アイアン・オックス(Iron Ox)は、カリフォルニアに拠点を置くテクノロジー・スタートアップ。ロボットを使った屋内農業に取り組んでいる。
数年におよぶ研究開発の結果、同社は世界初の自動植物工場をオープンした。工場では、重さ1000ポンド(約450キロ)のロボットが稼働している。ニックネームは「アンガス(Angus)」。
アイアン・オックスの共同創業者、ブランドン・アレクサンダー(Brandon Alexander )氏とジョン・ビニー(Jon Binney)氏は、シリコンバレーの有名なロボット企業「ウィローガレージ(Willow Garage)」の元社員。
2人は自分たちが開発しているテクノロジーを現実社会の中でより活用したいと考えていた。彼らは農業にチャンスを見出した。農業では数百年とは言わないが、数十年、同じテクノロジーが使い続けられていた。
2人はカリフォルニア中をまわり、農家に一番大変な作業は何かと質問した。ほとんどの農家が同じ答えをあげた。植え付け作業だ。多くの農家が最もつらい作業と答え、大きな労働力不足を招いていた。
そこで、アンガス(Angus)が登場した。一般的に農家は1日に数回、作物の様子をチェックし、水や肥料の量が適切かどうかをチェックする。一方、アンガスは作物を農地から工場に移すことで、このプロセスの高速化する。
「多くの技術は基本的にゼロから開発しなければならなかった。だが今、我々の工場の作物はロボットが育てている」とアレキサンダーは語った。
見てみよう。
作物は、自然光を取り入れるよう工夫した工場で育てられる。広さは740平方メートル。
アイアン・オックスによると、太陽光は作物を育てるエネルギーとして最もコスト効率が高い。
また土を使わない、水耕栽培システムを採用。水分、養分、酸素を根にダイレクトに供給する。
20品種以上、あるいはレタスなら年間に2万6000個を栽培できる。1エーカー(約4000平方メートル)の農地に相当する。
品種により、生育状況は異なる。例えば、ハジルはリーフレタスより時間がかかる。
新しいテクノロジーを使うことで、アイアン・オックスは従来の農場の30倍(面積あたり)の作物を栽培することができる。
「ザ・ブレイン(The Brain)」と名付けられたクラウドベースのシステムが、水耕栽培のモジュールからデータを収集する。
現在、25種以上のモジュールを有している。モジュールの重さは1つ、約800ポンド(約360キロ)。
ザ・ブレインは、作物の生育状況の情報をダイレクトにアンガスに送る。
「ザ・ブレインは、『モジュール14で、きれいなベビーブロッコリーが育った』とアンガスに伝える。するとアンガスは該当のモジュールに移動して、モジュール全体を持ち上げる」とアレキサンダー。
次にロボットアームはモジュールをスキャンして、各作物の位置を1ミリ以下の精度で測定する。
カメラは作物1つ1つの詳細な3Dデータも収集する。アレキサンダーによると、こうすることで作物の病害を防ぎ、収穫量の改善を図る。
アイアン・オックスは世界的な食料不足に取り組もうとしている。
生鮮野菜は収穫後、平均約2000マイル(約3200キトメートル)の距離を運ばれる。アイアン・オックスは品質や風味を損なうことなく、こうしたプロセスを合理化しようとしている。
[原文:The world's first autonomous farm features a 1,000-pound robot farmer named Angus]
(翻訳、編集:増田隆幸)