2018年10月5日、ついに日本美術展史上最大の「フェルメール展」が東京上野の森美術館で開催されました。
35点ほどしかない(紛失したり、審議中だったりではっきりした数字が分からない)フェルメール作品の内9点が東京に集結しています。(大阪は6展だけど・・・)
東京では、美術展は珍しい「日時指定入場制」を設けているとか・・ゆったりと鑑賞できるチャンスかもしれません!
音声ガイドも無料だそうで、話題になっていました。そのような制度を私が住む大阪では設けていないようなので、本当に羨ましい限りなのですが、実は大阪限定公開の絵画もあったりして(*´罒`*)ニヒヒ
本日は、そんなフェルメール展の予習になる企画展を開催します。
当館は、土曜の深夜に開館する大人のための美術館です。
素人の素人による素人のための美術館です。私は専門家ではないので、多少のフィクションを交えつつ、自由な発想で絵画を語ります。常識とされている見解とも少し違う箇所があると思いますが、ゆる~い気持ちでリラックスしながらご観覧ください。
お時間許す限り、ごゆっくりご鑑賞ください。
フェルメールとは
ヨハネス・フェルメール(Johannes Vermeer)は17世紀のオランダを代表する画家ですが、フェルメールの死後、長らくその存在が忘れられていたため、その生涯は分からないことが多いです。
1つ年上の裕福な奥さんの実家で暮らしており、絵画が売れなくてもそれほど苦しみむこともなく、ガチな職業画家ではなかったようです。
高額な絵の具が使える金銭的余裕もあり、当時高価だったラピスラズリを使った深い青はフェルメールの代名詞となりました!
フェルメールの死後、オランダ経済のバブルが崩壊し、フェルメール作品の多くも国外に売却されてしまいました。
ドイツに6点、アメリカに12点、その他フランス、スコットランド、マウリッツハイスなど、7カ国13都市に分散され、オランダにはわずか7点が残るのみです。
日本にも審議が定かでない、おそらくフェルメールの作品ではないかといわれている作品が1点あります。
ヨハネス・フェルメールに帰属「聖プラクセディス」
帰属というのは、フェルメールの作品かな?そうかな?そうだったらいいなぁ・・という意味です。フェルメールだとすると、宗教画を描いていた頃の初期作品でしょうね。
個人所有されていたものが、国立西洋美術館に寄託されて一般公開されています。
「フェルメール展」で観られるフェルーメール作品
東京(9作品) 上野の森美術館 2018.10.5〜2019.2.3
1、マルタとマリアの家のキリスト 1654-1655年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
2、取り持ち女 1656年 ドレスデン国立古典絵画館 【日本初公開】※1/9(水)~会期終了まで展示
3、牛乳を注ぐ女 1658-1660年頃 アムステルダム国立美術館 *東京限定*
4、ワイングラス 1661-1662年頃 ベルリン国立美術館【日本初公開】 *東京限定*
5、リュートを調弦する女 1662-1663年頃 メトロポリタン美術館
6、真珠の首飾りの女 1662-1665年頃 ベルリン国立美術館
7、手紙を書く女 1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー *東京限定*
8、赤い帽子の娘 1665-1666年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー【日本初公開】※12月20日(木)までの展示 *東京限定*
9、手紙を書く婦人と召使い 1670-1671年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー
大阪(6作品)大阪私立美術館 2019.2.16~5.12
1、マルタとマリアの家のキリスト 1654-1655年頃 スコットランド・ナショナル・ギャラリー
2、取り持ち女 1656年 ドレスデン国立古典絵画館 【日本初公開】
3、手紙を書く女 1665年頃 ワシントン・ナショナル・ギャラリー
4、恋文 アムステルダム国立美術館1669 – 1670年頃 *大阪限定*
5、手紙を書く婦人と召使い 1670-1671年頃 アイルランド・ナショナル・ギャラリー
6、リュートを調弦する女 1662-1663年頃 メトロポリタン美術館
フェルメールの人気の秘密
日本でもフェルメールの人気は凄まじく、フェルメールの絵が来日するとなると連日行列必至!ゆっくり絵画を鑑賞したいとなると、よほど日時を厳選しないと難しいほどです。
人気の理由は、感覚的に鑑賞しても充分楽しめる絵画である、ということが大きいと思います。
フェルメールが描くのは、人々の生活です。時代は変われど人々の日常に対する気持ちは今も昔もそれほど変わってはいません!
なので、絵を観て想像するだけで楽しめるのです。
光による親近感
もう一つの理由は、光による親近感でしょうね!
オランダは日本と同じようにカラッと晴れた日が少ないので、フェルメールの特徴である窓から差し込む光も直射日光ではなく、間接照明的なワンクッション置かれた柔らかい光です。おそらく向かいの家の白い壁や透明度の高くないガラスに当たって入ってくる並行的な光が部屋に差し込んでくるのでしょう。日本だと、障子に当たって入ってくる光とてもよく似ています。
海外の風景なのに、どこか懐かしい感じがするのはこの為でしょう・・・
余談ですが、災害時に話題になった懐中電灯に水を入れたペットボトルを重ねるとと光が拡散してより明るくなるというのは、実は昔から採光に利用されていて、障子もその一つです。
外界から差し込む光を白い障子で拡散させ、奥深い作りになっている、日本家屋の奥まで光を届ける役割を担っています。
私は・・よくいえば築100年の古民家。現実をみればボロ家で育ちましたが、障子を開けたときよりも障子を閉めている方が明るかったです。
そんだったんですね、障子は破るためにあると思っていましたよ!
館長ぉお〜〜〜〜!!!
館長はご乱心なので、話を戻します。
ただ、そんな感覚的に楽しめるフェルメールですが、少し予備知識があるとさらに楽しめます。
たとえば・・・
ワイングラス
この「ワイングラス」ですが、男女がお酒を楽しいんでいるように見えます。まぁその通りなんですが・・
グラスは一つだけ・・奥さんにぶどう酒を試飲させてるのかな?
実は・・もうちょっと色っぽい絵です(*´罒`*)ニヒヒ
手前の椅子に置かれた楽器はリュート。快楽を伴う表現するアトリビュートです。
ワインは誘惑。
男性はワインを差し出し、女性は飲み干していますね(* ̄∇ ̄*)エヘヘ
女性は男性を受け入れ状態にあるようです。
ただ、そんな甘い関係に水を差すも表現も描き込まれています。
左端に書かれた窓のステンドグラスに注目してください・・
ちょっと写真では分かりにくいですが、右手に手綱をもった女性が描かれています。
これは「節制」を意味していて、羽目を外そうとしてる女性を戒めているんです!
この「ワイングラス」という作品では、ステンドグラスと女性の持つグラスの質感に注目して見てくださいね(*´﹀`*)
牛乳を注ぐ女
光の魔術師と言われるフェルメールですが、彼の光の秘密は様々で、最も大きいのは光の粒の発見です。
光の秘密
フェルメールは、当時発明されたカメラ・オブ・スキュラというカメラの原型とも言える最新鋭の撮影機で撮影されたモデルを用いて絵を描いていました。
その時、光が白い粒となって映し出されることに気がついたフェルメールは、その白い粒を絵画に取り入れました!
近くで見るとカビが生えてるように見える無数の点。しかし、少し離れ観ると、それはもう美味しそうなパンになります!
この光の技法は、あらゆるフェルメール作品にみられますのので、他の作品でも注目してみてくださいね♪
離れたところで想像した絵具とは、まるで違う色で描かれていて、間近で観ると驚く!!
こんな色彩表現にも注目してみてください!
そして、この絵のもう一つのポイントは足もとに置かれた暖房器具です。
共感を呼ぶ空気感
最初、この位置には洗濯ものが置かれていたことがX線写真によって分かっています。
しかしながら小さな暖房器具を描くことでキンと冷えた朝の空気感を演出し、絵に描かれている女性と空気を共有できる仕組みになっています。
寒い朝に忙してくしている女性は暑くなったのかな?腕まくりをしています・・いや、服が汚れてはいけないと思ってたくし上げたのか・・どちらにしても「わかる!わかる!」と、共感できる絵ですよね。自分が絵の中に溶けこむようなトリップ感をお楽しみください♪
手紙を書く婦人と召使い
この絵もドラマチックで好きなんですよね〜♪
私がこの絵を初めて見たときは、少し高めの位置に展示されていたので、まず目線が床に落とされたクシャクシャになった手紙に目が向きまいした。
女性が書き損じた手紙のようにも思いますが、手紙に封をしていただろう赤い蝋が落ちています。この手紙は急いで開封されて、くしゃくしゃに丸めて床に落とされたんです。
何ごと?と思って少し顔をあげると誰かの不在を意味するように椅子が一脚。そして一心不乱に手紙をしたためる女性・・・
嬉しい手紙を床に丸めて落としたりしませんからね・・この女性の身に何か不本意なことが起こってるいるに違いありません。
そして召使いの後ろに飾られている絵画・・・この中には画中画として「モーセの発見」というテーマの絵が描かれています。
これは旧約聖書の物語の一つで、「ヘブライ人の男子を皆殺しにせよ」という王の命令に背いてモーセの母ヨケベドは生まれたばかりの息子を守るために川に流します。それを王の娘が見つけて育てるという逸話を書いたものです。
当時この逸話は人々の気持ちを鎮めるものとされていました。和解の寓意ともいわれいたので、恋人との和解を求る手紙を書いている!
子どもが主体の絵画なので、子ども関連の一大事を知らせる手紙を書いている・・
その他いろんな説がありますが、私は女性が何について書いているかは問題ではないのかもしれないって思っていて、ドキドキハラハラと手紙を書く女性を案じていると、ふと「モーセの発見」の絵画が目に入ってきて気持ちが落ち着いていく・・そして「私たちには関係ないことよ・・」なんて言ってる召使いの視線に促されて、部屋の中の喧騒とは全く反対の穏やかなひさしの窓へと目をやる・・・ドラマ性と静けさとを一枚の絵に同居させて動から静への移ろいが描かれているような気がします。
う〜ん、この温度差をぜひ体感していただきたいっ(*´﹀`*)
こんな風にフェルメールは画中画に意味を持たせてたりするのが得意です。
「リュートを調律する女」では世界地図が大きく飾られています。
これは遠くにいる愛する人を思って窓の外に想いを馳せているのかもしれませんね・・・
最後にチケット情報&アクセス
東京会場(上野の森美術館)|チケットの入手方法
日時指定入場制をとっているため、前日まで前売日時指定券の購入が必要です!
※当日券は前売日時指定券が完売しなかった日時のみ販売されます。
【入場時間枠】
① 9:30~10:30 ② 11:00~12:30 ③ 13:00~14:30④ 15:00~16:30 ⑤ 17:00~18:30 ⑥ 19:00~20:00
【チケット料金】
一般 | 大学・高校生 | 中学・小学生 | 図録付前売日時指定券 |
¥2,500 | ¥1,800 | ¥1,000 | ¥5,000 |
【チケット入手方法】
インタネット受付 | フジテレビダイレクト |
電話受付 ※前売日時指定券のみ | 0570-02-9999(自動音) Pコード:561-549 |
店舗受付 | セブンイレブン |
来場日前日の23:59まで販売しています。 ※予定枚数に達し次第販売終了となります。 |
【当日券の購入方法】
販売枠に余裕がある入場時間枠のみ販売!
インターネット、電話、ぴあ店舗、会場チケット窓口
※各販売枠最終入場時間までの販売となりなす!
上野の森美術館へのアクセス
【最寄り駅】
JR上野駅公園口 公園口改札から徒歩約3分(JR上野駅構内地図) 京成上野駅から徒歩約4分(京成上野駅構内地図) 東京メトロ銀座線・日比谷線上野駅山下口 7番出口から徒歩4分(東京メトロ上野駅構内地図) |
【駐車場】
美術館には駐車場がありませんので、近くの有料駐車場をご利用ください
大阪会場(大阪市立美術館)|チケットの入手方法
【チケット料金】
一般 (前売り) | 大学・高校生 (前売り) | 中学生以下 (障がい者手帳等をお持ちの方) | 早割ペア券 10/5~11/15 |
¥1,800 (¥1,600) | ¥1,500 (¥1,300) | 無料 | ¥3,000 (二人で) |
早割ペア券・前売りチケット販売場所
大阪市立美術館へのアクセス
【最寄り駅】
Osaka Metro 御堂筋線 天王寺駅 谷町線 天王寺駅 15,16号出口 約6分 JR 天王寺駅 中央改札を出て約6分 近鉄 南大阪線 大阪阿部野橋駅 西改札口をでて約11分 |
【天王寺公園地下駐車場駐車場】
平日 (当日最大料金¥1,600) | 8:00~22:00 | 30分/¥200 |
22:00~8:00 | 60分/¥100 | |
土日祝 (当日最大料金¥2,400) | 8:00~22:00 | 30分/¥300 |
22:00~8:00 | 60分/¥100 |
15分ほど歩きますが、(それよりも治安がちょっと悪いですが)西成付近まで行くと、1日¥1,000以内はザラにあります。
本日は以上です。これからフェルメール展に行こうという人の参考になると嬉しいのですが・・・
最後までお読みいただき、ありがとうございます。
当館は土曜の深夜に開館します。また来週ご来館をお待ちしております。
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