何故か自信満々の賢者さんに先導されて
セフィラを繋ぐ道は小径(パス)と言う名前で表記されていて、その情景は星々の海に浮かぶ光の道と言う感じ。
頭上にも眼下にも満天の星空が広がる様子はとっても凄い、本当の空ではないけれど、その作りにはとても力が入っている、ブループラネットさんの作った空にも負けない作りで、2人きりならロマンチックな気分に浸れそう
なんだか星の海の中に居るような気分になる。
「このセフィロトの樹はユグドラシルという世界の外側、いわば別の樹、宇宙船で外側に来ていると考えるとある意味、間違っていないかと」
「宇宙船をファンタジー風にした感じですか」
「そういえば、宇宙船の中心に植物を据えるって設計、聞いた事あります。」
思い思いの言葉を交わしながら、進む毎に視界に輝きが満ちて行く
生命を感じさせる蛍の様な燐光が舞い、その数を増やしていく先に
光を放つ大樹が見える、それがセフィロトの中枢、秘されし第十一のセフィラ
『ようこそ神去りし場所へ』
『そしてご帰還を喜び申し上げます』
『再誕を寿ごう』
『聖なるかな、聖なるかな――』
『神の御名を――』
なんだかノンアクティブの上位三位階の天使がわらわらと飛んでて、何かしゃべってるけど、一度に喋られても何言ってるか分かりません、もう少しまとめて喋ってほしいです。仕様なのでしょうか。
セラフィムさん達は下、中位三位階の天使達の様に人間型では無くて翼の塊に目がいっぱいだとか獣頭が四つあるとか、炎の車輪だとか、わりと異形です。一応ユグドラシルの天使って異形種枠なんだなーと改めて思いだします。
一応、此処の天使達は歓迎ムードですね。
「ええと、ダンジョン攻略の概要ってたしか……。」
「主が神坐から姿を消して天使達が暴走してるからどうにかすると言う感じの内容ですね」
「天使皆殺しでOKですかね?」
「中枢の支配権を奪うルートとしてはそれもありですね。」
「酷っ、この状況でその対応はあんまりだよっ」
「極善の天使が居るのですから、まどかさんが主に納まる方向でも多分クリアになりますよ」
光を放つ木の根元に近づくと、古びた青銅の箱が置かれており、その中には白い灰が満たされている。
賢者さんに促されてそれに触れると灰が瞬く間に一つの形を形成していき一枚の石板となって居た。
「失われたアーク、その中に収められたワールドアイテム『十戒の石板』で、良い様ですね」
「え?これワールドアイテムだったんですか。」
「ほほぅ、どんな壊れ性能ですかね?」
レアアイテムコレクターのモモンガさんもくい気味に乗り出してきています。
賢者さんは鑑定スキルにアイテム、魔法を次々に駆使してるのですが、目がちょっと怖いです。
「ふむ、簡単に言うとギルドを強化するアイテムですね」
「諸王の玉座みたいなものですか。」
「似たようなものですが、拠点ポイントを増やすには他の拠点が必要になります」
「具体的には?」
2人の会話を眺めながら私も鑑定スキルと魔法を多重発動して確認です。
十の契約と言う名前のその力は、文字通り十通り存在し十戒の設置されたギルド拠点において、十の機能のどれか一つを選択しそれらを適用する事が出来る。
一系統の魔法を使用禁止、特定日だけダンジョンへの進攻不可、ギルド拠点の統合、等々、ちょっと苦しい所もありますが、聖書の十戒になぞらえたりしているみたいですね。
ともあれ、十戒の石板を手に取ると(ちなみに、攻略者じゃなかったので、賢者さんははじかれました)ダンジョンコンプリートのテロップとBGMが流れてダンジョンクリアーが成功した事がわかります。これでさらに裏ボスが出る訳では無い事がわかり、一安心。
さて、ダンジョンを初見クリアしますと。ワールドアイテムの諸王の玉座が手に入ります。
このアイテムは複数回手に入るワールドアイテムとして割と有名所な訳ですが、アインズウールゴウンにとっては既に手に入れているアイテムなのでそんなに意味はありません。
設置アイテムだから装備できないし、そもそも、その性能が重複しないので賑やかし程度にしか使えない訳なのですね。
そんなワールドアイテムが手に入る訳なのですが、今回はコマンド画面でもう一つの選択肢が出てきました。
「「……『セフィロト/生命の実』?」」
なんだか知らないレアアイテムの予感がします。
とりあえず、( ̄▽ ̄)のアイコンをだしてふっふっふっふとドヤ顔で笑う賢者さんが印象的でした。
知ってるんですか賢者さん!?と反応するべきでしょうか、反応しないと拗ねそうな気がしますね。
ちょっと拗ねた姿が見たいような、とか思っているとモモンガさんが先に聞いてしましました。
「知ってるんですか賢者さん!?」
「知っている、と言うのとはちょっと違いますね、予想していただけです。ただ、私の予想が正しければそれは――」
よっぽど、思い入れがあるのか溜めが長いです。
やりたかったシチュエーションなんですね、気持ちはわかります。
私の生暖かな視線の中で、アイコンを使い合って、モモンガさんと賢者さんがノリノリで掛け合いをしています。
2人は相性良かったんでしょうか、もっと早くにモモンガさんに紹介するべきだったでしょうかね?
「――カウンターストップ解除、すなわち限界突破アイテムです。」
沈黙が落ちます、息を飲んだと言っても良いです。
未だかつて多くのプレイヤーがあと少しのレベルがあればと見送った多くのビルド構成
レベル100の限界の為に届きそうで届かなかった、それを越える為のアイテムがこれだと、それは軽く私の持つ原作知識を越えて来る事実でした。
「カンスト解除はアップデートはもちろん、ワールドアイテムでも不可能だと聞きましたが」
「私の知る限り公式発表上アップデートでの解除は無いそうですね。《ウロボロス》での開放も正式に却下されています。ですが、限界解除が無いというアナウンスは知る限り在りません。」
「でも、こんなすごく限定的なイベントだと一強だけになるんじゃ?」
「バランスがおかしいのはユグラドシルではいつもの事ではないですか、それに限界突破アイテムが入手出来る場所は、恐らく他にもあります」
賢者さんは語る、世界樹の伝説は探せば多岐に渡って存在していると、私が知る限りでも、イルミンスール、扶桑、セフィロトの反転クリフォト、未だ誰も辿り着かない、この世界の
「限界突破は既に存在するし、ヒントもあるけれど、誰もそこまでたどり着けていない、と言う事ですか?」
「おそらくは」
「10年たっても発見されてないとかかなり、難易度高すぎると思うんですけど……。」
だって、ユグドラシルの運営ですから、大体この一言で納得できてしまう不思議。
十年かかって調べられたユグドラシルの多くの謎や知識は、それでも半分も紐解かれていないと賢者さんは語る。
「サーチャーズの先は長いですねぇ」
「ええ、でも遣り甲斐はあります。」
「(*^-^*)」
で、どちらを取るのかとモモンガさんと相談して、諸王の玉座は既にアインズウールゴウンにはある訳ですし、やはり未知のアイテムを取りたいとなりました。
念押しの本当にかまいませんか?yes/noの選択肢から迷わずyesをクリックすると、モモンガさんと私の目の前に林檎に似た果物が現れ、それぞれの手のひらに吸い込まれていきました。
「二つ手に入りましたね」
「林檎っぽかったですね、知恵の実はバナナだという説もあるそうですよ」
「クリアしたのは二人と言う扱いだから二つだけになったようですね。」
何処か呑気な会話をしながら、その日、私達はユグドラシルで最初の限界突破プレイヤーとなった。
書き為終了ー。
また、ちょこちょこ書き溜めるよ。誰も待ってない?
良いんだよ、自己満足なんだよ、言わせんなよ恥ずかしい。