東京慈恵会医科大学附属病院は2018年10月4日、人工知能「AlphaGo(アルファ碁)」を開発したことで知られる英DeepMind社(Google社傘下)のヘルスケア部門であるDeepMind Healthと5年間の医学研究パートナーシップを締結した。DeepMind社が参加している、インペリアル・カレッジ・ロンドン(Cancer Research UK Imperial Centre)主導による乳がんスクリーニングの研究に参加し、乳がんの早期診断と症例の見落とし減少、疾病管理の向上を目指す。
2007~2018年に慈恵医大病院で撮影され、匿名化された約3万人のマンモグラフィーの分析をDeepMind社と共同で行う。具体的には、これらのデータと英国のUK OPTIMAMが保有するマンモグラフィデータベースのデータと合わせてAI技術による解析を行い、現在のスクリーニング技術よりも効果的にX線画像上でがん性組織の兆候を検出できるかを検討する。研究の過程で、同病院の約3万人の匿名化された乳房超音波検査画像および3500の匿名化された乳房MRIスキャン画像の共有も予定している。
現在、乳がんのスクリーニングとしてマンモグラフィーが用いられるが、毎年数千の症例が見落とされ、そのうちの30%が検診と検診の間に進行する「中間期がん」とされている。マンモグラフィーによるスクリーニング後に、乳房超音波や乳房MRI検査などで検出精度を高めているが、スクリーニング初期段階のマンモグラフィーでの正しい診断が重要という。
Cancer Research UK Imperial CentreディレクターのAra Darzi教授は、今回の共同研究について次のように述べている。「グローバルなリサーチパートナーシップへの慈恵医科大病院の参画は、毎年世界中で乳がんを発症する数百万人の人々の治療を変革するかもしれない技術の開発に一歩近づくことを意味している」。