教員働き方改革へ一歩 県立78校にタイムカードを導入
2018.10.05
県教委は県立学校全78校にタイムカードを導入する「働き方改革」に乗り出した。勤務時間を自己申告から客観的に把握するシステムに変更することで、長時間労働の是正や教職員間の業務量の平準化につなげることを狙う。ただ、部活動など校外業務の把握は自己申告で対応せざるを得ない状況。勤務実態を把握しても、業務の削減が伴わなければ多忙化解消とはならず、実効性ある改革につなげられるか注目される。
県立学校では8月からタイムカードを導入。職員室に設置した端末にICカードをかざし、出退勤時刻を記録する。盛岡四高の佐々木佳史副校長は「自己申告からデータ化され、教職員の勤務時間の意識が高まった」と歓迎する。各校はデータを基に一人一人の業務状況を分析し、マネジメント強化につなげる。
県教委によると、時間外労働が月80時間以上の県立学校の教職員は8・8%(2017年度)。県教委は今月中に8、9月分の勤怠実態を集計し、教職員ら25人による作業部会で業務見直しの検討を本格化させる。永井栄一教職員課総括課長は「勤務時間の適正管理と業務見直しを集中的に進め、労働環境の改善を図りたい」と狙いを語る。
文部科学省によると、学校にタイムカードなどの勤怠管理を導入している都道府県教委は8月現在で38・3%。中央教育審議会の働き方改革特別部会委員で教育研究家の妹尾(せのお)昌俊さんは「タイムカードは改革の第一歩。現状把握なしで長時間労働は減らせない」とした上で「仕事が集中する教員もおり、アンバランス解消にもつなげてほしい」と提言する。