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ネットスーパーのビジネスモデル崩壊で、大量撤退が始まる「Xデー」

一方、アマゾンの新業態がすごすぎる

いまのネットスーパーは絶対に儲からない

以前、ネットスーパーを視察させてもらった時のことです。責任者に「ネットスーパーは儲かるんですか?」と尋ねたところ、「儲かりません」と笑顔で即答されたことがありました。理由は簡単。薄利多売のスーパーの商品を、受注管理をして、ピッキングして、さらに自宅まで届けるのですから、このビジネスモデルの利益が出ないことぐらい、一目瞭然と言えます。

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実際、数字で見てもネットスーパーのビジネスモデルは儲からないことが分かります。

2017年2月10日の日経MJ『物流インサイドリポート』の記事によると、日本の食品スーパーの客単価は約2000円。それに対して注文を受けた商品をピッキングして包装して、自宅に届けるのには1回あたり少なくとも600~700円のコストが発生するとのこと。

そうなると、スーパーの商品の平均的な利益率から換算すると1回あたり5000円以上の買い物をしなければ物流コストを吸収できなくなるそうです。

しかし、1回のスーパーの買い物で5000円を使うとなると、冷蔵庫からモノは溢れかえりますし、核家族化が進む今の日本においてスーパーで1回の買い物で5000円の商品を購入することは非現実的な客単価と言えます。

だからといって送料をいきなり600~700円に値上げしてしまうと、今度はお客様のほうから「だったらお店に買いに行くよ」という顧客心理が働いてしまいます。そもそも一般的なネット通販と違い、行こうと思えば行ける距離にお店があるのですから、送料を高く支払ってまでネットスーパーを利用したいという人は多くないことは明らかと言えます。

さらにここにきてネットスーパーは消費者にも見捨てられ始めています

 

2017年4月に日本政策金融公庫が行った20~70歳の男女2000人に対しての消費者動向調査によると、ネットスーパーの利用者は全体の7%にとどまるという厳しい結果となりました。同じ調査でデパートやスーパーの利用割合が96.7%という数字が出ていることから考えると、明らかにネットスーパーがお客様から受け入れられていないサービスであることが分かります。

ちなみに、そのアンケート調査でネットスーパーを利用しない理由を尋ねたところ、「商品を見て選べない」が60.9%でダントツ。次いで「価格が高い」「受け取りが面倒」という理由が上位を占めていました。儲からない上に顧客の評判が悪いという、ネットスーパーはまさに四面楚歌状態に陥っていると言えます。

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