朝鮮日報

【コラム】屈辱に耐える文大統領を眺めて

 こうした状況はトランプのせいで生じたのだろうか。彼は天から降ってきた人物ではない。米国の選挙システムを経て誕生した大統領だ。彼を当選させた背景が韓米同盟を批判しているのだ。米国は昨年、約8000億ドルの貿易赤字と6650億ドルの財政赤字に苦しんだ。赤字の相当部分は世界各地の紛争介入や他国の安全保障を守るためにつぎ込んだ資金だ。生活に余裕がない平凡な米国人はそんなカネを使うことに我慢がならないのだ。

 米国は北朝鮮の件を適当に乗り切っても構わない。北朝鮮が自滅を選ばない限り、米国相手に核を使うことはない。韓国は異なる。その場しのぎで「核問題は解決した」と公表した後の状況に持ちこたえる能力はない。トランプよりも「米国優先主義」を掲げる大統領が登場し、「北朝鮮は非核化されたのだから、韓国に対する核の傘には名分がなく、在韓米軍を撤収しろ」と言いださないとも言い切れない。米国よりも徹底して完全かつ検証可能で不可逆的な非核化(CVID)にこだわらなければならない理由はそこにある。

 それでも北朝鮮の非核化に対する意志は、米国が強く、韓国は弱いように見える。米国は強硬な対北朝鮮制裁を強調するが、文在寅政権は南北経済協力事業で制裁をすり抜けようとしている。文大統領は米メディアに「金正恩(キム・ジョンウン)の首席報道官」などと酷評されても耐え忍んでいるが、その心情には感情移入できない。

チョ・ジュンシク国際部長

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