オバロ☆マギカ   作:神坂真之介
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3、未知は怖くて怖くない。

そんな訳で現在、ナザリック第九階層、円卓の間にやってきました。

こっそりと扉の間から中を除くと、豪奢な衣服を身に纏った骸骨さんがシステムコマンドを眼前に展開して何やら考え込んでいます。

外見だけならとっても怖い骸骨さんですが、悩みながら時折見せる仕草がなんだかコケティッシュな可愛らしさを感じさせます。

モモンガさんってなんか可愛いですよね、あれを素でやってるんですから、この人反則だと思います。

 

ウフフ、とばかりに、モモンガさんの痴態(そんなに変な事はしていませんが)を眺めているとモモンガさんと目が合いました。

 

「……。」

「…………。」

「…………あの、まどかさん?」

「う、えへへへ……。」

 

『ウェヒヒ』とか聞こえるかもしれませんが気の所為です。

ともあれ、何と表現すればいいのか分からない沈黙を破ってモモンガさんの戸惑う声。

照れ隠しに笑いのアイコンを表示して、コソコソ、部屋に入る私と言う何だこの状況と言う状態になりました。

いえ、特に悪い事をしていた訳でもないのですが、なんか、居心地の悪い雰囲気ですね。

とりあえず、文字通り天使が通った間、は挨拶でリセットする事にします。

 

「えー、その、おはようございます?」

「あ、はい、今日も頑張りましょうね、まどかさん」

 

「それで、何を見てたんですか?」

「ええ、今日は何処に狩りに行こうかと思いまして、消費アイテムから使えるもの在庫を確認してました」

 

「ああ、モモンガさんもイベントリあんまり整理しませんものね」

「まぁ、どうしても、必要な物以外は後回しにしちゃいますからね」

 

「そもそも、課金で在庫数増やし過ぎて、とりあえず入れちゃって、あとで困るんですよね」

「俺の方も在庫1000は軽く入りますからねぇ」

 

と言う感じで話の趣旨がずれたりする世間話。

現在アインズウールゴウンで活動中のギルドメンバーは私とモモンガさんだけになる、偶にあと3人がログインしてくるけれど、毎日ログインしてるのは私達だけだ。

……少し寂しい。

 

……コホン、それはそれとして、ギルドを維持するには結構な量のユグドラシル金貨が必要になる。

なので、頻繁にお金を稼がないといけません、現状は黄金期に皆で貯め込んだお金がありますし、これまでの数年の間に在住メンバーで集めた貯金もあるので、維持するだけなら、数年放置しても何とかなりますが、そこで安心してはいけないのが世の中です。

うっかり、接続機器が大破したり、電脳的にPCがクラッシュしたり、物理的に壊れたりと、割と繊細な電子機器は突然故障します。

買い替えの手間とか色々あるので、そういった不測の機会に備えて貯蓄は多めにしておきたいのですね。

稼げるときに稼いで置いて後に後顧の憂い無しと行きたいものです。

予備のPCとか接続器を用意しろと言うかもしれませんが、人工心肺の費用も絡みますのでそうそうリアルマネーに余裕のある人の方が少ないのです、なので、この辺りが一般的じゃないかな。

 

「ただ、最近、いつもの狩りルートに不審人物を見かけるんですよね」

「不審人物ですか……もしかして、そういう?」

 

「ええ、逆探知妨害系魔法5重掛けで監視してみましたが、カルマ値善側に偏ったの神聖属性が集まってました。」

「最近、人が少なくなったから減ったと思ったんですけど、またですか、酷い」

 

これから予想されるのは、PK、モモンガさんは対策が取られるくらいビルド研究されてる人で

アインズウールゴウンはギルドランク以外でも異形種ヘイトのトップに立ったギルドなので、活動が活発でなくなった今でもある種、粘着質なPKが存在している。

モモンガさんもそこは承知していたので、狩りの順番を変えたり時間差を置いたりしていたのだけど、どうやら調べられていたみたいだった。

 

「正直そんな事をする労力を他に回すか、正面からのPVP申請なら受けて立つんですけどね」

「あはは、モモンガさんの対PVPって詰将棋見たいで、よっぽどPVPが好きな人以外は嫌がっちゃいますよ」

 

「正直新しい狩り場を開拓するべきかなと思ってる所ですよ」

「あ、それなら」

 

丁度良い話題があったので、振る事にした。

今でも交流のある活動中プレイヤーさんから聞いた情報で、それをワールドサーチャーズの情報と照らし合わせたものだった。

 

「モモンガさん、セフィラーの十天使、覚えてますか?」

「メタトロンとかの有名所の名前を冠したワールドエネミーですね」

 

「ドロップ品も?」

「ええと、天使系上位種族への転生に必要なアイテムの一つとか、レア装備、神器武器作成用レアアイテム、etcetc、それと……」

 

「はー、よく覚えてますね」

「まぁ、セフィラ毎の固有アイテム位は、後の被ったコモンアイテムとかは曖昧ですけどね……ああ、そういえば、エノクの書とか何に使うのか使用用途が判らなくてコレクターズアイテムとか言われてるのがありましたね」

 

「流石ですモモンガさん」

「は?」

 

さすモモです。

今回のキーアイテムはエノクの書です。このアイテムは何かの素材になる訳でもないし、本の内容はユーザーフレンドリーに日本語で書かれているけれど何かいてるのかわからないと言われていたのですが、先日、興味本位で見た所私は読めました。

いや、結構翻訳に時間かかりましたけどね、まさか、本当に絵の具語で書かれてるとは思いませんでした。

てっきり、ヴィクティム製作者さんの洒落だと思ってたんですが。

 

「要するにエノクの書には限定ワールド『セフィロト』の存在とそこへの侵入方法が書かれていたと」

「はい、それぞれのセフィラに対応した十天使が落とすコレクターアイテムは其処へ入るためのカギになってるみたいです。」

 

「セフィラのコレクターズアイテムなら、幾つか倉庫に塩漬けになってましたね」

「私も手持ちで8種コンプリしてますから、あと2つあれば」

 

コレクターアイテムは用途不明の割に超レア度アイテムです。

まだギルドメンバーが揃っていた頃、なんだかんだで、ワールドエネミーを一時期大量に狩ったので、ギルド倉庫になら十分な量がまだ存在してるんじゃないかなと。

 

「ふむ、狩場として実入りが、どれだけかが気になりますね。」

「収入に関しては行って見ない事にはどうとも、サーチャーズさんでも把握はしてないみたいですからわからないです、でも、だからこそ他のプレイヤーとの競合は多分0です。それに……。」

 

「それに?」

「未知への冒険、モモンガさん好きでしょ?」

 

(*^-^*)と笑顔のアイコンと人差し指を口元に充てて、ウィンクの表情エモーションを起動する。

(*´ω`*)と笑顔のアイコンがモモンガさんから帰って来た。快いOKのサインだった。

 

 

 

 

 

 

 




サクサク進める力(文才)が欲しい。
でも無いから、自分なりに書くんだよ。







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