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カーテンコールにある決まり事
こんばんは、M&Oです。
今回は舞台やミュージカルで演者が最後に行う『カーテンコール』について書かせて頂こうかと。
一度でも舞台かミュージカルをご覧になられた事がある人は見た覚えがあるかと思います。
最後にキャスト全員でお客様に挨拶するあれです。
実はこの『カーテンコール』、簡単そうに見えて意外とややこしい決まり事がそれなりにありまして。
「プロなんだからそんなん当たり前にやるのが普通だろ」という声が聞こえてきそうですが、
おっしゃる通りです!
M&Oも役者現役時代は幾度となくこの『カーテンコール』をやってきたわけですが、当時はもちろん当たり前風にやっていましたが、
はっきり言って苦手でした!
どこがどんな風に苦手だったか、そしてどんな失敗をしてきたかを赤裸々に書いていきます。
まずカーテンコール中はほぼ全てと言っていいほど音楽が流れます。
俳優は順番に舞台の上に登場し挨拶をして、次の順番の人を招き入れ最後には全員が揃ってお客様に挨拶する流れとなります。ちなみに主演が最後に登場します。役が小さい人から登場していくわけですが、前半は大勢でいっせいに登場し、役付きになるとひとりづつ登場するのが多くの場合です。
M&Oも若かりし頃はもちろん役もなく、前半に大勢で一気に登場していました。
この時は楽でした。
周りについていけば間違う事がないわけで、頼りになる人を見つけておけば後はついていくだけです。
思えばこの時にそうやって甘えていたせいで後々苦労する事になったのかもしれません…。
というのも、運良く役が付くようになりどんどんカーテンコールでの登場順は後ろの方になり、一人で登場する事が当たり前になっていきました。そうなると当たり前ですが、
誰にも頼れないわけです!
ちなみに頼らないのが普通です。
舞台裏にいる時は当たり前ですが、舞台上がまったく見えません。袖(そで)と言われる舞台の真横の位置なら見えますが、舞台の後ろから登場する時は舞台上はまったく見えません。まぁ、見えたら舞台の後ろにいる時にお客さんから見えていることになるので当たり前と言えば当たり前ですが。見えたらまずいですからね。
そうなると僕らはカーテンコールで何を頼りに自分が出るタイミングを取っているかと言いますと、
カウントです。
かかっている音楽のテンポで、大勢の俳優がいっせいに挨拶に出る最初の挨拶からカウントを取り続けて、例えば16個目の8カウントで出るという風に決まっています。
つまり、
自分の順番が来る前にカウントを数え間違えていたら一巻の終わりなのです。
舞台上が見えないので、カウントだけが頼りなわけです。ただ曲によってはちょうど音が変わったりのきっかけがわかりやすければ、それでタイミングを取ることもあります。
白状します。
M&Oはカウントを取るのが大の苦手でして。
余裕で途中でわからなくなる時が多々ありました。
舞台裏からコソッと舞台上を覗き見した事も一度や二度ではありません。しかも覗いている時はカウントを見失っている時なので、かなりテンパった顔をしているはずです。
自分のカウントではまだなのに、後ろからドンッと押されてカーテンコールに出て行った事もあります。完全にM&Oの数え間違えで、たまたま同じところから出る先輩俳優の優しさです。
そしてこのカウント地獄は自分の挨拶が終わっても続きます。
最終的に主演の俳優が出てきて、全員で挨拶をする時も、カウントでお辞儀するわけです。全員ならカウントなくても分かりそうだろと思われると思いますが、大きい作品になればなるほど、横見たりすると怒られます。なんだか小学生の発表会みたいなこと言ってごめんなさい(笑)でも本当にそうなんです。確かにDVD収録とかライブビューイングがあったりすると、顔のアップにもなるのでバレますしね。
そしてM&Oはやらかします。1000人のお客さんの前で、しかも舞台の最前列で、他の役者たちがまだまっすぐ客席を見据えている時に、1人深々とお辞儀をしてしまったのです。しかも前しか見てないから自分が間違えたことにも気付いてもいませんでした(笑)
カーテンコールが終わった後に舞台袖にはけた瞬間に隣の位置にいた先輩俳優から
『ふざけんなよ!つられてお辞儀しそうになったじゃねーか!』
と笑いながら言われた時も、M&Oは何のことだかわからなかったぐらい自分の間違えに気付いていませんでした。
普通に『え?何のことです?』って聞き返したぐらいです。
まさに生き恥です(笑)
そんなわけでM&Oはこういったカウントを取るカーテンコールが苦手で、正直嫌でした(笑)でも避けられない道でした。舞台やミュージカルの質が上がれば上がるほどカウントで取るカーテンコールになりますし。しかし出来て当たり前なので(笑)苦手なM&Oが悪いのです。
そして『カーテンコール』にはもう一つ決まり事が…
立ち位置がズレてはいけないカーテンコールの決まり
大きいステージになるとステージには番号がついていまして、カーテンコールではこの番号で立ち位置が厳密に決められています。お客さんからはもちろん見えないようにステージの一番前の方(ツラといいます)に番号がふってあるのですが、『4番に立つ』とか『7.5番に立つ』とか『13番に立つ』などと決められているのです。この番号に位置に立つというのはさほど難しいことではありません。
しかし、
しかしですね、ここでも大切なことがあるのです。
下を見てはいけない。つまり番号を見てはいけない。
というルールがあるのです。
もちろん何の手がかりもなしにその番号の位置に立つことは不可能です。天才俳優でも無理でしょう。市村正親さんならやりかねませんが、たぶん流石に無理でしょう。
そこで役者は下を向かずにその位置へたどり着けるように、なにかしら目印を決めて対処するのです。基本的に多いのは客席だと思います。客席の通路の端が右足に来るようにとか、何列目の何番目の客席の位置と決めておいたり。もしくはもっと上部のスタッフ席の何かを目印にしたりなど。
ちなみにM&Oは一度客席を何も考えずに目印にしておいたところ、お客さんが入った状態をイメージしてなかったせいで、お客さんの入った客席での本番でわけわからなくなり、がっつり番号を見たという経験をしています。
まさにポンコツ俳優!!
そんなこんなで人よりも苦労していたM&Oのカーテンコール話でした!
ちなみに普通の俳優はこんなに苦労することなく当たり前にやっているので、はっきり言ってM&Oが苦手だっただけですので。
かなり俳優業の間が空いてしまっている今なんて・・・できる気がしない・・・。
M&O