糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの
10月05日の「今日のダーリン」
・ぼくはどうしてこんなに「トング」が好きなのか?
「トング」ががんばっているのを見ると、
ほんとに、「いいなぁ、応援してるぞ」と思ってしまう。
トングは、菜箸では持ち上げられないような、
けっこう重いものや、熱いものを持ち上げられる。
ぼくはジャムをつくる回数が人より多いのだけれど、
トングがなかったら、どうしていただろうかと思う。
熱い蒸気や熱湯で消毒したガラス瓶を、
長い箸やら、軍手やら、鍋つかみやらで、
どうやって湯から取り出し、適当な場所に運べるのか?
熱さ、重さ、滑りやすさ、水濡れ、火炎といった、
複数の困難がある状況をものともせず、
トングは軽々と仕事をこなしてくれる。
目黒のさんま祭りのときなどにトングがなかったなら、
かんかんにおこった炭火の上で、
どうやってさんまをひっくり返せばいいのか。
石焼き芋のおじさんは、軍手で焼き芋を取り出す。
あれはあれでかまわないんだけれど、
家で焼き芋をやるときにはトングのほうが都合がいいよ。
昔の家庭には、トングはなかったような気がする。
いまでも、トングを使わない家も多いかもしれない。
たぶん我が家の人なども、トングがなくても平気だろう。
彼女は、じぶんでトングを買ったことがないと思う。
トングを使うことがあったとしても、
それは、おそらくぼくが買ったトングだ。
しかも、トングが見当たらなくても探しもしないだろう。
どうして、そんなにトングに冷たくできるのだ。
たぶんトングが、一般家庭のキッチンにおいては、
いまだ新参者ということになってるからではあるまいか。
食器やグラス、カトラリーのように、
美術品のようなトングはないよ、たしかに。
どんなに称賛されたとしても貴族にはなれないだろう。
ワーキングクラス・ヒーローなんだよ、トングは。
だから好きなのかなぁ、ぼくの場合は、
新参者で、ワーキングクラス。ヒーローだもんな。
いつか芸術的トングを、創ってもらえないかなぁ。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
前に「台車」もほめたよね。あと「爪切り」も好きなんだ。
「トング」ががんばっているのを見ると、
ほんとに、「いいなぁ、応援してるぞ」と思ってしまう。
トングは、菜箸では持ち上げられないような、
けっこう重いものや、熱いものを持ち上げられる。
ぼくはジャムをつくる回数が人より多いのだけれど、
トングがなかったら、どうしていただろうかと思う。
熱い蒸気や熱湯で消毒したガラス瓶を、
長い箸やら、軍手やら、鍋つかみやらで、
どうやって湯から取り出し、適当な場所に運べるのか?
熱さ、重さ、滑りやすさ、水濡れ、火炎といった、
複数の困難がある状況をものともせず、
トングは軽々と仕事をこなしてくれる。
目黒のさんま祭りのときなどにトングがなかったなら、
かんかんにおこった炭火の上で、
どうやってさんまをひっくり返せばいいのか。
石焼き芋のおじさんは、軍手で焼き芋を取り出す。
あれはあれでかまわないんだけれど、
家で焼き芋をやるときにはトングのほうが都合がいいよ。
昔の家庭には、トングはなかったような気がする。
いまでも、トングを使わない家も多いかもしれない。
たぶん我が家の人なども、トングがなくても平気だろう。
彼女は、じぶんでトングを買ったことがないと思う。
トングを使うことがあったとしても、
それは、おそらくぼくが買ったトングだ。
しかも、トングが見当たらなくても探しもしないだろう。
どうして、そんなにトングに冷たくできるのだ。
たぶんトングが、一般家庭のキッチンにおいては、
いまだ新参者ということになってるからではあるまいか。
食器やグラス、カトラリーのように、
美術品のようなトングはないよ、たしかに。
どんなに称賛されたとしても貴族にはなれないだろう。
ワーキングクラス・ヒーローなんだよ、トングは。
だから好きなのかなぁ、ぼくの場合は、
新参者で、ワーキングクラス。ヒーローだもんな。
いつか芸術的トングを、創ってもらえないかなぁ。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
前に「台車」もほめたよね。あと「爪切り」も好きなんだ。