虫はともだち

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チョウを育てるなら最後まで見てほしい 寄生する虫の話

「寄生する虫」というと、学校でやった蟯虫検査のことを連想される方が多いと思いますが、今日は、チョウやガに寄生する虫のお話です。

チョウを育てていると出てくる変な虫

チョウの幼虫を飼ってみた人なら経験しているかもしれませんが、幼虫をちゃんと世話をすれば全部がチョウになるわけではありません。せっかく蛹になっても、中からチョウではない虫がでてくることはよくあります。

そんなときに、気持ち悪がってそのまま捨ててしまわないで、何がどうなるのか、最後まで見届けるとおもしろいです。

いろんな虫を観察していて知りましたが、虫に寄生して育つ虫は星の数ほどいるようです。「気持ちわる~!」なんて言っている場合ではありません。この事実に気がつくと、虫たちの生き残り戦略のすごさがわかります。

 ↓ クスノキに産卵するアオスジアゲハ。

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↓ きれいな幼虫を連れて帰っても…。

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↓ せっかく蛹まで育ったのに、穴が開いてほかの虫が出てくることも。アオスジアゲハは特に寄生が多く、私の成功率は半分以下です。

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↓ かなりの確率で寄生蜂や寄生バエが出てきます。初めはかなりショックでした。

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子どもが小学校3年生のとき、理科の授業でチョウの幼虫を習いました。

勇んでモンシロチョウの幼虫を教室に持って行き、キャベツで育てていたら、アオムシコマユバチ(寄生蜂)の幼虫がうようよと出てきたらしく、「気持ち悪いから、持って帰ってね」と、先生が観察箱ごと子どもに持ち帰るように言われました。

アオムシコマユバチの幼虫が出てくるのは、たしかにかなり衝撃映像ですが、そういう虫がいるから、私たちがおいしいご飯を食べられるのです。いちばん身近でわかりやすい生物農薬です。

最期まで見届けて、生きもののつながりを子どもたちに見せてほしかったと、いまだに根に持って、納得できない私です。

※ご参考 

かがくのともの「にわのキアゲハ」は、チョウの生き残りの大変さがきれいごと以外も描かれています。 → 福音館書店|かがくのとも 2016年4月号

田んぼでは寄生蜂は益虫

チョウの飼育ではみんなの嫌われ者だった寄生蜂ですが、田んぼでは稲を食べる害虫たちに寄生してやっつける益虫としてがんばっています。 

↓ 稲についたガの幼虫に寄生したアオムシコマユバチの繭。

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↓ こちらも、稲につくガの幼虫に寄生するホウネンタワラチビアメバチの繭。

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 このホウネンタワラチビアメバチは、漢字で書くと「豊年俵」です。この寄生蜂の繭がたくさんつくと、稲の害虫が減るからおめでたいという意味を込めた名前です。

昔の農家の人は、こんな風に生き物をとらえていたのに、今の私たちは、目の前の生きものしか見えていない気がします。

ホウネンタワラチビアメバチの繭を持ち帰って、何か出てくるか見ていたら、なんとホウネンタワラチビアメバチに寄生する蜂が出てきたこともありました。生きものは、エンドレスにつながりあっています…。  

いろんな寄生蜂・寄生バエ

そういえば、オオミノガが作る大きなミノムシが全国的に減っていて、ほとんど姿を見なくなりました。これは中国からはいってきたオオミノガヤドリバエミノムシに寄生して、ミノムシがどんどん死んでしまったせいです。

ミノムシは、害虫として庭木を荒らす一面もありますが、いなくなると寂しいです。

 

昆虫やクモだけでなく、植物に寄生して虫こぶをつくるような寄生蜂もいます。

 

寄生蜂や寄生バエは、一般人には「虫」としても認識されないようなささやかな存在ですが、私たちが考えている以上に影響力のある虫たちではないかと思うのです。 

↓ コナラの木にできたナラメリンゴフシ。虫こぶの中で蜂の幼虫が育ちます。

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おまけ

 クスノキにアオスジアゲハの幼虫がいます。

さて、何匹隠れているでしょうか? 

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こたえは・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 3匹です。

 

 

 

 

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写っていないところにもたくさん幼虫がいました。寄生蜂だけでなく、アシナガバチもにも狙われています。