく以下の2つ。
- 参加できる棋戦が減った
- シードされる棋戦が増えた
シードされればその分、タイトル戦の挑戦者や棋戦優勝に近くなります。
それに高校生活との両立もしやすくなるだろうから、対局が減ることは、ご本人にとってはよいことなのだと思います。
しかし、藤井七段の対局が減るということは、私たちがそれを観る機会も減るというわけで、それがちょっと残念です。