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久部緑郎、 河合単「ラーメン発見伝」と、続編である「ラーメン才遊記」(小学館)が面白い。つい読み返してしまう。


2chまとめなどで「ヤツらはラーメンを食べてるんじゃない。情報を食べてるんだ!」というセリフを見かけた人もいるのではないだろうか。
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こいつがラーメンハゲこと芹沢達也。

とかく彼の発言だけがネットで独り歩きしてるイメージもあるが、ゆるい雰囲気ながら、古今東西のラーメンブームやラーメン屋の内部事情や問題意識をシャープな視線で描いたマンガだ。

採算無視で究極で至高な料理をつくればいいあまたの料理マンガと違い、原価とか加水率とか客の問題とかインターネットとかそういう諸々を描いてるのが本作。

だが、やはり「美味しんぼ」における海原雄山ポジションのライバル「ラーメンハゲ」こと芹沢達也がとにかくかっこいい。

彼がいなかったらまんま美味しんぼやん、という袋叩きも遭ってたかもしれない。
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ラーメンにうるさい奴がすべったらこの画像で対応してみよう。

というわけで、ラーメンハゲこと芹沢達也の画像を多めに載せつつこのマンガについて語ろうと思う。3時には寝るぞ…。

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ラーメンハゲこと芹沢達也は繁盛ラーメン店「らあめん清流房」の店主で、フード・コーディネーター。

本人によればこれは万が一にも髪の毛がラーメンに入ってしまうのを防ぐためであり、「ハゲ」呼ばわりされた時には怒っている。

外面はいいが、皮肉屋で客を舌バカ呼ばわりする。
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 味の濃い味を好む客を働きバチ呼ばわり。
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顔からしてもう性格が悪い。
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そんな彼にもダークサイドに落ちるエピソードがあった。

ウィキペディアからコピペしちゃお。
>開業当初は理想のラーメンを出しながらも客に理解されず、不渡りを出して店を潰し掛ける。"舌バカ"な客でも分るコッテリ味の"濃口"を編み出してからは繁盛店に。この時の不幸から心に大きな傷を負い、それ以降は一握りの味の分るお客に理想の味を提供するために、味の分らない客に情報を食わせて金を稼ぐというスタンスを貫いている。ただし、舌バカな客相手でも決して手を抜いたラーメンは作らない。 
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若き彼の挫折が描かれる「スープが冷めた日」(単行本7巻収録)が名作すぎるのでちょっと引用したい。信頼してる友人すら舌バカだった、という彼の苦悩が描かれる。

(僕はコッテリのほうが好きだと思うナー)

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そんなわけでたった一人、理想のラーメンを追求しつづける悪の華、ラーメンハゲこと芹沢達也。
もし「麺王」という称号があるのなら、最も近い人はこの男だろう。
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痛いラーメンヲタク、テレビ、評論家、使えるものはなんでも使う。
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それでいて奢りたかぶらず、飽くなき探究心でラーメンを進化させようとする。

老舗店やグータラ店主たちをコテンパンにのしていく様は悪役でありながら爽快である。主人公は空気。
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つけ麺に対する問題意識も描かれる。
 
彼はつけ麺の弱点である、麺とスープの温度差を娯楽として楽しめるレベルにまで昇華させる。
このセリフはよくネットでも流れてくる。僕も勇気づけられる。
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匿名に煽られたらこのコマを思い出そう。

第一部にあたる「ラーメン発見伝」で、芹沢達也は幾度となくプロのラーメン屋として対決し、主人公、藤本を圧倒する。

その殆どは芹沢の勝ちか、よくて引き分けに持ち込むのが精一杯であった。

清濁併せ呑む経営者であると同時に、ラーメンに対しては情熱を絶やさない男でもある。

そして、最終巻でラスボスとして主人公・藤本と対峙するシーンは本当に美しい。
美味しんぼにおける海原雄山と山岡士郎の和解シーンばりに神がかっている。

ネタバレしたくないので、是非26巻まで中盤はダレるが読み進めてほしい。グータラ社員藤本の成長物語でもあり、客をバカ舌だと思っている芹沢の物語でもあった。 
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芹沢はサラリーマンを辞め、ラーメン屋として独立する主人公・藤本に彼なりの餞を送る。
そして、続編、スピンオフ作品にあたる「ラーメン才遊記」がはっきりいって「発見伝」よりはるかに面白い。「発見伝」と違い全11巻と短いのもよい。 
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 ラーメンハゲこと芹沢達也は、新しいヒロイン、汐見ゆとりの上司として無理なく登場しまくり、敏腕を振るい、努力よりも結果を出せという成果主義でビシバシと部下たちをしごきまくる。 
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料理の天才であるニューヒロインは性格にかなり難があり、本作の好みが別れる要素ではあるの。だが…彼女がラーメンハゲこと芹沢達也に初対面でこう言う。

「完成度が高いラーメンは芸術品のようにフムフムと思えるが、ラーメンは祭りのようにワクワクする高揚感が欲しい」と。これは一見バカ女の発言だが妙に真理をついている。

本作はラーメンハゲこと芹沢達也が登場しまくり、「いかにラーメン屋をビジネスとして成功させるか」といったコンサルティングを描きつつ、ラーメンの魅力、「ワクワク」の正体を多角的に描いていく。
ラーメンハゲのコンサルタントは、競合店に勝つためにドカ盛りの油そば屋を提案したり、4階の物件をせんべろ居酒屋にしたり…と手段を厭わない。店主のエゴやアーティスト気質などなーんも優先しない。 
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相変わらず清濁併せ呑む正論でボコスカとダメなラーメン屋を叩く。ラーメンの問題意識も煽る。
ニューウェーブ系と呼ばれるラーメンが魚介豚骨醤油ラーメン、二郎系の隆盛に押されがちな理由もきちんと分析する。
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女子にデレるラーメンハゲこと芹沢達也も堪能できるが、コマがないのでよく使われてるコレ。
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バンドマンや地下アイドルは、イベンターからギャラなしのライブの誘いが来たらこのコマで返してやろう。

あ、コミカルなコマを見つけた。
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しかし料理漫画の宿命か、またもやトーナメントとかをしはじめる。そこらへんからは正直ちょっと読んでて辛い。麺の神が降臨する変なキャラも出てくるし。

でも主人公の負けもきちんと描くのがこの作者のいいところだ。

トーナメントの最中、ラーメンハゲこと芹沢達也の店も危機を迎える。美味しんぼの「東西新聞の危機」のような最大の山場である。 

かつての部下に弱点をつかれるシーンもまた見所だ。そして、芹沢達也は弱点を克服する。やはりこのマンガの主人公はラーメンハゲなのだ。
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そして「ラーメン才遊記」のラスボス、カリスマ料理評論家(にしてヒロインの母)、汐見ようこは、ラーメンを「フェイク(偽物)」と定義し、完璧無比な技術で卓越したラーメンをつくりあげる。 
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それに対し、娘、ゆとりが作ったラーメンは…。 
緊張感も色気もないトーナメントはさておき、この親子対決には本作の最高潮がある。 

本作は化学調味料にも踏み込んでいる。多くの漫画や評論が化学調味料にノーを焚き付け、無化調や天然素材こそ美味と言うなか、本作は化調に対してもアウトを出さない。 ハゲは化学調味料使ってないそうだけど。

最終巻で、芹沢達也はラーメンとは?と聞かれ、こう定義する。
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ネタバレになるのでセリフは消した。

是非読みすすめてほしい。皮肉屋でリアリストのラーメンハゲだが、彼にはロマンとラーメンに対する愛がある。
本作は「大衆は真にうまい味のラーメンをわからない」というジレンマを乗り越える芹沢の成長物語でもあったのだと思う。読者は、壮絶なツンデレ&カタルシスを総37巻で味わう。

ここのセリフはラーメンではなく「ロックとは」「芸術とは」「表現とは」そういう言葉に置き換えても成り立つように思える。
何かを志し、前進を続ける者にラーメンハゲ、もとい芹沢達也先生の言葉は厳しくもやさしい。
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そして「才遊記」最終回。「ラーメン発見伝」 全26巻を過酷なRPGをクリアするように読破した人にのみ感動できるファンサービス描写がある。 号泣。

寄生獣、スラムダンク、うしおととら、幽遊白書。

ラストシーンが美しいマンガはかけねなしに名作なのだ。 

こういうときここにAmazonアフィリエイトのリンクとか貼ったほうがいいんだろうけど、やり方わかんないわ。これでいいのか。ほい。

うーん書きたいことが書けなかったけど、ラーメンハゲフォルダ全部放出できた。ヤッたー。
この記事で一人でもこのマンガに興味を持ってくれたら幸いである。 
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ラーメンハゲの画像貼って意識高いふりしてるやつにはこの画像で対抗しよう。