ようやくだが、最近僕のファンが一生懸命考え、語るようになった。
ここ数年のイベントで直接会話してても、確実に変わった。
「フィルアニマチオン」も若干人の心を失ったバカが紛れ込んでいたようだが、実名にしてからはファン同士で日々熱い議論が交わされているようだ。

『フラクタル』から『WUG』にかけての努力が、やっと実を結んできたということだろうか。

昔は多かった。
「お前は俺の仕事のどこを見てきたんだ?」というファンが。
申し訳ないが、さすがに怒ることすらないにせよ、彼らの誤解に付き合っている暇はない。
そういうのは遠慮なく振り落としてきた。


アニメとオタクがどんどん白痴化する中で、僕は10年近く、逆流を遡っている。
流れはどんどん厳しくなる。中島みゆきの歌詞のごとく、「いっそ水の流れに身を任せ 流れ落ちてしまえば楽なのにね」とも思うが、流れ落ちた先にいるのは「黒い目の魚たち」ばかりで、まぁもうクリエイターとしてはとっくに死んでて、今年も続々と死んでいってて、ああ、こうはなるまいと、踏ん張ってきた。

本当に少なくなったが、「諦めという名の鎖を 身をよじってほどいてゆく」同志はまだいるので、その期待に応えるのに必死だ。
そういう意味では僕ほどファンサービスが過ぎる監督はいないはずだが。


ファンの捉え方は、実はゆうこすと島田紳助は共通している。
ファンに合わせたら、本当のファンは減っていく。そして自分をダメにしてしまう、と。
本当のファンは、自分が本当にやりたいことを理解できるファンだ、と。
自分に嘘をついてなければ、ファンは勝手に増えてくる、と。


ファンもクリエイターもお互い嘘をつきまくりのアニメ業界、ちょっと本音を吐けばたちまち袋叩きのアニメ業界が、今後どうなるだろうか?
楽しみでただニヤつくばかりだ。