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金融機関が絶賛する「ドル・コスト平均法」は大いなるペテン…?

純金積立、投信積立にご注意を
「あなたのお金が狙われている!」。そう警告するのは、テレビでおなじみの経済ジャーナリストで、著書『投資なんか、おやめなさい』などでも知られる荻原博子氏だ。荻原氏いわく、毎月一定額を積み立てていく「ドル・コスト平均法」は「売る側に都合のよい論理」とのこと。初心者でも安全に資産を増やせるという、金融機関の謳い文句はウソだったのか? 荻原氏に本当のところを教えてもらった。

「純金積立」コツコツの罠

皆さんの中には、「純金積立コツコツ」というCMを見て、「金」の積立に興味を持っている方もいるのではないかと思います。「コツコツ」というのが、なんとも心地よく耳に残るCMです。

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これは毎月、一定額で「金」を少しずつ買っていく投資方法で、月々1000円から始められるという手頃さが売り。しかも、購入代金は、事前に指定された口座から毎月自動引き落としされていくので、忘れていても「金」が買われて積み立てられていきます。

買った「金」は、換金することもできるし、金地金や、積み立てる会社によっては、これでアクセサリーに交換できるケースもあります。

ただ、「純金積立」という金融商品のネックは、2つあります。

1つは、手数料がかかること。もう1つは、価格が安い時にまとめて買うということができないこと。

まず手数料ですが、「純金積立」をするには、始める時に年会費、手数料がかかるところが多く、売却する時にも売却手数料がかかるケースが多くあります。

例えば、某大手金取扱会社で月3000円の積立をする場合、年会費は1080円で、購入手数料は一律2.5%なので1年積み立てると、1080円+3000円×2.5%×12ヶ月=1980円の手数料になります。

 

月々3000円の積立なら1年で3万6000円なのですが、ここから1980円の手数料が引かれるということ。3万6000円に対して1980円の手数料を支払うということは、手数料が5.5%ということで決して安くはない。

さらに、会社によっては、そのほかに「金」の保管代がかかるところもあります。

また、「金」という商品は、買値と売値が違います。例えば、2017年6月7日のレートで見ると、金1グラムの買値は4952円、売値は4867円で、85円の差がありますが、これは税金と手数料。こうしたものも考慮すると、買った時よりも1割以上価格が上がっていないと、「トクだった」ということにはならないでしょう。

日本の金価格は、海外の金価格と為替に左右されます。ですから、「金」の価格が変わらないとしたら、為替が1割以上円安になっていなくてはトクしたとは言えないということです。

難しいのは、通常の「金」なら、買った時よりも値上がりしたところで売れば儲かりますが、「純金積立」は、そう都合よくはいきません。なぜなら、毎日コツコツ買っているので、いくらで買ったのかが把握しにくい。損得がわかりにくい商品なのです。

もちろん、月々3000円ずつ1年間積み立てたとすれば3万6000円投資しているのだから、「金」の価格が3万6000円以上になったら売れば良さそうですが、積み立てたものを「金」でもらう時には、さらに別途に手数料がかかります。

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