米テレビネットワークCNBCが、テクノロジー企業とユーザーのプライバシーについて取り上げました。Appleがユーザーのプライバシー保護を尊重しているのに対し、ユーザーの情報を販売して利益を得るGoogleやAmazonの姿勢に疑問を投げかける内容となっています。
クックCEO「テクノロジー企業の言葉を信じてはいけない」
Facebookの約5,000万アカウントが乗っ取りの危機にあったことや、Googleがユーザーに分かりにくい形でユーザーの位置情報を収集していたことが明らかになり、テクノロジー企業とユーザーのプライバシーの問題が改めて注目を集めています。
Appleのティム・クック最高経営責任者(CEO)は先日、VICE Newsのインタビューに応じ、Appleが顧客のプライバシーを重視する姿勢を改めて強調するとともに「テクノロジー企業が、サービス改善のために個人情報が必要だ、と言っても信じてはいけない」と、企業がユーザーの個人情報を営利目的で利用していることに警鐘を鳴らす発言をしています。
なお、Appleは「Appleは、プライバシーは基本的人権であると信じています」で始まる、同社がユーザーのプライバシーを保護する姿勢を表明したWebページを2017年9月に公開しています。
「Androidユーザーは、個人情報の権利をすべて放棄している」
米メディアCNBCの金融情報番組Closing Bellは現地時間10月3日、テクノロジー企業に特化した投資会社Elevation Partnersの取締役ロジャー・マクナミー氏と、インターネット上の人権擁護を掲げる非営利団体Center for Democracy and Technologyの代表、ヌアラ・オコナー氏を招き、テクノロジー企業とプライバシー保護についての議論を放送しています。
マクナミー氏はクックCEOの発言について、Appleは政府に強制されることなくユーザーの個人情報を尊重し、顔認証などの重要情報をiPhone本体に暗号化して保存し、Siriの処理を脆弱性のあるクラウド上ではなく端末で行うなど、ユーザーのプライバシーを尊重している、と高く評価しています。
そして、Appleのプライバシーに対する姿勢は、ユーザーの情報を販売して利益を得ているGoogleやFacebookとは大きな違いがある、と評価しています。
その上でマクナミー氏は、Apple製品に比べて価格の安いAndroidについて、「Androidユーザーは、価格の安さと引き換えに、自分の個人情報の権利をすべて放棄していることに気づくべきだ」と語っています。
スマートスピーカーの普及で誰もが監視される?
AmazonやGoogleは、それぞれスマートスピーカーで大きなシェアを獲得していますが、今後はユーザーと周囲の人物の日常会話が切り売りされ「AmazonやGoogleの顧客でなくても、誰もが監視されるようになる」とマクナミー氏は警鐘を鳴らします。
なお、両社は、ユーザーの日常会話に応じた最適な広告を表示する技術の特許などを取得しています。
「弁護士や銀行員と同様、テクノロジー企業も個人情報で儲けるのは許されない」
「クック氏の姿勢は正しい。しかし、これは政府が介入すべき領域だと思う」とマクナミー氏が語ると、オコナー氏はアメリカ政府のプライバシーに対する取り組みは諸外国と比べても十分ではない、と指摘しています。
「人々の個人情報で利益を得ることは、弁護士や銀行員や政府高官に許されていないのと同様に、テクノロジー企業にも許されるべきではない」とマクナミー氏はコメントし、EUのGDPR(一般データ保護規則)のアメリカ版を設けるべきだ、と提案しています。
Source:CNBC
Photo:Apple, VICE news/YouTube, Japanexperterna
(hato)