インドネシア地震・津波 政府、デマ対応に苦慮
インドネシア当局は、9月28日にスラウェシ島パルを襲ったマグニチュード(M)7.5の地震と津波について、デマを流している複数の個人を特定したと発表した。
この地震と津波ではこれまでに1400人以上が亡くなっている。
政府はソーシャルメディアなどで広がっている情報8件のリストを公開し、内容が正しくないと注意を呼びかけた。
地元警察は、スラウェシ島のダムが決壊しそうだというデマを確認するために時間や人手を無駄にしたと批判した。その上で、警察本部長はうわさを流した複数人物の「身元を知っている」と話した。
インドネシア国家防災庁の報道官も自分のツイッターに、デマを否定する内容を投稿した。このツイートは何千回もシェアされた。
デマの内容は?
ツイッターやフェイスブックなどでの災害をめぐるデマの広がりに、インドネシア政府は一点一点、反論を余儀なくされている。
情報通信省は2日間で2件のプレスリリースを公表し、ソーシャルメディアで広がる誤情報に反論した。
そのうち2日のプレスリリースでは、被害を受けたダムに関するデマに反論。また、インターネットで出回っている遺体や救助の様子を捉えた写真の中に、2004年のスマトラ島沖地震を含む過去の災害のものが含まれていると指摘した。
政府はこのほか、9月28日のものより大きな地震が予測されているといううわさも否定している。
声明では「実際のところ、地震を確実に予測する科学と技術を持つ国は存在しない」と念を押している。
同省によると、パル市長がこの災害で死亡したとのうわさも否定し、「実際にはヒダヤット・パル市長は生きていて、市内で緊急対応に当たっている」と指摘した。
ツイッターでもデマ拡散に警鐘
国家防災庁のストポ・プルウォ・ヌグロホ報道官は、地震と津波の被害をめぐるフェイクニュース対策でも先陣を切っている。
ストポ報道官は現在、肺がん治療を受けているものの、自分のツイッターアカウントで誤情報への反論・修正を続けており、何千回もシェアされている。
津波から数日後にスラウェシ島のソプタン山が噴火したが、ソーシャルメディアで広がった噴火の様子を捉えた動画はインドネシア関連ではなかった。
ストポ氏は「この動画はデマだ」とツイッター上で警告し、「無視して。ソーシャルメディアで広めないこと」と呼びかけた。
このツイートは現在、7000回以上シェアされている。
デマの通報を呼びかけ
津波災害やその後の噴火によってデマやフェイクニュースが増える中、インドネシア政府は国民にソーシャルメディア上で目を光らせるよう呼びかけている。
情報通信省はデマの拡散をやめるよう訴えると共に、偽と思われるうわさや写真、動画を通報するよう呼びかけた。
同省が5月に開設した問い合わせ専用ツイッターアカウントが窓口となり、国内の誤情報や不快なコンテンツの取り締まりに一役買っている。