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フジテレビ「タイキョの瞬間」に批判殺到 入管行政の「闇」には触れず

入管の収容施設では、自殺者も出ているが…

フジテレビが10月6日夜に放送した番組『タイキョの瞬間!密着24時』がTwitter上などで批判を集めている。

フジテレビ / Via fujitv.co.jp

「タイキョの瞬間」は「強制退去を捉えた緊迫のリアルドキュメント」(フジテレビホームページより)。

人気番組「警察24時」と同じように、外国人の強制退去を担う入国警備官に「密着取材」(同)した番組だ。

「不法滞在者や、不法占拠など、違法行為や迷惑行為を許さないプロフェッショナルたちの姿」を描く、などとしている。

なぜ、この番組が批判を集めているのだろうか。

Kota Hatachi / BuzzFeed

「入管のPR番組」「人権侵害を隠蔽する番組」「番組の内容を鵜呑みにしちゃだめ」などという批判の多くは、入国管理局に収容されている人たちの支援者や、識者から上がっている。

入管行政においては、刑事手続を経ないままの長期収容や、自殺者が出るような収容環境の劣悪さなどが、問題視されているからだ。

番組に対する抗議のスタンディングをしようという呼びかけも広がっている。

法務省入国管理局によると、2009年以降に収容中に死亡した人は13人。うち自殺者は5人いる。

BuzzFeed

いつ強制送還されるかというストレスと、収容そのものに耐えきれず、自殺をはかってしまう人も後を立たないのだ。

番組では収容者がある程度の「自由」を約束されていることなどを紹介されていたが、実際はほとんどの自由を奪われている。

「仮放免」などの手続きを取らない限り、外に出ることはできない。連絡手段は公衆電話と、1回30分間の面会のみだ。適切な医療を受けられなかったり、大部屋でプライバシーが奪われたりすることも少なくない。

さらに、職員が「懲罰房」と呼ぶ「保護室」があり、規則違反などがあると数日間その部屋に入れられるケースもある。この際、複数の職員から「制圧」を受けて骨折したとして、大阪入管収容のトルコ人男性が裁判を起こしている。

さらに、施設への収容が半年を超える長期収容者も増加傾向にある。

BuzzFeed

収容の可否を決めているのは、入国管理局だ。裁判などの手続きを経る必要はない。

入管難民法に基づいた「収容令書」で、最長60日間収容できることになっている。しかし、その後の審査次第では、いわゆる「強制送還」まで無期限に収容できる。

半年を超えると、「長期収容」と言われるようになる。なかには収容所を「はしご」する人だっているほどだ。こうした実態を人道的観点から批判する声は少なくはない。

収容者を支援する指宿昭一弁護士は、BuzzFeed Newsの取材に、いまの入管が置かれている状況は、「過去最悪」だと指摘している。

「入管はそもそも一時的な収容を想定した施設です。本来であれば仮放免すれば良いのに、長期にわたって収容することで、諦めさせて、帰国に追い込もうとしている」

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番組の批判はこれだけに止まらない。番組で映された女性が、「技能実習生」だったことなどについても、批判が高まった。

時事通信

そもそも「外国人技能実習制度」は本来、国際貢献の一環として、日本の優れた技術を途上国の人たちに伝える制度だ。

農業や漁業、工場労働などあらゆる分野の現場を、外国人の実習生が支えているという現実がある。

一方で実習生制度は、単純労働に従事されられ、人権侵害も相次いでいるとして、国連人権理事会などから繰り返し批判や勧告を受けている。

さらに過重労働や低賃金、賃金の不払いに至るまで、たびたび労働環境が問題視されている。建設実習生が福島で放射能除染に従事させられていたことも明るみに出ている。

実習生の失踪には、背景に様々な問題が絡んでいる可能性がある。

しかし番組は、実習先から逃げたベトナム人女性の事情を深掘りせず、単に不法滞在した「犯罪者」として扱ったことに対し、批判が上がったのだ。

この番組については、東京入国管理局が自らのTwitterでこう紹介している。

❝東京入国管理局からのお知らせ❞ 10月6日(土)19時からフジテレビ系列の「密着24時!タイキョの瞬間」で当局調査第一部門の摘発や成田空港での上陸審査の様子などが放送予定です。現場で奮闘する入国警備官と入国審査官の姿をぜひご覧下さい! フジテレビHP番組案内↓ https://t.co/r6c2fXRm76

「現場で奮闘する入国警備官と入国審査官の姿をぜひご覧下さい!」

収容される側との温度差は、あまりにも大きい。実際、5月にBuzzFeed Newsの取材に応じた1年以上の長期収容者たちは、こんな気持ちを吐露している。

「私たちを、助けてください。刑務所だったら期間があるけれど、ここではいつ出られるのか、わからない。本当につらいです」

「24時間、軟禁されているような気持ちです。いつ出られるのか、いつ強制送還されるのかわからず、毎日が不安でもう耐えられない。入管が、怖い。記者さん、どうか力になってください」

Kota Hatachiに連絡する メールアドレス:Kota.Hatachi@buzzfeed.com.

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