今回は、イオンのプライベートブランド、トップバリュ ベストプライスのウイスキーを飲んでみます。

かつての2級ウイスキー並みの原酒比率

top_vp_以前より、トップバリュブランドでのウイスキーは売られていましたが、安価なブランドであるベストプライスの商品としてリニューアルされたようです。

以前は合同酒精が製造していましたが、今回の新しいウイスキーは、山梨県笛吹市にある南アルプスワインアンドビバレッジという会社が製造しています。

同社は2012年に、酒類販売などを手がける徳岡の出資で設立されました。
2015年にはウイスキーの製造免許を取得し、蜂角鷹(はちくま)というオリジナルのウイスキーも発売しています。

さて、ボトルのラベルに目を向けると、「モルト、グレーン 10%以上」「スピリッツ 90%未満」とでかでかと表記しています。

馬鹿正直と言ってしまえばそれまでですが、原酒10%以上というのは、1978年から1989年3月の2級ウイスキーの水準だとアピールしているわけです。

開き直って「こちとらまともなウイスキーじゃないんだ!文句あっか!!」と逆ギレするかのような勢いを感じます。

ここまで地雷臭を放っていると、飲まずにいられないのが人情という奴です。

値段、原酒比率の割に出来の良いボトル

では、ストレートから飲みます。
グラスに注ぐと、液色は少し薄めの琥珀色、香りはほのかにハチミツを感じます。

口に含むと、強烈なほどハチミツとカラメルの香りが広がります。アルコールの刺激もありますが、それほど気になるほどではありません。奥からは軽くブドウも感じ取れます。

味わいは軽い酸味とアルコールからの辛みが訪れ、後から甘みが付いていきます。

ロックにすると、ナッツとナシが揮発してきます。その後にハチミツ、カラメルと続きます。
味わいは、渋みを帯びつつも、甘みが顔を出した印象です。

ハイボールにすると、味わいこそ苦味が前に来た刺激的な印象ですが、香りは軽くマスカットを得られます。

正直、「悪くない」です。

従来品が焼酎に毛が生えた程度にしか感じられなかった香りが、このボトルではしっかりと感じられ、わずかとは言えフルーティさも備えています。
味わいにしても、アルコールのきつさは意外に少なく、ストレートでも飲めます。

モルトやグレーンの原酒がわずかといいながら、スピリッツも樽熟成するなどの工夫をしているのではないでしょうか。

720mL、アルコール度数37度、価格は591円です。
値段を考えても、最低限ウイスキーらしさのあるものを飲む選択肢に挙げてもいいでしょう。
地雷だった従来品に比べれば十分質は上がっています。

ウイスキーメーカーとしては新参者の南アルプスワインアンドビバレッジも、そのポテンシャルを期待させてくれます。

<個人的評価>

  • 香り D: ハチミツ、カラメルの香りが主体。奥からブドウ。アルコールの刺激は少ない。
  • 味わい C: ストレートでは酸味が前。加水でビターが目立つ。奥から甘み。
  • 総評 C: 値段と原酒比率を考えれば、悪くない。