分散投資のメリットデメリット
分散投資はよく聞く言葉ですが、2つの意味があります。
- 投資対象の分散
- 投資期間の分散
前者は投資するものに対しての分散です。後者は、期間の分散、つまり時間の分散を指します。
いずれも分散させると、元本割れの危険性や相場のうねりによるダメージを少なくすることができます。多くのブログや記事ではこの分散投資の重要性が説かれています。これは、記事が投資を始めた人に向けて書かれているケースが多いからでしょう。
しかし、デメリットもあります。一言でいうと、投資効率が上がらず、種銭が小さい場合には資産形成に時間がかかるというところです。
分散による年リターンは株式でせいぜい6.8%程度です。相場に恵まれたこの10年でおおよそ10%ぐらいですが、年率10%が今後も常態化することは殆ど無いと言っていいでしょう。
平均回帰性という言葉があります。この言葉の通り、過去のパフォーマンスにある程度収れんされるとするならばどうでしょうか。この10年の成果をどこかで吐き出す可能性も無くはないのです。
私の場合は投資を始めて15年近くは集中投資がメインでした。そして最初の10年近くは集中投資しかしていませんでした。20代から30代前半であり、根拠のない自信があったということです。
しかし、今はもう集中投資はしていません。身の程を知ったということ、守るべきある程度の資産ができたということ、この2点に尽きます。たまたま大負けすることはなかったですが、それは運による面も多く、白黒はっきりさせた投資でいつまでも勝てると思えなくなったということです。
さて、こうした分散投資のメリットデメリットですが、関連してご質問をいただいています。
一括投資か分散投資か迷います。
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現在既婚のアラフォー夫です。
現在手持ちで結婚前から貯めていた2000万があります。いままで定期貯金でずっとため込んでいたのですが、最近国内株を少しだけかじりまして米株の長期運用の安定性にひかれて投資したいと考えています。
サイト内で「老後を見据えたアラフィフ4000万円の投資術」にあったように現在まとまったお金が2000万。今後増額は配当以外は難しい状態です。
現在1500万でVYMとVTIを4:1くらいで300万を米高配当個別株を残り200で国内株を購入しようかと思っています。配当目的で購入するなら早めに全額投資してインカムを最大にするのがいいような気がするのですが、現在の国際情勢の変化と米株が高値すぎることを考えるとやはり上記のページのように500万/年くらいで分散投資したほうがリスク分散という面では良いのでしょうか?
配当を将来の老後資金として活用したいので長期ホールドで運用予定ではあります。
どうぞご教授お願いします。
一括投資と分散投資はどちらが良いのか
私は一貫して時間の分散を推奨しています。暴落して底打ちが明らかに確認されたときは別ですが、基本的には常に分散が良いです。相場歴が長く、相場観が揺るがないならば一括でもよいのですが、多くの人は下落で動揺します。
ウェルスナビの下図が大変よくできているので引用します。
一括投資がオトクなのはこのように常に右肩上がりのケースです。
分割投資がオトクなのはこのようなランダムウォークの時です。基本的に米国株は20年以上のスパンで見ればかなりの確率で右肩上がりになるのですが、問題はその過程ですね。過程では下落することもある、そう考えるのが自然です。
その下落に耐え、20年あるいは30年持てるならば問題ありません。しかし、投資に慣れておらず、しかも毎日のように株価を見に行ってしまう。このタイプの人は分散して、気持ちも投資から分散するのが良いと思いますよ。
年500万というのは、追加で資金があるならば無理が無いように感じます。いずれにせよ、配当を得たり、元値が切りあがるとついつい一気に投入したくなるのが投資です。淡々とルールに従って取り組むことが大事ですね。
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このような時間分散をドルコスト平均法と言います。わかりにくい言葉ですが、要は「定額投資法」です。英語を直訳するとドルコスト平均法になってしまうのですが、伝わりにくい投資用語の1つですね。
一括投資をしたくなるVTIのチャートです(笑)
VTIは時価総額の大きなものを取り入れているので、今を時めくAmazonやエヌビディア、appleなどもそれなりに含みます。対してVYMは成熟企業が多く、パフォーマンスが鈍重ですが、長い目で見るとディフェンシブも循環の1つに過ぎません。
楽天VTIがiDeCoで買えるのは今のところ楽天証券だけですね。投資信託ではこの楽天VTIとeMaxis SlimのS&P500の2択と言ってよいでしょう。いずれも2018年に入ってリリースされた新商品です。