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【国際】

ノーベル平和賞にムクウェゲさん 「性暴力に抗する責任 日本にも」

インタビューに応じるムクウェゲさん=6日(共同)

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 【ブカブ=共同】コンゴ(旧ザイール)紛争下で性暴力被害者の治療に尽力し、今年のノーベル平和賞受賞が決まった男性産婦人科医デニ・ムクウェゲさん(63)が六日、東部ブカブの病院で共同通信の単独インタビューに応じた。世界中で需要が高いレアメタル(希少金属)の奪い合いがコンゴ紛争の原因だと指摘し「日本をはじめ世界中の人々に、(紛争に伴う)性暴力に立ち向かう責任がある」と語った。

 受賞決定後、海外メディアとの対面インタビューに応じるのは初めて。

 ムクウェゲさんはコンゴの紛争について「経済戦争だ」と表現。「利益、利益、利益-。世界中の人々や企業は、そればかり考えている。利益追求が性暴力被害者の苦しみに直結していることに目を向けてほしい」と訴えた。

 受賞決定については「非常にうれしい。被害女性の苦しみが世界に認識してもらえた」と喜びを語った。性被害を告発する「#MeToo」(「私も」の意)運動が欧米を中心に盛んなことを挙げ、「世界中で近年、女性が被害を打ち明けやすくなっている。(問題解決に向け)希望はある」と強調した。

 その一方で、コンゴでは最近も民兵らによる集団暴行事件が発生したと言及。兵士らが性暴力を家族や地域コミュニティーを破壊するための「戦争の武器」として利用している側面もあると非難し、解決には「政治家の力も必要だ」と述べた。

 ムクウェゲさんは五日、手術中に受賞決定を知らされた。六日も「いつも通り、被害者の治療に当たった」と述べ、今後もブカブでこれまでの活動を続けていくと表明した。

<コンゴ紛争> アフリカ大陸中央部に位置し、人口約8134万人のコンゴ(旧ザイール)はレアメタル(希少金属)が豊富。1960年にベルギーから独立。98年、政府と反政府勢力の内戦に。ダイヤモンドや豊富な鉱物資源の利権も絡み、ジンバブエやルワンダなど周辺国を巻き込んだ国際紛争に発展した。2002年にルワンダなどと和平協定に調印、03年に暫定政府が発足。しかし、その後も武装勢力が乱立して戦闘が頻発、世界最悪規模の人道危機と言われる。 (共同)

 

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