現死神~鈴木悟~   作:ザルヴォ
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すいません、話全然進んでないです。


エンリ視点2

 村の方向を伝えると、サトル様は天使達に道中危険がないか探ってくるように指示を出す。その背中を祈りながら見守る。――――どうかみんな無事でいますように。

 

「サトル様!さっきのって魔法?文字がこう・・・ぶわーってなったすごいやつ!」

 

 そんな中、手持無沙汰になったのかネムがキラキラした目をして問いかける。まだ先ほどの興奮が冷めきっていないようだ。

 

「こら!サトル様にそんな失礼な口聞いちゃダメでしょ!」

 

 すぐに注意した後、慌ててサトル様の様子を窺う。幸いサトル様は特に気にした様子もないようだ。

 

「はは、大丈夫ですよ。子供は元気なのが一番ですから。・・・さっきのは超位魔法のひとつで〈天軍降臨(パンテオン)〉と言います。見たことありませんか?」

 

「・・・見たことないです」

 

 これは自信をもって断言できる。あれほど幻想的で神々しい光景を見たら忘れるわけがない。

 

「そのあとのピカピカもちょーいまほうってやつなんですか?あれやってもらってからすっごく体が軽いの!」

 

「いや、あれはただ全体化しただけの強化魔法だからそんなに大した事はないよ。あれも見たことないですか?」

 

 しいて言えば、最初に唱えられた。『ボディ・オブ・・・なんとか』ってやつが友人の見せてくれた服を丈夫にする魔法に似てた気がする。次々魔法が唱えられたので正直ほとんど憶えられなかった。

 ただ、失礼だがサトル様が使うような魔法を彼が使用できるとはとても思えない。―――いや、そもそも人間が神と同じ魔法を使おうとすること自体が間違っているのではないだろうか。

 

「はい、薬士の友人が魔法を使えるんですけどどれも見たことないです。・・・あの、あれは特別な魔法ではないのですか?」

 

 そんな様子を見てサトル様がう~んと首を傾げる。

 

「まあ人によって習得している魔法は様々ですから。きっと私とは方向性が違うんでしょう。・・・ぷにっと萌えさんがいればもっとすごい強化ができましたよ」

 

 プニットモエ・・・プニット・モエ?名前だろうか。そんな疑問を感じ取ったのかサトル様が続けて答える。

 

「えっと、ぷにっと萌えさんはアインズ・ウール・ゴウンの一人で味方の強化が得意だったんです。」

 

 彼がいただけでパーティーの強さが跳ね上がったなぁ。と呟くサトル様の様子からとても親しい関係であった事が伝わってくる。

 

「アインズ・ウール・ゴウン?」

 

 またしても知らない名前が出てきた。それに気づいたサトル様が『あ、すいません』といって補足する。

 

「アインズ・ウール・ゴウンはギルド―――あ~えっと私の仲間達の事です。私を含め四十一人で構成された集団をそう呼んでいたんですよ。・・・今はもう無くなってしまったんですが」

 

「サトル様のお仲間と言うことはきっとすばらしい方々だったんでしょうね」

 

 そう返答した瞬間、サトル様がすごい勢いでこちらに振り向く。こちらを見つめる眼差しには圧力さえ感じられる。

 

 

 

「そうなんです!ほんと私にはもったいないぐらいみんないい人達だったんです!ぷにっと萌えさんは指揮官系を中心にした(ビルド)でいるだけでパーティーの力が底上げされるんです。もちろんそれだけじゃなくてたくさんの強化魔法でみんなを援護してくれたんです!でもあの人の一番すごいところは本人の知略にあると思うんですよ。適材適所に戦力を配分しつつ戦況を見て臨機応変に指示を出してくれるんです。自分自身も駒の一つと考えて最適な答えを導き出すその姿からアインズ・ウール・ゴウンの諸葛孔明とも言われていました。彼の言葉なら普段喧嘩ばかりしてるウルベルトさんとたっちさんも素直に従って協力したものです!あ、ウルベルトさんとたっちさ――たっち・みーさんって言うのは最強の魔法使いと最強の剣士の二人で、顔を合わせれば喧嘩ばかりしてみんなを困らせた物です・・。喧嘩するほど仲がいいっ言いますけど、あの二人はちょっとやりすぎだったんじゃないかなぁ。間に入るこっちの身にもなってほしい・・・いや、あれはあれでいい思い出ですね。一度喧嘩してる時にペロロンチーノさんがぶくぶく茶釜を二人の間に突っ込んでぶくぶくバリアー!とか言ったときは二人ともあっけにとられてたなぁ~。・・・その後ペロロンチーノさん茶釜さんにマジ切れされてたけど。あれは怖かった。女の人ってあんな低い声だせるんだなって感心しちゃいましたよ。やっぱ声優ってすごいんだな~。そうそう、ペロロンチーノさんとぶくぶく茶釜さんは姉弟でしてこっちもいつも喧嘩ばかりしてるんです。姉より優れた弟なんていないなんていつもペロロンチーノさんが一方的にしりに敷かれてましたけど。でもこっちはじゃれあいみたいなもので本気ではなかったと思います。照れくさくて絶対言わないでしょうけど多分お互いに思いあってたんじゃないかな。だってペロロンチーノさんが風邪ひいてINできなかった時、茶釜さんもINしてなかったんですけど。あれ絶対付きっ切りで看病してたんですよ!茶釜さんは忙しかっただけなんて言ってましたけどどこかぎこちなかったですし。ペロロンチーノさんも普段ならぶくぶく姉なんて呼んでからかうのになんでもないなんていっちゃて・・・。あれ絶対照れ隠しですよ!他にも――――」

 

 

 突然饒舌になったかと思いきや矢継ぎ早に仲間たちの事を話すサトル様。ああ、友人がポーションについて語る時もこんな感じだったなー。などと思いながら聞いていると唖然としているこちらに気付いたのかサトル様がコホンと咳ばらいをする。

 

「・・・すいません。仲間達の事を話すのは久しぶりだったのでつい」

 

「い、いえ・・・大丈夫です」

 

 確かにあっけにとられてしまったが、サトル様がどれだけ仲間のことを大事に思っていたのかが伝わってきた。不謹慎かもしれないがとても微笑ましい気持ちになる。

 

 

「アインズ・ウール・ゴウンは昔はとても有名だったんですけど。・・・まあしかたないことですね。忘れ去られるのは寂しいですが」

 

 少し寂しそうにサトル様が笑うと同時に天使たちから返事が届いた。




仲間の事になると早口になる鈴木悟が書きたかった。






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