Forkwell Press

エンジニアの生き様をウォッチするメディア

スーパーからエンジニア育成へ、異色の経歴の背景とは。高橋建二(フロイデール)~Forkwellエンジニア成分研究所

f:id:grooves:20180926173801j:plain

ずっとIT業界への思いがあったんです

――フロイデール社さんは、どのような事業をされているのでしょうか?

高橋 弊社では、ITのエンジニア育成の研修をしています。フロイデという会社が本体でして、そちらは受注開発でWEBサイトとかアプリを作っており、今社員が60名ぐらいです。うち50名ほどエンジニアです。弊社フロイデールは研修会社で社員は2名です。私以外のもう1人はエンジニア兼講師です。

――フロイデさんが先にあって、フロイデールさんが分岐されたという経緯なのですね。高橋さんはどのようなお仕事をされているのですか?

高橋 会社の運営全般になるので、何部と聞かれると「全部」と言っているんですけど(笑)。営業も経理もすべて自分がやっていて、リード、受注をして契約云々というところから、会場や講師の準備をやり、プラス会社の運営、税金関係も行っています。

――それは大変そうですね。

高橋 大変です(苦笑)。私は元々、スーパーに3年前までいました。3年前にITの勉強を始め、半年ぐらいで弊社の代表と会って転職を決めました、なので在籍は1年9ヵ月ほどですね。

スーパーでの経験は、とても活かされています。管理部門、数値管理、人員管理をやっていたのですが、食品からITの研修サービスに売るものが変わった感覚です。研修事業だけでなく、本体であるフロイデ社の営業もやっています。

――約3年前、35歳のときからエンジニアを目指されたそうですね。

高橋 はい。ただ、ウチの会社の代表から勧められたこともあり、今はエンジニアというよりも会社の運営がメインになっています。エンジニアという専門職より、新規事業をやってほしいと。今も多少ウェブサイトを作ったりはしますが。

――畑違いのお仕事から移る決心をされるにあたり、何か転機となる出来事があったのでしょうか?

高橋 私は元々、地元以外で約10年働いていたんです。当時は成長中のスーパーにいたので休みもそれなりに取れましたし、フィーも年々上がっていました。ただ地元は北九州だったので、いつかは戻ろうと考えていました。

そして2011年、父親代わりに私を育ててくれていた祖父が倒れて入院してしまいました。ちょうど震災もあり、娘も「地震は嫌だ」ということで、こっちに帰ってこようということに。2012年に祖父は亡くなってしまったのですが、母親と祖母を助ける男手が必要だと思い、2013年に戻ってくることにしました。

帰った際には、あるスーパーで働く予定でした。そこの役員さんが業務改善を進めており、私に「元々いた会社での知見を生かしてほしい」とオファーをくれたんですね。それなら活躍できると思ったのですが、その役員さんが私が帰ってきた2013年夏頃には社長と対立して辞められてしまったんです。

――ほとんど入れ替わるように。

高橋 結果、私には業務改善ではなく「店舗管理かバイヤーか」という選択肢しかなくなってしまいました。結局、店舗管理に落ち着いて3年ほどいたんですが、休みは少なく給与は上がらず、このまま将来やっていけるかわからない状況になったのです。

そもそも私は2002年頭に就職したのですが、当時はライブドアさん、サイバーエージェントさんなどIT起業ブームがありました。IT業界に行くか自分の好きな小売に行くかで悩み、小売の道を選んだという経緯があったんです。ずっとIT業界への思いがありましたし、「ITの力で今の小売を変えられるのでは」という思いもありました。

――それで、エンジニアになろうと思ってスクールに行かれたんですね?

高橋 スクールに行く前にUdemyというオンライン勉強ツールで勉強を始めて、仕事をしながらやっていたのですが、「WEB CAMP」というものが福岡で始まると知り、参加させていただいたのです。

その中で、弊社の代表が主宰するイベントに行ったところ「1,000人のエンジニアを育てる」というミッションを伝えられ、共感して入社を決めました。「現状を変えたい」という人のお手伝いをしたいと思いましたし、エンジニア育成の仕事にも興味がありました。

f:id:grooves:20180926173942j:plain

今でもしょっちゅうくじけそうになります(笑)

――「エンジニアではなく、事務局長になってほしい」と言われたとき、迷いはなかったのでしょうか?

高橋 実は並行してエンジニアもやろうと思ってましたし、今でも勉強はしているんですよ。自分自身でも、勉強会を立ち上げました。北九州の川上さん(編集部注:カラビナテクノロジー社・川上裕司氏)と「ChaChaTech」というものを作ったんです。

他にも「ファザーリング・ジャパン九州」という団体で理事をやっている経緯もあり、子どもたちにプログラミングを教える「CoderDojo北九州」を立ち上げました。そういった機会では、自分自身でも勉強するようにしています。勉強する機会を自ら作れば、強制的にやらざるをえなくなりますから。

――勉強会を運営することで、来る人たちより詳しくならないといけなくなると。

高橋 そういう感じですね、知見も増えますし、そういった活動があって北九州市さんから研修依頼も来ました。北九州市にいるニートの子たちを、IT研修して就職まで結びつけるというものです。

――事務局長になって、やりがいがあったなということを教えていただけますか?

高橋 ゼロからスタートする不安でいっぱいの子達が、3ヵ月ほど一緒にやる中で徐々に成長していくのを見られるのは、幸せですね。下は高卒の18歳から、上は41歳までと幅広い年齢層の方が参加してくださっています。41歳の方も、未経験です。元々IT会社の営業で、「自分自身も知識を持てれば、営業により身が入る」ということでした。

――逆に、これは大変だったなということはありますか?

高橋 売るものが変わるとゼロから知識を入れないといけないので、そこは大変でしたね。勉強はしていますが、深い話になるとついていけなくて。ちょうど昨日もうちの代表と他の会社の代表と一緒にある事業について話していたんですが、2人が細かいことを話すと全然ついていけないですね。

――くじけそうになったりはしないですか?

高橋 今でもしょっちゅうです(笑)。最初はわからなさすぎてよかった面もあるのですが、半年ぐらい経って来るとだんだん「どこまでわかっていないか」を理解し始めるじゃないですか。自分のわからない部分がはっきりしてくると、辛いですね。

――業務を行なう上で大事にしているモットーや好きな言葉ってありますか? 

高橋 笑っていることが大事だと思っています。暗い顔をしていても仕方ないので、笑っていればとりあえずはうまくいくかなと。笑いながら頭の中は大変なことになってるんですけど(苦笑)。「やばい」という状況のときほど、笑顔でいた方がいいなと思います。

――他の人にも、プログラミングを勉強することを勧めたいと思われますか?

高橋 もちろんです、世界が広がるので。例えば小売の業界だと、電力会社とはなかなか結び付きづらいと思うんですけど、ITなら結びつけられます。ITは、全ての業界とリンクできると思うんです。世界が広がりすぎて、あれもこれもできるんじゃないかと思うことはありますね。

――ご自身の成長のために日々行なっていることはありますか?

高橋 健康に気を付けることですね、身体あっての仕事なので、ジムにも4、5年通っています。サプリメントやプロテインも摂っていますし、先月末からは妻と一緒にホットヨガも始めました。睡眠にも気を付けて、22時には寝るようにしています。スケジュール的には簡単ではないですが、うちの娘と一緒に寝るのが日課です。スーパーにいたので、朝早くても平気なんですよ。毎朝5時には起きていたので。

会社の規模問わず、無駄な時間はまだまだある

――ここからは、高橋さんが働く上で大切にしていることについて、「事業内容」「仲間」「会社愛」「お金」「専門性向上」「働き方自由度」の6つの項目から合計20点になるよう、点数を振り分けていただきます。

f:id:grooves:20180926174248p:plain

・働き方自由度 10

自分自身をコントロールできる、良い状態をキープできることで全体のパラメータが上がると思うんです。朝強い人がいれば、夜強い人もいるわけで。そういう部分をコントロールできた方がいいですね。この会社も立ち上げたばかりのときにスーパーフレックスを導入して、自由に調整できるようになってます。

――スーパーフレックス制度は、高橋さんが導入されたんですか?

そうですね、裁量労働制みたいな感じで月から木まで働いて金休んでもいい、月曜に2時間だけ働いて足りない分を火曜に持ってきてもいい。月間の労働時間を自由に調整できます。

・専門性向上 2

専門性は個人の問題だと思っていて、個人の範疇でどこまでできるかだと思います。

・仲間 2

仲間に関しては2人しかいないので、欲しいというのはありますね。

・お金 2

今はそんなに高くはないんですけど、いまの事業で成果を出せたら将来的に上げてもらう約束はしています。今は2、というところですね。

事業内容 2

今の仕事は自分に合っているので、あとは自分自身の働き方で上げていかないとなと思います。

・会社愛 2

会社という組織自体について、自分の中ではクエスチョンマークがついているんです。良い部分も悪い部分もあると思っていて。今の世の中の流れでは、個々人で良いメンバーが集まってプロジェクトを完結させる方が適していると思っています。

実際、働き方自由度が10点というように、いまは個人に依存している部分があり、会社だけにおんぶに抱っこというわけにはいかない気持ちで働いています。同時に、会社をもっと向上させられたらと思います。一部上場企業と中小企業の両方にいて思ったのは、無駄な時間がまだまだたくさんあるということ。本業に集中できる状態にあれば、間違いなくよくなると感じています。

f:id:grooves:20180926174618j:plain

「会社を辞めたらただの人」にならないために。

――最後に転職を志す方に向けてメッセージをいただけますでしょうか?

自分も何度か転職を経験しているので思うんですが、会社内の価値よりも、個人としての市場価値を上げた方がいいと思います。そうすれば、転職活動しなくても仕事のオファーはあると思います。結果、社内での価値も上がるでしょうしね。

――会社内だけでなく、外でもアウトプットをしてみようということですか?

例えば大企業だとしたら在職しているだけで価値がバッと上がりますが、会社を辞めたらただの人じゃないですか。退職したら、会社は面倒を見てくれないですよね。

あと、やはりなんと言っても家族は大事です。家族との関係がズタズタだと全てが悲しいと思うので。家族との状況を考えながら自分が社内に置かれている状況を客観視し、自分自身の市場価値を上げておけば、特別な転職活動はしなくていいのではないかと思います。

<了>

ライター:澤山大輔


Forkwell Portfolioは、エンジニア向けのポートフォリオサービスです。 Gitリポジトリを解析して、あなたのアウトプットをグラフィカルに可視化します。

Forkwell Portfolioのご登録はこちら!

20180925152538