半導体商社が「再編ラッシュ」に突入したワケ

生き残りを賭け、合併・統合の号砲が鳴った

半導体商社が再編のうねりに巻き込まれている(撮影:尾形文繁)

これまで企業同士の統廃合が進んでこなかった半導体商社が、突然の再編ラッシュに沸いている。

独立系半導体商社の加賀電子は9月10日、富士通系の富士通エレクトロニクスの買収を発表した。そのわずか4日後の9月14日には、UKCホールディングスとバイテックホールディングスが経営統合を発表したのだ。

この2つの再編により、これまでマクニカ・富士エレホールディングスのみだった「売上高5000億円プレーヤー」が新たに2つ、生まれることになった。UKCホールディングスの栗田伸樹社長は「このままで成長していても中堅で終わってしまう。統合が成立したら、バイテックとともに1兆円に挑戦したい」と話す。

半導体市場はAIやIoT(モノのインターネット化)、自動運転車など、将来的に多くの需要が見込まれている。しかし、市場の盛り上がりとは対照的に、半導体商社を取り巻く環境は厳しさを増しており、それが再編の背中を押している。

半導体メーカー再編が後押し

 最大の要因は半導体商社にとって仕入先である半導体メーカーの再編だ。9月にはルネサスエレクトロニクスが米IDT社を約7000億円で買収すると発表したばかりだ。

仕入先であるメーカーの再編は、半導体商社のビジネスに大きな影響を与える。メーカーのA社とB社がそれぞれ別の商社を使っていた場合、どちらかに商流が統合されることがある。

半導体メーカーが直販化に踏み切り、半導体商社が「中抜き」されるケースも増えている。半導体メーカーが巨大化することで、商社による売り込みが不要になっているのだ。近年のIT化によって、顧客管理やマーケティングも自動化でき、半導体商社の存在意義が問われている。

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  • メモリーズパパf02e5402a1a4
    日本の商習慣と海外との違いに戸惑うことが多い。
    技術格差など付加価値が出る時代ではない。
    日本の企業には頑張って欲しい。
    up6
    down0
    2018/10/3 07:13
  • NO NAMEa29203116ed4
    もともとUKCとバイテックはソニー特約店だったが、ホールディングスとしては同系列なので当然の動きで遅すぎたくらいだ。
    日本の半導体商社は在庫調整能力以外に期待できることはなかったが、近年は技術サポート部隊を拡充させたり、半導体以外のコンポーネントを扱ったり、半製品モジュールを販売したり戦術が多様になっている。
    up5
    down0
    2018/10/3 08:25
  • NO NAME5592dc36b282
    製薬業界と同じ状況になってきましたね。
    最先端の薬を開発したところが利益総取り、開発費設備費莫大。って体質が似てます

    そのうち薬品メーカーのように、特許切れ品専門のゾロメーカーがでるような気もします。
    up6
    down2
    2018/10/3 07:53
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