最善じゃなくても、筋が通っている将棋を。今に満足せず歩みを止めない。棋士・豊島将之 28歳。
この取材は王位戦で二冠を成し遂げた数日前に行われた。大一番の前でピリピリしているかと思いきや、豊島はいつもと変わらない。自然体のままである。
今年の将棋界の主役は間違いなく豊島と言えるだろう。王位・棋聖の二冠達成。3つ目のタイトルを狙う王将リーグでも間違いなく挑戦者候補の大本命だ。
そんな大躍進に周囲が盛り上がる中、渦中にいる豊島の目はあくまで冷静だ。念願のタイトル奪取に安堵した気持ちを漏らす一方、同じやり方のままでは通用しなくなると早くも危機感を募らせる。理想の将棋に近づけるため、日々トライ・アンド・エラーを繰り返すなど、将棋への飽くなき好奇心、向上心はまったく変わることがない。
選んだ甲冑は織田信長。たしかに温和な豊島と苛烈な信長では性格的にギャップがある。ただ従来のやり方に疑問を持ち、スピード感をもって変化を繰り返す点はまさに信長イズムだ。容赦ない下克上がある将棋界で、常に上を目指し続ける豊島がこの乱世を統一する可能性は大いにあるだろう。(編集部)
1990年(平2)4月30日、愛知県一宮市生まれの28歳。桐山清澄九段門下。2007年に16歳で四段昇段。平成生まれとして初の棋士となる。タイトル初挑戦は10年度の第60期王将戦(2011年1月~3月)。歴代最年少の20歳で久保王将に挑むも1勝4敗で退けられる。2018年(28歳)で待望の初タイトルとなる棋聖を奪取。その後、王位も獲得し二冠に。順位戦A級、竜王戦1組在籍。血液型B。
―甲冑(かっちゅう)は織田信長を選ばれました。ファンの皆さんが想像する豊島さん像と、信長の苛烈な性格があまり結び付かないよう印象を受けました。実は信長のような一面もあるのでしょうか?
ないと思います(笑)。怒ったりすることもないですね。自分の性格は、そんなに感情が動かないタイプだと思います。将棋に関しては割と神経質なところもありますが、将棋以外のことは相当大ざっぱですかね。
歴史は好きですけど、そんなに詳しくないです。信長を選んだのは、戦いにスピード感があるからですかね。パッと攻めて、負けそうになったらすぐに撤退したりだとか。
自分の将棋は信長のようにスピード感のある将棋だと言われたことがあります。個人的にも直線的な流れで行く将棋が好きな感じはしますね。
歴史は好きですけど、そんなに詳しくないです。信長を選んだのは、戦いにスピード感があるからですかね。パッと攻めて、負けそうになったらすぐに撤退したりだとか。
自分の将棋は信長のようにスピード感のある将棋だと言われたことがあります。個人的にも直線的な流れで行く将棋が好きな感じはしますね。
―今期の王将戦挑戦者決定リーグ戦に向けた意気込みや今の心境はいかがですか?
強い棋士ばかりなので楽しみでもありますし、厳しい戦いになるだろうと思っています。同年代の佐藤(天彦)名人、広瀬(章人)さん、糸谷(哲郎)さんは対戦も多いですし、ずっと競い合ってやってきた人たちですしね。中村(太地)王座とは同年代なんですけど、あまり対局したことがないので楽しみです。強い相手との対局は楽しみではありますけど、大変でもありますね。
―強いメンバーを見て不安になったりはしますか?
そんなに自信を持って戦うという感じではないですね。昨年は5勝1敗で挑戦できましたけど、なかなかそういう成績を取るには自分の良い部分をかなり出さないと難しいだろうと思っています。
今回のメンバーも実力者ぞろいですけど、昨年より年齢が若くなってきたような感じですね。そこまで飛び抜けて若い人もいないけど、30歳前後の棋士が多い。自分より若くても強い棋士がたくさんいるので、いつリーグ戦に入ってきてもおかしくはないとは思っています。
今回のメンバーも実力者ぞろいですけど、昨年より年齢が若くなってきたような感じですね。そこまで飛び抜けて若い人もいないけど、30歳前後の棋士が多い。自分より若くても強い棋士がたくさんいるので、いつリーグ戦に入ってきてもおかしくはないとは思っています。
―王将リーグはどんなリーグだと認識されていますか?
A級やタイトル保持者の強い棋士と6局指す、という印象ですね。あとは日程的に、2カ月弱で6局も指すという。でもその間に他の棋戦もあるので、パタパタっと終わる感じですね。調子が良い時期だと結構良い結果が出たりしますね。初めて挑戦したときは、そんなに実力もなかったのですが、短期間だったこともあり勢いでタイトルに挑戦できたのかな、と思っています。
20歳くらいから王将リーグに入ることが多くて、毎年この時期は結構忙しくなるんですけど、強い相手と6局も指せるので勉強にもなります。リーグに初めて入った頃は自分よりはるかに格上の先生方との対局だったので、一局一局がとても楽しみでしたし、一局一局実力が付いているような感触もありました。
20歳くらいから王将リーグに入ることが多くて、毎年この時期は結構忙しくなるんですけど、強い相手と6局も指せるので勉強にもなります。リーグに初めて入った頃は自分よりはるかに格上の先生方との対局だったので、一局一局がとても楽しみでしたし、一局一局実力が付いているような感触もありました。
―タイトル戦に初挑戦したのが王将戦でした。過去2回の王将戦で印象に残っている場面がありますか?
どれも結構覚えていますね。(第60期の)1局目は確かにすごくよく覚えています。別世界に行ったような感じで。また、終わった後ものすごく疲れていました。ずっと公開(対局)だったこともあり、緊張がずっと続いていて。
第60期王将戦第1局第1日 第一手目を指す豊島将之六段と久保利明王将。(写真提供:スポニチ)
―ところで今年は自然災害が続いています。タイトル戦を戦うに当たって、心理的に影響する部分はありますか?
(2011年3月の東日本大震災直後の第60期王将戦対局写真を眺めながら)このときは指していていいのだろうか、という気持ちもありました。でも対局するからには自分の力を出し切ってというふうに思っていました。最近も全国的に災害が続いていますが、自分の対局を見ている方に少しでも良い影響を与えられたらと思っています。
―昨期の王将戦では相振り飛車を採用され、久保(利明)王将も驚いたと発言されていました。
相振り飛車になると、相手の玉も自分の玉も飛車の目の前に来る感じになるので、攻撃はしやすくなります。お互いに攻め合うというか、過激に言うと”殴り合う”展開にした方が自分の良さが出るんじゃないかと思ってやってみました。
結果的にはあまりうまくいかなかったですね。王将戦で負けて考え直して、棋聖戦の挑戦者を決める戦いや、王位戦の挑戦者決定リーグでも何回か振り飛車(の棋士)と対戦する機会があったんですけど、全て居飛車で指して。その結果が良い方向に出たので、その流れで菅井(竜也)さんと戦っているという感じです。
結果的にはあまりうまくいかなかったですね。王将戦で負けて考え直して、棋聖戦の挑戦者を決める戦いや、王位戦の挑戦者決定リーグでも何回か振り飛車(の棋士)と対戦する機会があったんですけど、全て居飛車で指して。その結果が良い方向に出たので、その流れで菅井(竜也)さんと戦っているという感じです。
―昨期の王将戦七番勝負は、順位戦プレーオフと重なり激動の期間でしたね。あのときの経験が今の活躍につながっているという感覚はありますか? 3月の移動距離は、東京-グアム間をゆうに超えるものでした。
それはあると思いますね。日程的にかなり厳しくて、体力面がちょっと心配なところもあったんですけど、そういう心配がなくなったというか。どんなに対局が続いて忙しくなっても、体調を整えていれば、体力的にはいけるなと思えるようになりました。
そんなに移動していたんですね(笑)。飛行機は苦手なんですけど、電車での移動はそんなに苦にならなかったですね。
そんなに移動していたんですね(笑)。飛行機は苦手なんですけど、電車での移動はそんなに苦にならなかったですね。
―棋士の体力はスポーツ選手の体力と違うものだと思いますが、どうやって鍛えていますか?
たぶん体力測定をしたら相当ヒドイ結果が出ると思います(笑)。でも意外と将棋を指す体力は自分にはあるとは思っていますね。どういったらいいかは難しいですが、考え続けるとか、あとは対局が終わった後にうまく緊張状態をほぐして休めるかどうかも大事だと思います。
寝付けなくても取りあえず部屋を暗くして布団に入って、眠れなくても目を閉じて休むだけでもだいぶ違いますしね。あと、(20歳当時と比べて増量し)体重があるときの方が疲れにくいので、意識してよく食べるようにしています。
寝付けなくても取りあえず部屋を暗くして布団に入って、眠れなくても目を閉じて休むだけでもだいぶ違いますしね。あと、(20歳当時と比べて増量し)体重があるときの方が疲れにくいので、意識してよく食べるようにしています。
―昨期の王将戦ではカレーの注文が多かったですね。好きなメニューはありますか?
対局のときカレーは結構食べましたね(笑)。好きです。普段は一般的なものです。普通に食事していますよ。家で母が作る料理を食べることが多いです。行きつけの店とかもないです(笑)。
―対局と対局の間は、どんなルーティンで回されていますか?今も相当、忙しそうですが。
対局が終わって帰宅して、その日の対局を振り返って、その対局に関してはだいたい終わりです。あとは次の対局に向けてというのと、普段からやっている勉強をやる、という感じです。
確かにもうちょっと勉強時間はほしいです。今年の3月は全然、時間がないというか体力的にきつかったので、ほぼ勉強はゼロで。家に帰ってもひたすら体を休めるだけでした。
確かにもうちょっと勉強時間はほしいです。今年の3月は全然、時間がないというか体力的にきつかったので、ほぼ勉強はゼロで。家に帰ってもひたすら体を休めるだけでした。
―棋聖戦で念願のタイトルを獲得されました。自分自身も含めて、さまざまな変化を感じられたのでは?
周りの人も含めてそんなには変わらないですけど、タイトルを獲った時は、すごくみんなが喜んでくれて自分も嬉しかったです。取材やサインの仕事が増えたのと、あとはやっぱり気持ちに余裕が生まれたというのがあると思います。
2018年07月17日 第89期棋聖戦五番勝負第5局 棋聖を取った豊島将之八段と敗れた羽生善治棋聖(写真提供:スポニチ)
―悲願のタイトル獲得後も、そんなに感情の起伏が見えなかったように感じました。
「ものすごくほっとした」というのがありますね。「このままタイトルを獲れずに棋士人生が終わってしまったらどうしようかな」という気持ちも結構あったので。ずっと変わらず一生懸命取り組んでいますけど、気持ち的にほっとしたというのが大きいです。
時期的には24、5歳くらいから不安はずっとありました。でも最近は将棋の内容や成績が上向いてきて自分なりに手応えがあったので、「いつかは…」という気持ちはありました。
時期的には24、5歳くらいから不安はずっとありました。でも最近は将棋の内容や成績が上向いてきて自分なりに手応えがあったので、「いつかは…」という気持ちはありました。
―現在の将棋界はまさに”戦国時代”の様相を呈してきました。現在の状況をどのように捉えていますか?
強い棋士が多いと感じますね。タイトルを持っていない棋士でも強い。羽生(善治)先生の世代の方々が実力を高いレベルでキープされていて、それに対して自分の世代やもう少し下の世代が上がってきて、力が拮抗(きっこう)している感じかなと思います。将棋ソフトが充実して、勉強しやすい環境になってきているとは思います。
―年始に谷川(浩司)先生に伺った際「タイトルを獲り、その次のタイトルも同じ挑戦者になるとその人の時代になる」というお話をされていました。“戦国時代”から一歩抜け出す一番近いところに立っています。複数冠へのイメージはありますか?
あまり想像が付かないというか。今はそういう状況にピンと来ないです。自然体というか、王位戦の最終局は相当大事な対局というのはありますけど、自分の中ではそんなに…。これまでタイトルを獲れるかどうかというか、棋士人生の中でタイトルが1回獲れるかどうか、みたいな感じでやっていたので、あまりピンとは来ないです。でもチャンスだから頑張りたいです。
棋聖のタイトルを獲れたことは嬉しいし、ほっとしたというのはあるんですけど、やり方をちょっとずつ変えていかないと通用しなくなるというのはありますね。普段の勉強方法のやり方を少しずつ変えて、良いか悪いかを自分で判断して、また変えてというの繰り返していかないと、とは思います。
ソフトも使いますし、ソフトを使っていないときの自分の考え方とかでも変わってくると思います。家では盤面で考えているときもあるし、パソコンで考えているときもあるし、ソファで寝転がって考えているときもあります(笑)。
棋聖のタイトルを獲れたことは嬉しいし、ほっとしたというのはあるんですけど、やり方をちょっとずつ変えていかないと通用しなくなるというのはありますね。普段の勉強方法のやり方を少しずつ変えて、良いか悪いかを自分で判断して、また変えてというの繰り返していかないと、とは思います。
ソフトも使いますし、ソフトを使っていないときの自分の考え方とかでも変わってくると思います。家では盤面で考えているときもあるし、パソコンで考えているときもあるし、ソファで寝転がって考えているときもあります(笑)。
―渡辺(明)棋王の感覚では「序盤が最近固まり研究され尽くした、似たような将棋が増えた」とのことでしたが…。
確かに一時期に比べると少しずつ「この指し方が優秀で、この指し方はあまり良くない」というのがはっきり出てきたところなのかな、とは感じますね。
でも人間レベルだと、やっぱり自分の慣れ親しんだ型というか、自分の力が出せる型みたいなのが重要なので。そういうのが人によって違いますから、厳密に言えばソフト的に損な指し方でも、自分の力が出せる型の方が勝率が良いみたいなこともあります。
でも人間レベルだと、やっぱり自分の慣れ親しんだ型というか、自分の力が出せる型みたいなのが重要なので。そういうのが人によって違いますから、厳密に言えばソフト的に損な指し方でも、自分の力が出せる型の方が勝率が良いみたいなこともあります。
―よく質問されるかもしれませんが、「矢倉は終わった」のでしょうか?
別に終わっていないと思います。昔は「こう指すのが当たり前」みたいな感じで途中まで決まっていましたが、そこに至るまでに変化の仕様がたくさんあって、結論が変わっているので。矢倉ひとつ取ってみても、やっぱり奥が深いんだなと思いますね。
矢倉の出だしも、矢倉の要素と相掛かりの要素と両方が必要みたいな将棋に変わっていますね。昔の矢倉とはちょっと違う感じです。なかなか囲いに入って組み合うみたいなのがなくて。矢倉の形は作るんですけど、王様を囲わないうちに戦いになります。
矢倉の出だしも、矢倉の要素と相掛かりの要素と両方が必要みたいな将棋に変わっていますね。昔の矢倉とはちょっと違う感じです。なかなか囲いに入って組み合うみたいなのがなくて。矢倉の形は作るんですけど、王様を囲わないうちに戦いになります。
―最近の好成績に当たり、以前と大幅に変えていったことはありますか?
時間配分なども自分の中でちょっとずつ変えてみたりというのはあります。どこかミスが出たところで、「ここでミスしないようにするには何分ぐらい考えておけばよかったか」と逆算すると、序盤は飛ばさないといけなくなるので、そうして試していることが多いですね。厳密に調べると、最後の方でやっぱりミスが出ているので、なくそうと思うとやっぱり序盤を早めるという感じですね。
ただ、相手だけ時間がない状況というのも意外と精神的には焦るというか。相手の時間の無さに付け込もうとして逆に間違えるというケースも結構あるので(笑)。
ただ、相手だけ時間がない状況というのも意外と精神的には焦るというか。相手の時間の無さに付け込もうとして逆に間違えるというケースも結構あるので(笑)。
―他の棋士の対局もチェックしますか?自分の対局でいっぱいいっぱいだと思われますが。
棋譜モバイル中継を自分でも「どうなのかな?」と考えながら見ていますね。中でも藤井(聡太)さんの対局は注目して見ていますね。純粋に強いですし。
―最近の藤井さんの対局を見てどんな感想を抱きますか?
相変わらず強いですよね、やっぱり。16歳であれだけの活躍や、あれだけの内容の将棋を指すというのは普通ではあり得ないというか。年齢関係なくても相当すごいレベルの将棋だと思います。(棋王戦、王位戦の連敗で)本人の中では少し不調を感じていることもあるのかもしれませんが、個人的には「良い内容の将棋だな」と見ています。
―ところで、王位戦もそうですが、ここ半年くらいタイトル戦で先後に勝率の差が出ていますね。
半年くらいは確かに自分の対局も先手の方が相当勝っていますね。ただ自分の対局だけだと、「先手で負けそうになっているけど、結果的に自分が勝った」みたいな将棋も多いですね。一度不利になったけど逆転した、みたいな感じです。
確か自分も後手番だと今年の勝率は5割を切っていて…。先手番だと2回くらいしか負けていない気が。極端に出てるんですけど、先手番で負けになっていた将棋もたくさんあるんですよね。偶然というのもありますし、後手番の方が序盤から神経は使うので最後に逆転しやすいというか。棋士になってから先手の方がずっとやりやすいなとは思っていますけど、確かに最近はそういう傾向が強いような感じがします。
確か自分も後手番だと今年の勝率は5割を切っていて…。先手番だと2回くらいしか負けていない気が。極端に出てるんですけど、先手番で負けになっていた将棋もたくさんあるんですよね。偶然というのもありますし、後手番の方が序盤から神経は使うので最後に逆転しやすいというか。棋士になってから先手の方がずっとやりやすいなとは思っていますけど、確かに最近はそういう傾向が強いような感じがします。
―将棋ソフトの影響というのはあるんでしょうか?
多分あるとは思います。後手番の戦法は2手目に8四歩を突く将棋がかなり増えていて、他の変化する横歩取り、一手損角換わり、ゴキゲン中飛車の3つくらいがだいぶ下火になってきているので、後手番の選択肢が少し減っている感じで。8四歩と突くと先手番が矢倉、角換わり、相掛かりの中から選んでくるので。
昔は後手が始めに選んで、そのあと先手が選ぶという感じだったんですけど、始めの後手の4通りくらいの選択肢がひとつ、ふたつくらいに減ってるんで。一手損角換わりやゴキゲン中飛車を指すとその瞬間にソフトの評価値が一気に下がるので、やらない人が増えてるんだろうなと思いますね。
自分の中で戦法を成熟させていくと、やっぱり相手の対策とかも見えてくるので、そうなってきたときにしんどくなってくるというのがあって。自分もそういう経験をしてるんですけど、ソフトで低い点数が出ると、突き詰めていったときに最後の方でしんどくなってくるのかなという予想ができるので、そこが難しいところですね。
絶対無理ということはないんでしょうけど、自分の戦法を突き詰めていって、だんだんしんどくなってきて、それでもちょっとずつ工夫を加えて、なんとか戦っているといった人や、それを諦めて新しいところにどんどん手を出していく人など、いろんなタイプの人がいますね。
昔は後手が始めに選んで、そのあと先手が選ぶという感じだったんですけど、始めの後手の4通りくらいの選択肢がひとつ、ふたつくらいに減ってるんで。一手損角換わりやゴキゲン中飛車を指すとその瞬間にソフトの評価値が一気に下がるので、やらない人が増えてるんだろうなと思いますね。
自分の中で戦法を成熟させていくと、やっぱり相手の対策とかも見えてくるので、そうなってきたときにしんどくなってくるというのがあって。自分もそういう経験をしてるんですけど、ソフトで低い点数が出ると、突き詰めていったときに最後の方でしんどくなってくるのかなという予想ができるので、そこが難しいところですね。
絶対無理ということはないんでしょうけど、自分の戦法を突き詰めていって、だんだんしんどくなってきて、それでもちょっとずつ工夫を加えて、なんとか戦っているといった人や、それを諦めて新しいところにどんどん手を出していく人など、いろんなタイプの人がいますね。
―研究が進んでいって将棋の未来は、どうなっていくと感じますか?
千日手になるか先手が勝つかのどっちかだと思います。でも千日手を目指す戦略を取ろうとするとかなり難しい。実践的には勝ちづらくなりますよね。相手からの仕掛けを封じて膠着状態を作るということなので、目指すとなると相当序盤から神経も使いますね。そういう指し方が将棋の真理としては最善という可能性はありますけど、実践でそれをやって勝つというのは相当難しいですね。
―話しは変わるのですが、好きなスポーツなどはありますか?
経験はほとんどないですが、野球やサッカーを見るのは好きですね。野球はバッティングセンターで打つ程度で、ほとんどやらないです。サッカーはフットサルを昔やっていたくらいです。
野球は阪神ファンです。親戚に阪神の関係者(元トレーナーの常川達三氏)がいて、棋聖を獲ったときに金本(知憲)監督のサインをもらいました。「棋聖おめでとうございます」と書かれてあって、うれしかったです。家に飾っています。
野球は阪神ファンです。親戚に阪神の関係者(元トレーナーの常川達三氏)がいて、棋聖を獲ったときに金本(知憲)監督のサインをもらいました。「棋聖おめでとうございます」と書かれてあって、うれしかったです。家に飾っています。
―他にハマっていることなどはありますか?プライベートがベールに包まれている印象があります(笑)。
家でゆっくりしているというか、そんなに大したこともやってないんですよね。将棋をずっとやってる感じでもないんですけど。スポーツクラブに行ってちょっと運動したりとか。ストレッチした後、筋トレして有酸素運動してみたいな。スポーツクラブでは普通にトレーナーに言われたことをやってます(笑)。
―最後に今後の目指すところを教えてください。
「活躍していきたい」というのがあります。タイトル戦に出続けたいです。あとは、自分の将棋の内容を少しでも高めていきたいですね。
タイトル戦で指せるということはとても幸せなことなので、タイトル戦に出続けたいというのと、藤井さんがどんどん強くなって、すごいレベルの将棋を指していく可能性が高いと思うので、そのときに備えて自分も戦えるようにしたいというのがあります。
自分の将棋を高めていくというところでは、ソフトから良いところを吸収して、自分のもともと持っているものとうまく合わせていきたいです。どうしても、継ぎはぎみたいな将棋になってしまいがちなので滑らかな感じというか、しなやかな感じを出していけたらと思っています。また、序盤で研究から外れたところで、チグハグになってしまったりというときがあるので、そういうのをなくしたいです。
“最善”を常に指すというのはとても難しいので、最善じゃなくても、筋が通っている将棋を指したいですね。(了)
タイトル戦で指せるということはとても幸せなことなので、タイトル戦に出続けたいというのと、藤井さんがどんどん強くなって、すごいレベルの将棋を指していく可能性が高いと思うので、そのときに備えて自分も戦えるようにしたいというのがあります。
自分の将棋を高めていくというところでは、ソフトから良いところを吸収して、自分のもともと持っているものとうまく合わせていきたいです。どうしても、継ぎはぎみたいな将棋になってしまいがちなので滑らかな感じというか、しなやかな感じを出していけたらと思っています。また、序盤で研究から外れたところで、チグハグになってしまったりというときがあるので、そういうのをなくしたいです。
“最善”を常に指すというのはとても難しいので、最善じゃなくても、筋が通っている将棋を指したいですね。(了)
※インタビューの内容をチェックしていただいた際、王位を獲得した豊島二冠よりコメントを頂戴しました。以下に掲載させていただきます。
王位戦第7局は、先手番になり運に助けられたところもありますが、納得のいく内容で結果もだせて嬉しいです。ただ、冷静に考えると来年の防衛戦まではあっという間です。それまでに挑戦の可能性があるのが王将戦と順位戦の2つだけなので、1局1局を大切に戦いたいと思っています。
第一弾「20代の逆襲」
読者プレゼント
今回インタビューをさせていただいた、豊島将之さんが揮毫(きごう)した色紙と、第68期王将戦挑戦者決定リーグに出場する7人と久保王将のサイン入り扇子を1名様にセットでプレゼント。ご希望の方は、下記の項目をご確認いただいたうえ、奮ってご応募ください。
- 応募方法
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- 当選者発表日/10月12日(金)
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