顧客先の新規システムの立会いに、開発者プログラマとして常駐することもあり、しばし、出張することが幾度となくある。
出張後は、自社には戻らず、都会の空気を満喫しながら、理由をつけては自宅に直帰することも多い。
ヘラヘラな平社員の楽しみだよ。
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出張が終わり、直行直帰で自宅へと戻った。
時刻は15:00を過ぎたばかり。家で昼寝でもしよう。
自宅についた時に、見知らぬ男性が、家の草むしりをしていた。年齢も変わらない男性。唖然とした。
『えっ?あんた誰…。警察呼ぶよ。』
声には出さないけど…。率直な意見だった。
お手伝いを雇う余裕なんてない。強いて、お手伝いを熱望するならば、可愛らしいメイドさんを雇うのではないかと勝手に妄想する。
平日の誰もいない時間帯。鉢合わせた不法侵入者。
一人暮らしをしているならば啖呵もきれる。
しかしながら、娘が同居している以上は、安易に敵対視するような行動は取らない。
尾を引くリスクを背負うのは、正直ごめんだから。
『すみません。どちら様ですか?』
少しばかり、丁寧に話しを切り出してみた。
『〇〇と言います。草むしりをしていました。母親が施設で、いつもお世話になっています。』
嫁の介護の利用者さん家族なの?
何故に、草をむしるのか...。
少し間があり、彼は、身の上話を語り始める。
『母親が施設でお世話になってますから。』会話に意図的に組み込んでいるのが印象的だった。
話の全貌がみえてこない。 (☝︎ ՞ਊ ՞)☝︎
要約すると、彼は、30歳の時に退職をして、現在は無職で親の年金をあてにしながら生活中。
両親は、介護が必要となり、弟は自閉症で無職。
父親の介護施設の支払いを滞納してきたため、施設を追い出される案内通知が、先日届いた模様。
母親は、嫁が勤めている介護施設に通っている様子だが、同様に支払いを滞納している模様。
彼は、世論は弱者には厳しいだの、高齢者を守る義務が政府にはあるだの、貯金はないだの、食べる物がないだの…。なんか語っていた。
全く持って興味が湧かない。…何でしょ?
お気の毒ですね。頑張って下さいとしか言えない。
嫁の施設に、母親が通っているならば、同じ地域に住んでいる僕が認識していないだけの住人。
他人様の生活だから、何とも言えない。でも…。
払えないから人のせい。国の体制がそもそも悪い。
考え方が、ご都合主義で理不尽…。
介護施設は慈善事業ではなく民間企業だ。
血税だから負担額は、 1〜3 割だよ。
それより、何故、住所を知っているのか。そっちが、ガッツリ気になっていた。
嫁は、介護施設の責任者の立場ではある。
単純に支払いの滞納を待って欲しいと、なんとなく嘆願しにきているようにも思えた。多分…。
行動が尋常に思えなかったから、穏便に済ましておきたい。草むしりの目的って何だよ。(T ^ T)
介護前に仕事を辞めている。ミッシングワーカーとは、意味合いが違うのかも知れない。
親離れが出来ず、子離れが出来ず。結果に結びついたと思う。どちらかが崩れれば、必ず総崩れ。
そうならないようにしていかなきゃ。
彼の気持ちも全く分からない訳ではなかった。
僕も、知的障害の弟を養っている。
両親は、短命であったが、嫁の両親の介護はしている。立場は似たような境遇だ。
◆ 自らの一歩を投げ出してしまったのか。
◆ 踏み留まって、取りあえず堪えてみたか。
選択して歩んできた、結果論でしかないよ。
どんな人でも、みんな、悩みながら生きている。
お金があろうがなかろうが、仕事があろうがなかろうが、人は弱い生き物だからね。
草むしりは、僕が業者に依頼したと、割り切ることにした。半日手当てとして、彼に5000円を手渡す。
彼が嫁に、“無償で草むしりをした” と報告したところで、嫁は単に怖がるだけだから…。
躊躇はされたが、仕事として割り切ってもらうよう頼んでおいた。
ずっと Win-Win だと思える。
草むしりは自分でする。二度はないと釘を刺しておいた。
食料がないという事実がとても気になった。
同じ地域の住人だから、食べれないと聞いて、さすがに放置はできない。仕方がないから米はシェアしてあげることにする。
介護利用者の家族さんから、新米をいただいた。100kg程の米をもらっている。
どのみちフードバンクに持っていくから…。
新米 30kg の米俵をとりあえず3袋。まだ増えるんだ。感謝!
彼は、僕の自宅から5~6km程、離れたところに住んでいた。車がなくママチャリ移動みたいだから、彼の家まで、車で米を運ぶことになった。(*´Д`)
彼の家は、立派な旧家だった。
玄関前に、米をおろしている時、道沿いの方から声をかけられる。
あれ!お前、何してんの?
今日は、休み?
彼の50メートル先に住んでいる高校の時の友達。
個人経営で、電気工事屋を営んでいる。顔は怖いが愛想は良いし、情には厚い。
ガッツリ稼いでいるから、僕も仕事を手伝ってお金をもらう。何でも経験すればいいんだ。
『経験に勝るものはないから』
今日の経緯を友人に話してみた。
あいつ、仕事してねぇの?
ガキの頃から知ってるし事情もわかる。
バイトするか頼んでみるわ。
友人に任せて帰るとしよう。
ウトウトしていたところに友達からの Line
バイトするってさ。
仕事したいんだとよ。
大丈夫なのだろうか。
早すぎない?いやいや、遅すぎるかも?
初対面でも喋れていたし、草むしりも出来る。
彼も、変わらなければいけないと思えた。支払うものには支払う責務がある。だから同情はしないけど。
彼の心に布石を残せれば、今日の出会いも悪くはなかったと思う。
他人を羨んでも、恨んでも仕方がないこと。
与えられたリソースの中で、自分に正直に生きていけば、取りあえずはいいと思う。
何か変化が、起きる日がくると思うから。
誰の人生でもないんだよ...。
なんか、変な一日だった。おやすみなさい。
よい...週末を過ごしましょうね。
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えっ!まじで..。