低金利時代で、預貯金や学資保険では増えない中、子供の教育資金作りに、ジュニアNISAを活用してみたいと思う方も多いと思います。
ジュニアNISAは、2016年からスタートしていますが、次のような疑問を持たれる方も多いです。
- 毎月積立投資も可能なのか
- 非課税枠80万全額投資しないといけないのか
- 途中で解約できるのか等
この記事では、ジュニアNISAで教育資金の積立を考えている方に、制度の概要から、フル活用方法、メリット・デメリット、最新税制まで解説していますので、ぜひ最後まで読んでみて下さい。
目次 [非表示]
1 ジュニアNISAで毎月積立投資が可能
1-1 積立投資枠とやり方
ジュニアNISAは年間80万円非課税で投資ができます。よく一括投資しかできないと思われている方もいらっしゃいますが、積立投資も可能です。金額は、月々500円~66,666円(非課税枠MAX)の範囲内で可能です。
ほとんどの金融機関で、口座自動引落で積立投資が可能です。毎月、証券会社の口座に振り込みをして、その都度注文もできますが、手間暇を考えると、口座引落で自動買付の方が楽で良いでしょう。
また、積立の投資は、投資に慣れていない人や投資経験が浅い方、リスクを抑えたい方にお勧めです。ジュニアNISAを使いこなすために、メリット・デメリットを確認しておく必要がありますが、詳しくは、4章で解説しています。
1-2 積立投資が可能な期間
ジュニアNISAは、下記の図の通り新規の投資で、年間80万円(月額66,666円)×5年分の合計400万まで、非課税で運用できますが、投資可能期間が2023年までとなっています。
例えば、2019年から始めた場合は、2023年までなので5年間のみ積立投資が可能です。
2 最大限メリットをいかすには毎月66,666円積立がベスト
2-1 非課税枠80万円(月額66,666円)を使い切る
ジュニアNISAは1章で説明したように、期間限定の制度ですが、2018年よりロールオーバーが全額可能になったことにより、大学資金のような長期の積立には、非常に有利な制度になりました。
ロールオーバーについては、4章で詳しく解説していますが、最高400万円を最長20年間非課税で運用できる点は、他のNISA制度と比較しても有利です。
下記の図は、ジュニアNISAで20年間、6%で複利運用した場合のグラフです。毎月66,666円(年間80万円)×5年間の合計400万円運用した場合は、400万円が1,146万円になります。
仮に400万が1,146万円になっても無税で受け取ることができます。
青い線は20%の税金を引かれた場合のグラフですが、ジュニアNISAで非課税で運用した場合と比較すると、受取額(税金差額)が、214万円も変わります。
このように、税金面でメリットが拡大していますので、ご自身の家計の許す範囲内で、非課税枠を使い切りましょう。
2-2 ボーナス積立併用も可能
毎月の積立が66,666円できない場合は、ボーナスとの併用も検討してみましょう。金融機関によっては、ボーナス時期に合わせて、月々に加算して積立投資する事も出来ます。
例えば、下記のような設定をできる金融機関もあります。また、積立金額は変更する事も可能です。将来ボーナスが減ってしまったり、思うように貯蓄ができない場合は、変更が可能です。
まずは、できる限り非課税枠を使い切るように計画してみましょう。
【月々とボーナス積立併用事例】
3 ジュニアNISAお勧めの運用方法
3-1 長期運用にお勧めの運用商品
ジュニアNISAは、ロールオーバーにより10年以上非課税での投資が可能です。10年以上の長期で運用ができるのであれば、株式を中心としたハイリスクハイリターンの運用を考えていきたいです。
具体的には、分散効果も考え「世界株式に投資する投資信託」がよいでしょう。
下図のように、先進国の株式は長期的には右肩上がりとなりますし、10年の投資期間があれば変動も吸収できると考えます。
出典:MSCI※1
※1MSCI ワールド指数
MSCI ワールド指数は、日本を含む主要国の株式を対象とする指数です。MSCIワールド指数は、先進国23カ国に上場する大・中型株を対象にしており、2015年5月末現在、1,631銘柄で構成されています。先進国の株式市場の動向を知るために最も利用されている株価指数の一つです。
3-2 配当・分配金目的の投資は要注意
ジュニアNISA口座で購入した上場株式の配当金や、投資信託の分配金は、郵便局や銀行で受け取ることもできます。受け取り方によっては、税金がかかりますので、要注意です。
配当金や分配金の受取は、次の2つの方法から選択することができます。
①指定の銀行口座で受け取る(登録配当金受領口座方式、個別銘柄指定方式※1)
②証券会社の取引口座で受け取る(株式数比例配分方式)
ジュニアNISA口座で購入した、投資信託の分配金や、上場株式の配当金等について、①の指定の銀行口座で受け取る場合には、非課税とはならず、20.315%の税率で源泉徴収されますので要注意です。
また、配当金や分配金は、証券会社で受け取ることによって、非課税にはなりますが、その後はMRF※という、預金と同じ役割をした投資信託で運用されます。
MRFは預金金利なみに金利が低いのです。また、18歳まで払い出し制限の対象となります。
※MRFというのは、証券会社の中でも普通預金に近い商品となっております。元本保証がされているわけではありませんが、原則として元本割れしないように極めて安全に運用されている投資信託(公社債投信)です。過去にも元本割れをしたことは一度もない商品(2018年9月27日現在)となっています。
分配型の投資信託については、下記の記事に詳しく記載していますので、参考までに次の記事を読んで見て下さい。
現役世代は投資信託で毎月分配金受取より無分配又は再投資がお勧め! |
4 ジュニアNISAのメリット・デメリット
◆メリット1・・・インフレに対応可能
教育資金のような長期でお金を預ける場合はインフレに対応できる資産を選ぶことが大事です。現在、国(日本銀行)として目標としているインフレ率は2%※です。
インフレ率よりも高い利回りでお金を増やせないと、お金の価値は実質的に目減りしてしまいます。
今のような低金利時代では、預貯金や学資保険では、インフレに対応できない可能性が高いです。その点、ジュニアNISAは、株式や投資信託で運用できますので、インフレに対応できると思われる商品を自分で選択できます。
※出典:日本銀行(https://www.boj.or.jp/mopo/outline/qqe.htm/)
◆メリット2・・・非課税期間終了後も20歳まで「継続管理勘定」で非課税
ジュニアNISA口座の投資期間は、2023年で終了します。ただし、2023年の制度終了時点で20歳になっていない方については、2024年以降の各年において非課税期間(5年間)の終了した金融商品を、継続管理勘定に移管(ロールオーバー)することができます。
継続管理勘定では20歳になるまで(1月1日時点で20歳である年の前年12月31日まで)、金融商品を非課税で保有し続けることができます。
なお、2018年の税制改正で、ロールオーバー可能な金額に上限はなくなったため、時価が80万円を超過している場合も、すべてを翌年の非課税投資枠に移すことができます。
◆デメリット1・・・18才まで口座の払い出し制限がある
ジュニアNISA口座からの途中引き出しは課税対象となります。口座名義人が18才になるまでは、災害などの特別な事情がない限り払い出しができません。
3月31日時点で18歳である年の前年の12月31日まで払い出しができません。その為、中学受験や高校受験、大学の推薦入試などで早めに合格が決まった場合の入学金等は、別で用立てをしておく必要があります。
◆デメリット2・・・金融機関の途中変更が出来ない
金融機関の変更ができないこともジュニアNISAのデメリットのひとつです。
あとから、金融機関の商品力やサービスを理由に変更しようと思っても、変更できないので、金融機関を慎重に選ぶ必要があります。
どうしても金融機関の変更をしたい場合は、今あるジュニアNISA口座を廃止する手続きを取ってから、変更先の金融機関に新規でジュニアNISA口座を開設する必要があります。
5 まとめ
ジュニアNISAで教育資金を積立する方法を解説してきましたが、期間限定ではありますが、ロールオーバー制度の改正により、再注目されています。
投資可能な期間(2023年まで)にフル活用できるように、検討してみて下さい。
また、具体的にどんな商品を選べばよいか、金融機関はどこを選べばよいのか等、迷われている方は、次の記事参考にしてみて下さい。
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