【格闘技】井上尚弥“真の王者”へ静かな闘志 パヤノは王座奪還に自信2018年10月6日 紙面から
ボクシングのトリプル世界戦(7日、横浜アリーナ)の記者会見が5日、東京都内で行われた。階級最強決定トーナメント「ワールド・ボクシング・スーパーシリーズ(WBSS)」の第2シーズン開幕戦を兼ねたイベントとなり、冒頭約20分間は世界配信に対応するため英語のみ。ワールドワイドなムードが漂う中、メインイベントのWBAバンタム級タイトル戦を兼ねたWBSS同級1回戦に出場する王者・井上尚弥(25)=大橋=は静かに闘志を燃やした。 会見場の後方に金色の「アリ・トロフィー」が描かれたボードが設置され、会見は英語のみで始まった。これまでの世界戦とは異質な雰囲気の中央に井上尚がいた。「コンディションは過去最高と言っていい。初戦から強さを見せ、全国の、全世界のファンにさらなる強い井上尚弥をアピールしたい」。静かに、だが闘志を込めて語った。 WBSSのザワーランド・プロモーターによると、試合は北米のDAZN(ダゾーン)をはじめ世界120カ国以上に中継される。優勝賞金も数億円だ。 ボクシング界では団体ごとに「世界王者」が並び立つのが通例だった。だが、WBSSバンタム級には3団体の4王者が参戦。統一王者を誕生させ、真の王者を決めるコンセプトが世界的な注目を集める。 7日に対戦するパヤノ(ドミニカ共和国)は現在は無冠だが元WBAスーパー王者で間違いなく、同級の第一人者。世界的な注目と、高額賞金、そして強い相手。すべてがそろった大会に、燃えないわけがない。「自分自身が、こういう大会を望んでいた。ファンの皆さんにバンタム級最強を証明したい」。真の世界最強への第一歩はもうすぐ記される。 (藤本敏和) ◆パヤノ 王座奪還に自信井上尚に挑むWBA同級4位フアンカルロス・パヤノ(34)は白いワイシャツにジャケットという落ち着いた装い。「井上は全階級を通じてもトップクラスの素晴らしいファイターだが、私は1ラウンド1ラウンドを必ず勝ち、見た者すべてが勝者がどちらかわかる試合をしたい」と力強く話した。2014年に同級を12度防衛していた第一人者モレノ(パナマ)を破り戴冠。15年に僅差判定で敗れ王座を失ったものの、20勝9KO1敗と敗戦はその1度だけのベテランはタイトル奪還に自信たっぷりだ。
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