送金規制を緩和へ 首相表明、IT企業の参入促す

経済
政治
2018/10/5 23:10
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政府は銀行以外の事業者に送金を認める「資金移動業」などの金融に関する法規制の見直しを検討する。フィンテックの台頭でIT(情報技術)企業などによる金融への参入が進みつつある。金融のサービスやリスクに応じた横断的な法規制に改め、技術革新を促す。

未来投資会議であいさつする安倍首相(5日午後、首相官邸)

未来投資会議であいさつする安倍首相(5日午後、首相官邸)

5日、安倍晋三首相が未来投資会議で明らかにした。首相は同会議で「キャッシュレスで送金サービスを受けられる社会を実現するため、金融法制の見直しや金融機関との連携促進などを検討する」と述べた。

例えば、資金決済法に基づく資金移動業者は銀行でなくても送金サービスを手掛けられるが、上限は100万円までとなっている。この規制を緩めれば、銀行を経由せずに企業同士でまとまったお金をやり取りできるサービスが生まれる可能性がある。

成長戦略をめぐっては、来年夏までに今後3年間の工程表を含む実行計画をまとめる。労働市場改革を目玉の一つにする。未来投資会議の下に経団連の中西宏明会長と連合の神津里季生会長、労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の樋口美雄会長らを入れた政労使の協議会を設ける。

首相は65歳以上への継続雇用年齢の引き上げの検討も表明した。新卒一括採用の見直しや中途採用の拡大も合わせた労働市場改革を進める。

この後、政府は経済財政諮問会議も開き、2019年10月に予定する消費増税の景気への影響を最小限にするための経済対策の検討を始めた。首相は「機動的な経済財政運営に万全を期す」とした上で「景気の回復基調が持続できるよう、しっかり対応を検討してほしい」と指示した。年末に対策のパッケージをとりまとめる。

個人向けでは増税後の自動車や住宅の購入を税・財政で支援する。企業向けは増税後の「消費税還元セール」を事実上、解禁し、増税前の駆け込み需要とその反動をならす取り組みを進める。18年度補正予算案を2段階で編成し、西日本豪雨などの復旧費だけでなく、防災・減災対策の名目でインフラ整備も進める。

高齢化で歳出が大幅に増えている国の社会保障費を巡っては、経済財政諮問会議の民間議員が19~21年度の予算案で歳出抑制のための明確な基準作りを求めた。高齢者への給付や負担を見直すような社会保障改革は来年夏の参院選後に先送りする。

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