東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 社会 > 紙面から > 10月の記事一覧 > 記事

ここから本文

【社会】

ヘイト規制、LGBT差別禁止 都の人権条例 歓迎と懸念

 ヘイトスピーチを規制し、LGBTなど性的少数者への差別を禁止する東京都の人権尊重条例案は、五日の都議会本会議で成立する見通しとなった。当事者からは歓迎の声が出る一方、表現の自由の制限につながりかねないとの懸念や、企業や教育現場で性的少数者への対応を具体的に進めるよう求める意見も出ている。

◆「現状打破のきっかけに」

 法律家や研究者らでつくる外国人人権法連絡会の師岡康子弁護士は、「ほかの県などでも制定の検討が進むのでは。ヘイト対策が進まない現状を打破するきっかけになる」と評価する。

 師岡さんによると、二〇一六年にヘイトスピーチ対策法が施行された後、ヘイトデモは減少したが、最近は戻りつつある。デモの場所は、新宿や銀座など東京に集中しているという。

 条例ではヘイトスピーチを防ぐため、公共施設の利用を制限する基準をつくる。同様の基準は川崎市や京都府などが条例ではなくガイドラインで設けている。

 ただ、ガイドラインを適用して事前に公共施設の利用を許可しなかったケースはないという。憲法では表現の自由が保障され、自治体の首長が利用の可否を判断するのは難しい。条例化で制限しやすくなるかは不透明だ。

 師岡さんは「都は制限する基準は今後つくるとし、条文に明示していない。知事に白紙委任するのはおかしい。権力の乱用を防ぐための仕組みも備えるべきだ」と指摘する。

 条例では、集会やインターネット上で差別的言動があったと知事が認めた場合、活動の概要などを公表したり、ネット上の動画などを削除要請したりできるようになる。田島泰彦・元上智大教授(メディア法)は「表現の自由が抑圧される危険性を秘めている。権力への批判なども規制の対象にされかねない」と危ぶむ。

 基準づくりや条例の運用では、表現の自由との線引きが課題になる。

  (榊原智康)

写真
 

この記事を印刷する

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】