【格闘技】井上尚弥「行けるなら初回から行く」と速攻KO宣言2018年10月7日 紙面から
ボクシングのトリプル世界戦(7日・横浜アリーナ)の前日計量が6日、東京都内で行われ、出場6選手はいずれもクリアした。メインイベントで階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」バンタム級開幕戦・WBA同級初防衛戦を行う同級王者・井上尚弥(25)=大橋=は、リミットちょうどの53・5キロで一発クリア。挑戦者の元同級スーパー王者フアンカルロス・パヤノ(34)=ドミニカ共和国=は53・2キロだった。 計量の模様はWBSS公式サイトで世界中に生配信され、司会進行も英語、重量のアナウンスもキログラムではなくポンドでなされた。恒例のにらみ合い「フェースオフ」はいつもの倍近い10秒以上という、かつてない雰囲気にも、井上はほほ笑みを浮かべていた。 「海外みたいな雰囲気だったけど、準備することは一緒。相手も体を仕上げてきているなと思った。ハイレベルな試合になるのは間違いない。楽しみです」 リミットいっぱいで完璧に仕上がった体、元王者で1敗しかしていない対戦相手などなど、全てが25歳の心を躍らせていた。横浜アリーナのリングには大記録もかかっている。倒して勝てば、元WBAライト級王者・具志堅用高さんを抜く世界戦7連続KOと、元WBAスーパーフェザー級王者・内山高志さんを抜く同通算11KOのダブル日本記録となるのだ。 井上は「意識すると微妙になったりするので、記録のことはあまり考えないようにしようかと。流れです」とはぐらかしつつも、「でも、行けると思えば初回から行きますよ。仕事は早い方がいいんで」と不敵に笑った。「モンスター」の異名を取る男は日本記録のKO劇とともにWBSSの頂点へ向け、発進する。 (藤本敏和) <WBSSルール> WBSSは各階級8選手が参加するトーナメント。勝ち上がりを決めるため独自のルールが存在する。特例として4人目のジャッジがリングサイドに控え、通常のジャッジ3人の採点で引き分けだった場合は4人目の採点を加えて勝ち上がる選手を決める。タイトルマッチでは引き分けは防衛になるため、王座は防衛だが勝ち上がりは挑戦者という“逆転現象”も起こり得る。また、4者の採点も引き分けだった場合は12ラウンド(R)から11R時点、10R時点と一つずつさかのぼって採点を調べ、その優劣で勝ち上がりを決める。
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