読書する日々と備忘録

主に読んだ本の紹介や出版関係のことなどについて書いています

主人公が一途なライトノベル15選

たまたまフォロワーさんのリツイートで見つけたこんなつぶやき。

そんなジャンルこそまさに自分の得意とするところじゃないですか、ということで勝手に自分なりにそんなオススメ作品を選んでみました。

 

まず安定安心の手島先生の3作品

魔王の俺が奴隷エルフを嫁にしたんだが、どう愛でればいい?  (HJ文庫) 現在6巻まで刊行

 不器用で口が悪く魔術師として人々に恐れられるザガン。そんなサガンが亡き魔王の闇オークションで白い奴隷エルフの少女ネフィに一目惚れして全財産をつぎ込み購入。不器用な二人の共同生活が始まる物語。コミュ障でどう接していいか分からずたびたび言葉選びを間違えるサガンと、最初は怯えながらも彼の不器用な優しさを知り徐々に心を開いて行くネフィ。これまで孤独な境遇を過ごしてきた二人が、戸惑いながらも危機的状況を乗り越えて絆を育んでいく物語は、わりとシンプルな構図でベタな展開ではありますがなかなかいい感じです。

飛べない蝶と空の鯱 (ガガガ文庫) 全6巻

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

飛べない蝶と空の鯱 〜たゆたう島の郵便箱〜 (ガガガ文庫)

 

 霧の上に浮かぶ島々に人々が住んでいる世界で、空を飛ぶ武装郵便屋を営む少年ウィルと、その相棒ジェシカのお話。飛ぶことが下手なウィルと、風を読むことが得意でも、過去の事故で高所恐怖症になってしまったジェシカは、一人では飛べなくても二人でなら飛べる。不器用なジェシカの思い、全てを知った上でそれを支えるウィル。こういう足りない者同士が力を合わせてみたいな関係がいいですね。大福にうっとりするジェシカさんに萌えますが、封書を通じて物語が紡がれていく繋がっていく世界観がとても素敵です。

魔王の娘を嫁に田舎暮らしを始めたが、幸せになってはダメらしい。 (GA文庫) 現在2巻まで刊行

 魔王軍の紅蓮の騎士カズキ(人間)は魔王の娘で幼馴染のアストリッドのコミュ障を治すため、魔王の命で人間の田舎町に二人一緒に暮らすスローライフ幼馴染ラブコメ。魔王に間違いがあったら死罪と言われながら、その配慮でかいがいしく世話をするアストリッドにたびたび理性が崩壊寸前のカズキ。そんな彼らの前に現れる宿敵でバカップルな勇者アスマと女神官ミラ。安心安定の甘々な展開にカズキの秘密や魔王の思惑も絡めた展開は、ハッピーエンドのために立ち上がったアストリッドの決意もあって面白くなりそうです。

 

そして個人的にことあるごとに推したい4作品。

黒鋼の魔紋修復士 (ファミ通文庫) 全13巻

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

黒鋼の魔紋修復士1 (ファミ通文庫)

 

 神巫になったばかりの少女・ヴァレリアと、実力はあるものの性格に難のある紋章官ディミタール。肌に刻まれた魔紋を委ねる恥ずかしさや、プライドが高いのに自分の世間知らずを痛感させられるヴァレリアは、容赦無いディミタールの物言いに当然の如く反発するわけなんですが、そんな分かりやすい性格の彼女に現実を突きつけながらも囚われた彼女を救い出す。そんな最初は反発することの多かった二人が、今後どう成長しその関係が変わっていくのかを生暖かく見守ってゆく醍醐味があるシリーズです。

WORLD END ECONOMiCA  (電撃文庫) 全3巻

WORLD END ECONOMiCA (1) (電撃文庫)
 

 夢を叶えるため株式市場に活路を見出す月生まれ月育ちの家出少年ハルが、ふとしたきっかけから数学の天才少女ハガナと出会い、コンテスト優勝と周囲の人々の危機打開を目指す物語。夢のために孤高だったハルが彼女たちに出会い触発され、自分に自信を持てなかったハガナもハルへの協力をきっかけに変わっていく、そんな不器用な二人の距離感の変化。そんな存在に葛藤しながら、二人が夢やその思いを語れるようになるまでに近づいたからこそ、終盤の喪失感、そして絶望が切なかったです。一度は全て失ってしまったけれど、それを取り度戻すために立ち上がる展開がぐっとくる物語。

白銀のソードブレイカー (電撃文庫) 全4巻

聖剣で世界を護る7人の剣聖を殺そうとする少女エリザと、家族を殺した仇を探している傭兵レベンスの物語。バトル多めで、剣聖殺しエリザの剣技の拙さはちょっと気になりましたが、戦っている時と平時のまだ幼い感じのギャップは可愛くて、またレベンスとの組み合わせもなかなか良かったと感じました。戦ったりエリザとの話の中で剣聖と剣魔の謎も徐々に明らかになっていきますが、一方でまだエリザやその剣にも秘密がありそうで、そんな二人の旅路を見守ってゆくシリーズです。

 ヴァンパイア・サマータイム (ファミ通文庫)

 人と吸血鬼が昼と夜を分け合う世界。ヨリマサと吸血鬼の少女冴原との出会いは、不器用で、でもまっすぐで、容易には越えられない壁を感じながら、それでも惹かれ合う二人の思いにとても切ない気持ちになりました。そんな思い悩む吸血鬼の冴原も、夜の世界では厳しい指導ぶりにバレー部の後輩から「オニハラ」とか呼ばれてしまう存在。ファンタジーな設定が日常に溶け込んでいる、ステキな世界観でした。

 

以下現代を舞台にした恋愛小説です。

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

読者と主人公と二人のこれから (電撃文庫)

 

 期待もない新学年のホームルーム。高校生・細野亮の前に愛してやまない物語の中にいた「トキコ」そのままの少女・柊時子が現れる出会うはずがなかった読者と主人公の物語。見れば見るほどそのままの時子との出会い。一緒に過ごしてゆくうちに想いが少しずつ積もってゆく一方で、自分の中で湧き上がってくる違和感。主人公の周辺を切り取ったようなクローズな世界観で、あまりにも不器用な二人の距離感にもどかしくもなりますが、物語をきっかけに知り合った二人が物語で心を通わせて、これからの二人の世界の広がりを予感させる素敵な物語です。

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

キミの忘れかたを教えて (角川スニーカー文庫)

 

 余命半年を宣告されて大学を中退し実家でニートと成り果てた松本修。昔からの悪友・トミさんの誘いで母校の中学校を訪れた修が、かつて突き放した因縁の幼馴染・桐山鞘音と再会する青春小説。人生に絶望して投げやりな日々を送る修の後悔と、シンガーソングライターとして不調に陥り戻ってきた鞘音の覚悟。トミさんを介して昔のような不器用な二人の交流が再開して、鞘音と最後の共演のために覚悟を決めて自らを追い込んでゆく修。その過程で取り戻してゆくお互いの大切な想いにぐっと来る物語。※続刊予定ありとのこと

ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

ゴスロリ卓球 (電撃文庫)

 

 突然失踪した卓球部のエースで幼馴染の羽麗。父親の抱える8000万の借金返済のため彼女が裏賭場で戦うことを知った坂井修が、幼馴染を救うため共に命賭けの無謀なギャンブルに挑む物語。ゴスロリ卓球は一見微笑ましいのにレバレッジの変動で勝負と獲得金額が一致しないヤバイ闇卓球で、一歩間違えば奈落の底という緊張感のある状況でしたけど、卓球以外は残念美少女の羽麗とお世話係と化していた修の距離感や、お互いが傍らにいたらどんな境遇でも信じて頑張れると思えてしまう幸せそうな二人の関係にはぐっと来るものがありました。続巻も期待。

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

優雅な歌声が最高の復讐である (電撃文庫)

 

怪我でサッカーを辞めて灰色の高校生活を送る隼人と、歌姫として学校で注目される瑠子。近寄り難い存在だったはずなのに、ふとした繋がりからお互い意識するようになってゆくボーイミーツガール。周囲に上手く溶け込めない瑠子をさりげなくフォローする隼人と、そんな彼への評価が変わってゆく瑠子。お互い消化しきれない葛藤を抱えていて、強気なのに不器用で繊細な瑠子との出会いから隼人も少しずつ変化して、もがきながらも一緒に乗り越えようとする二人の関係と、強く心に訴えかけてくる熱い想いはとても真っ直ぐでぐっと来るものがありました。

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

オミサワさんは次元がちがう (ファミ通文庫)

 

無表情・無感情で人と関わろうとせず、そこかしこに絵を書き散らす芸術科の天才・小海澤有紗。変人扱いの彼女を気にかける雪斗が関わってゆくうちに、彼女が抱える秘密に巻き込まれてゆく青春小説。コミュ障なオミサワさんと些細なやり取りを重ね交流を深めてゆく地道な努力が微笑ましくて、文字通り次元が違う秘密を知っても彼女を理解し共にあろうとする雪斗。大切だからこそ苦悩するオミサワさんでしたけど、彼女の想いを垣間見た雪斗と相変わらず難しい境遇でも確実に変わりつつある彼女が迎えた素敵な結末には、ついニヤニヤしてしまいました。

尾木花詩希は褪せたセカイで心霊を視る (ダッシュエックス文庫)

尾木花詩希は褪せたセカイで心霊を視る (ダッシュエックス文庫)

尾木花詩希は褪せたセカイで心霊を視る (ダッシュエックス文庫)

 

 とある事情から廃墟と化したデパートの屋上遊園地に向かった久佐薙卓馬が、そこで古びた傷だらけのカメラで写真を撮り続ける同級生の少女・尾木花詩希と出逢う物語。「観覧車の花子さん」に逢わねばならない理由がある卓馬と、自身の失ってしまった彩りを取り戻すため写真を撮り続ける詩希。ぎこちない交流を続けるうちに少しずつ変わってゆく詩希がとても可愛くて、悪意に巻き込まれてお互いを大切に想う気持ちが空回りした二人でしたけど、真相に近づいてゆく中で大切な人にきちんと想いが伝わってゆく結末は本当に良かったです。

その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)

その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)

その10文字を、僕は忘れない (ダッシュエックス文庫)

 

無気力で学校をサボりがちな高校生・島崎蒼が雨よけに寄った公園で、理由があって声が出ない同級生・宮崎菫と出会い、スケッチブックで会話をする彼女と交流を深めてゆく青春小説。菫と出会ったことで変わってゆく蒼と、彼と密かに公園で出会いを重ねてゆくことで本来の明るさを取り戻し、蒼やその親友二人と楽しい日々を過ごすようになった菫に訪れた重要な転機。些細なことからすれ違ってゆく二人の姿はとても辛かったですが、それでも大切な存在だと改めて痛感し、きちんと想いを交わし合った二人の今後を応援したくなるとても素敵な物語でした。

 

 

最後に幼馴染枠で1作品ということで。

公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

公園で高校生達が遊ぶだけ (講談社ラノベ文庫)

 

昔からの幼馴染、瀬川エリカと吾妻千里。そんな二人とその友人たちを中心とした公園でのやりとりや日常が描かれる青春小説。お隣さんな二人の家の近くの公園で繰り広げられる仲間とダベったり野球をしたり、走り回ったり少し喧嘩したりのありふれた日常。でもそんな中にも幼馴染の二人が積み重ねてきた様々なことや、傍から見たら何で付き合っていないの?とついちょっかいを出したくなる二人の確かな絆があって、それでいて相手の知らないことに遭遇すると思わず動揺してしまう関係が微笑ましくて、何かじわじわとこみ上げてくるものがありました。

 

他にもそんな作品はたくさんあると思いますが、上に挙げたのは自分が自信を持っておすすめできる作品です。もし気になる本があったらぜひ手にとって見てください。

 

以上です。