2018年10月5日、韓国で行われる国際観艦式への参加を日本が見送ることを決定したようです。
https://news.tbs.co.jp/newseye/tbs_newseye3491054.html海自 韓国での観艦式参加を見送り、“旭日旗”めぐる問題で
11日に韓国で開催される「国際観艦式」について、防衛省は海上自衛隊の参加を見送ることを決めました。背景には自衛艦の旗である「旭日旗」をめぐる対立があります。
「残念ながら、我が国として国際観艦式への参加を見送らざるを得ない判断に至った」(岩屋毅防衛相)
国際観艦式をめぐって韓国側は、参加する艦船の先頭と後方に旗を掲げないことを要請していました。しかし、岩屋防衛大臣は「国内法上、自衛艦旗の掲揚が義務づけられている」などとして要請を受け入れず、参加を見送ることを決めました。
自衛艦旗である旭日旗は旧日本軍で使われ、韓国では『侵略の象徴』として反発があるため、事実上、韓国側が掲げないよう求めていたものですが、2008年に韓国で行われた観艦式では自衛艦が旗を掲げていました。
同日12時の段階ではなお調整中だったみたいですが、日本側としては旭日旗掲揚というメンツを守ることを優先したようですね。
http://www.mod.go.jp/j/press/kisha/2018/10/05a.html平成30年10月5日(12:00~12:39)防衛省記者会見室
Q:来週、韓国で国際観艦式があると思いますが、それに関連して韓国政府から日本政府に自衛艦旗である旭日旗の掲揚をしないという通知があったと思うのですが、それへの防衛省・自衛隊としての対応は如何でしょうか。
A:経緯はおっしゃった通りでございまして、今回の観艦式の参加に関しまして、韓国海軍から全参加国に対して、「自国の国旗と韓国国旗をマストに掲揚する」及び「艦首及び艦尾の旗は掲げない」旨の統一指示が示されたところでございます。わが国としては、マストに両国の国旗を掲げるということは可能なのですが、自衛艦旗については、自衛隊法等の国内法令によりまして、艦尾への掲揚が義務付けられております。また、国際法上も国の軍隊に所属する船舶であることを示す外部標識に該当するものでございます。したがって、わが国が本観艦式に参加する場合には、艦尾に自衛艦旗を掲揚するということになります。こういう日本の立場については、累次韓国側にも説明をしてきているところでございます。こういったことを踏まえて、もうあまり時間もありませんが、対応につきましては決定してまいりたいと思います。
Q:おっしゃった通り、あまり時間がないわけですが、日本政府の立場があった上で、韓国政府の対応が変わらない場合は、どのような対応をお考えですか。
A:再三に渡って、統一指示も外交ルートを通じて、あるいは両国の韓国軍と自衛隊のパイプがあり交渉はしてきてはいるのですけれども、中々現段階では難しいということみたいなので、それらの状況も総合的に勘案して、早期に結論を出さなければならないと思っているところです。
前にも言いましたが、自衛艦旗掲揚のルールは訓令レベルで詳細が決められていますので防衛大臣の権限でどうとでも対応できますから、防衛大臣が法律のせいにするのはどうかと思うんですよね。
「国の軍隊に所属する船舶であることを示す外部標識」が軍艦旗でなければならない理由もありませんしね。
ところでこの件に関して、以前の観艦式では旭日旗を掲揚していたという主張が散見されます。
(「自衛艦 韓国派遣見送り 旭日旗自粛「受け入れられず」」産経新聞、2018/10/5)
https://www.sankei.com/politics/news/181005/plt1810050018-n2.html
韓国での国際観艦式は1998年、2008年にも行われたが海自に対する自粛要請はなく、海自護衛艦は旭日旗を掲げて参加した。
実際、旭日旗に対する韓国世論は以前はさほど悪くもなく、批判的な意見はあっても一部に過ぎないといった状態だったように思えます。朝鮮日報にはこういう指摘があります。
(「なぜ今になって韓国は旭日旗に怒っているのか」朝鮮日報、2018/10/6)
http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2018/10/06/2018100600425_3.html
2000年代以降、日本の右傾化がはっきりする流れに合わせ、韓国では旭日旗に対する反感が徐々に増幅されているのが実情だ。
個人的には、旭日旗に対する韓国世論が悪化した直接的な原因は2012年頃以降のこういう流れだとみています。
「(2012年9月)23日午後‘在日特権を許さない市民の会’等、日本の右翼団体会員100人余りが東京、銀座通りで日章旗と旭日昇天旗を掲げて‘韓国と国交断絶’等のスローガンを叫び行進している。 この日、東京の他に名古屋、福岡、札幌でも反韓デモが開かれた。」
http://japan.hani.co.kr/arti/society/12861.html;title
(「"日-韓交流を断ち切ろう" 日本右翼団体 反韓デモ」ハンギョレ、2012/9/24)
(2014年9月23日)「警察がデモ隊とカウンターの間に入る、いつもの光景。国連の委員からは「日本の警察はデモ隊に付き添っているように見える」との批判がある。=23日、六本木 写真:島崎ろでぃ=」
田中龍作ジャーナル | 安倍政権と嫌韓デモ はびこるヘイト勢力
2014年の嫌韓デモに関する韓国報道
https://www.youtube.com/watch?v=tIZaYmaOHBk
www.youtube.com
こういった経緯*1を経て、一般の韓国人から見て、旭日旗が日本の韓国差別団体のアイコンになってしまったというのが実態かなぁと。
それ以前も旭日旗は日本の右翼団体のアイコンの一つではありましたが、終戦記念日などの歴史認識に関連する場面で知られる程度であって、韓国側でもアイコンとしての旭日旗を攻撃するのは一部で、今ほど一般化はしてなかったように思うんですよね。
というわけで特にここ5年ほどの間、韓国世論の旭日旗のイメージを著しく悪化させたのは、旭日旗を多用した嫌韓デモや韓国人差別団体としか言いようがなく、旭日旗に誇りを感じる人たちは、その旗が民族差別の旗印にされてた時に何をしていたのかなぁ、という疑問をいだかざるを得ないわけです。
特に公式に旭日旗を自衛艦旗として使用している海上自衛隊などは本来ならちゃんと対応すべきだったんじゃないですかねぇ。
そういった日本社会にも責任の一端があることを無視して、“韓国が理不尽な要求をしている”としか認識できないのなら、旭日旗を掲げて韓国人排斥を叫んでた連中と大差無いないように感じます。
*1:ネット上での差別動画も含め