▼
本書は世間に蔓延する生活保護バッシングへの反論書である。本書は生活保護受給者が楽をして金が入ってくるという通念の誤りを指摘する。生活保護受給者は「行政による人生の全面的掌握を要求されている」
今野晴貴『生活保護・知られざる恐怖の現場』(ちくま新書、2013年)は生活保護の過酷な実態を明らかにしたノンフィクションである。著者はブラック企業の告発で著名である。ブラック企業と生活保護は共に貧困と格差の問題である。
東急ハンズ過労死事件に際し、インターネット上で過労死批判者を生活保護受給者と決めつけ、生活保護バッシングをすることで東急ハンズのブラック企業体質を擁護する主張がなされた(林田力『東急不動産だまし売り裁判16脱法ハーブ宣伝屋』「東急ハンズの東京オリンピック便乗」)。このように生活保護バッシングとブラック企業擁護はリンクしている。
本書は世間に蔓延する生活保護バッシングへの反論書である。本書は生活保護受給者が楽をして金が入ってくるという通念の誤りを指摘する。生活保護受給者は「行政による人生の全面的掌握を要求されている」(106頁)。生活保護受給者はプライバシーも人間の尊厳も失う扱いを受けている。
本書では著者が代表を務めるNPO POSSEへの相談事例を中心に様々な生活保護の違法行政事例が紹介されている。それらの原因は行政が恣意的であることである。「当たった行政官次第で、運命が変わってしまうという恐ろしい行政システム」である(121頁)。この法治ではなく、人治になっている実態は日本の行政全てに当てはまる悪癖である。生活保護行政は人の生死に関わるため、その弊害は深刻である。
本書が批判する度を越した就労指導にしても、本人が気合いを入れて頑張ることで就職先を見つけろという特殊日本的精神論である。それで自立が促進される筈がない。この種の精神論はブラック企業でも共通する(林田力『ブラック企業・ブラック士業』「峯岸みなみ坊主はブラック企業と同じ」)。
本書は無料低額宿泊所などの貧困ビジネスも批判する。「宿泊所を一種のセーフティネットとみなして肯定的に評価する論者もいるが、賛成できない」(135頁)。貧困ビジネスという悪徳業者への批判姿勢は、ブラック企業という社会悪と戦う著者らしい。住宅に困っている人々に貧困ビジネスを紹介することは、金に困っている人にサラ金を紹介するようなものである。貧困ビジネスは悪であって、必要悪では決してない。反貧困運動に貧困ビジネスをセーフティネットと位置付ける諦めが広がっているならば、社会悪と闘う著者のような人物が参入することは喜ばしいことである。
東急ハンズ過労死事件に際し、インターネット上で過労死批判者を生活保護受給者と決めつけ、生活保護バッシングをすることで東急ハンズのブラック企業体質を擁護する主張がなされた(林田力『東急不動産だまし売り裁判16脱法ハーブ宣伝屋』「東急ハンズの東京オリンピック便乗」)。このように生活保護バッシングとブラック企業擁護はリンクしている。
本書は世間に蔓延する生活保護バッシングへの反論書である。本書は生活保護受給者が楽をして金が入ってくるという通念の誤りを指摘する。生活保護受給者は「行政による人生の全面的掌握を要求されている」(106頁)。生活保護受給者はプライバシーも人間の尊厳も失う扱いを受けている。
本書では著者が代表を務めるNPO POSSEへの相談事例を中心に様々な生活保護の違法行政事例が紹介されている。それらの原因は行政が恣意的であることである。「当たった行政官次第で、運命が変わってしまうという恐ろしい行政システム」である(121頁)。この法治ではなく、人治になっている実態は日本の行政全てに当てはまる悪癖である。生活保護行政は人の生死に関わるため、その弊害は深刻である。
本書が批判する度を越した就労指導にしても、本人が気合いを入れて頑張ることで就職先を見つけろという特殊日本的精神論である。それで自立が促進される筈がない。この種の精神論はブラック企業でも共通する(林田力『ブラック企業・ブラック士業』「峯岸みなみ坊主はブラック企業と同じ」)。
本書は無料低額宿泊所などの貧困ビジネスも批判する。「宿泊所を一種のセーフティネットとみなして肯定的に評価する論者もいるが、賛成できない」(135頁)。貧困ビジネスという悪徳業者への批判姿勢は、ブラック企業という社会悪と戦う著者らしい。住宅に困っている人々に貧困ビジネスを紹介することは、金に困っている人にサラ金を紹介するようなものである。貧困ビジネスは悪であって、必要悪では決してない。反貧困運動に貧困ビジネスをセーフティネットと位置付ける諦めが広がっているならば、社会悪と闘う著者のような人物が参入することは喜ばしいことである。
投票する
投票するには、ログインしてください。
林田力は『東急不動産だまし売り裁判 こうして勝った』『二子玉川ライズ反対運動』の著者。東急不動産消費者契約法違反訴訟原告(The plaintiff Who Fought Against TOKYU Land Corporation)
この書評へのコメント
コメントするには、ログインしてください。
- 出版社:筑摩書房
- ページ数:256
- ISBN:9784480067289
- 発売日:2013年07月10日
- 価格:840円
- Amazonで買う
- 7netで買う
- カーリルで図書館の蔵書を調べる
- あなた
- この書籍の平均
- この書評
※ログインすると、あなたとこの書評の位置関係がわかります。
『生活保護:知られざる恐怖の現場』のカテゴリ
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会
- ・政治・経済・社会・ビジネス > 社会科学
- ・医療・保健・福祉 > 福祉