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恐るべきフランス車

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 最近、ルノージャポンが新型ルーテシアを発表し、9月から発売を開始するという。フランスのBセグメントではすでにプジョー208が2012年11月から日本で発売を開始している。ヨーロッパでは、このプジョー208が大ヒットし、Bセグメントのトップに躍り出た。ルーテシア(ヨーロッパではクリオ)はこれに挑み、2012年末から販売は好調だという。
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 プジョーは経営危機、ルノーは販売低迷という、企業としては苦しい状況下でこれらの新型車を開発したが、クルマのデザイン、品質の高さ、トータルで見たレベルの高さには正直驚かされた。ヨーロッパにおけるBセグメントは、VWポロ、ヒュンダイ i20、ホンダ・フィット(ジャズ)、フィアット・プント、トヨタ・ヤリス、日産マーチ(マイクラ)、スズキ・スプラッシュ・・・と競合者がとにかく多種多様なのだが、プジョー208が今では市場をリードしこのセグメントのベンチマークになり、ルノーがこれを追うという展開になりつつある。
 
 フランス勢は、プジョーは「パーソナル、スポーティ」、シトロエンは「コンフォート、個性」がブランドイメージだが、ルノーは「保守的、凡庸」で、フランスにおいてはトヨタ的とされる。しかし、結果として販売が低迷していることを受け、デザイン、クルマ作りの革新を行い、今後登場する他のカテゴリーの新型車も含め、これまでのイメージを覆すという計画だという。
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 同じBセグメントとはいえ、プジョー208は従来モデルよりボディ寸法をダウンサイズし、エンジンもダウンサイジングをはかった。またクルマとしてのコンセプトはエモーショナルなデザインと走りの強調、プレミアム方向へのシフトを行っている。
 ルノー・ルーテシアは、Bセグメントの枠を少し超えたやや大型化をはかり、CセグメントとBセグメントの中間に進出。エンジンはもちろんダウンサイズしている。
 新型ルーテシアのUSP(ユニーク・セリングポイント)は、デザインの革新、走りの洗練である。ユーザーターゲットは、プジョー208が都会的センスのある人を想定しているのに対して、ルノーのユーザー層は老若男女を問わないジェネラリスト、つまりど真ん中狙いの商品だという。

 ヨーロッパでは、プジョー209、ルーテシアともにガソリンエンジンは1.0L、1.2Lの3気筒/5MT、1.5L,1.6Lの4気筒ディーゼル/6MTがメインだが、日本市場向けはかなり特殊で、208は、1.6L・NA(4AT)、1.6Lターボ(6MT)、1.2L・NA(5MT)、1.6Lハイパワーターボ(6MT)という順に展開し、2014年モデルからは4ATが6速AMTに置き換えられる。
 ルノージャポンは、日本ではよりニッチなマーケットを指向しているだけあって、エンジン、トランスミッションは日本向けの仕様に特化させる作戦で、ヨーロッパでは設定されていない1.2ターボ、ECT(新開発6速DCT)を組み合わせて送り込んだ。ECTは本来はGTモデル用だ。
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 208、ルーテシアともに、生産は決して新しい工場で行われているわけではないのだが、生産設備は相当に更新しているのが注目される。その証拠にボディ精度が著しく向上しており、2車ともにBセグメントにもかかわらずルーフサイドの接合はロウ付け溶接仕上げとしている。ルノーはけっこう古いトルコ工場で、新たにプラズマ溶接によりロウ付け溶接を行っている。プジョーの生産は、高張力鋼板を大幅に使用していること以外の情報はまったくない。しかし、生産技術のレベルはルノーより高精度だろう。
 面白いことに、208のプラットフォームは従来型の改良、ルーテシアのプラットフォームの一部は従来型と同様に日産Bプラットフォームのパーツを共有しているが、その仕上がりはベースとは次元が異なるほど違っていると感じられる。そのベースには開発ポリシーと生産技術との両側面があるように見える。

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↑ プジョー208 GTi                ↑ルーテシア
 
 ルーテシアに関しては、開発段階で走りの革新も大きなテーマだった。旧型でのステアリングの頼りなさ、フィーリングの悪さが大きなトラウマとなっていたため、大幅な改良が求められた。ルノーの走りの革新では、自動車メーカーとしては異例の、金属フラットベルト試験機を駆使し始めたという。タイヤメーカーが持つフラットベルト試験機は、タイヤの荷重、スリップ角を変化させつつCP、CFを計測するが、ZF社のようなダンパー&シャシーメーカーはダンパー,サスペンションの入力を測るフラットベルト5軸試験機を導入している。ルノーはサスペンションのジオメトリーを変化させながら5軸入力を測るという手法で事前評価を徹底し、これが開発で大きく奏功したという。
 もちろんこうした基礎データだけではなく、走行試験を徹底し、走りのチューニングを行って最新のレベルにまで引き上げたわけだ。
 
 結果的には、フロントサブフレームの大幅な強化、ステアリングラックのダイレクトマウント化、コラムアシスト式電動パワーステアの制御ソフトの見直しを行っているという。
 日本の多くのクルマで標準化されている日本製コラムアシスト式EPSで、ここまでできるという新たな基準を作り上げたというべきだろう。
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 208とルーテシアでは目指す走りは違う面もあるが、圧倒的なスタビリティ、正確で気持ちよいハンドリング、フラットな乗り心地、快適さといった面では共通しており、これが現在の欧州基準ともいえる。
 
 またルーテシアに関しては、驚異的な静粛性も実現しており、ゴルフ7と同様に新たな方向性を確立している。イメージ的には2クラス上のクルマの静粛性といえる。もっともルノーではルーテシアでもロアグレードとアッパーグレードで静粛性、質感でも作り分けを行っているのだという。もちろん日本導入モデルはアッパーグレードだ。しかし、高いコストをかけないで驚くべきせい静かさを実現する技術は、ボディのAI(アコースティック・インテンシティ)や、吸音・遮音技術が大幅に進化していることを思わせる。
 
 今ではドイツ車を上回る革新、レベルアップを行っているフランス車の実力は日本メーカーの2歩以上前を走っており注目すべき存在だ。

コメント

非公開コメント

No title

いろいろあるが一点だけ

プラズマ溶接によりロウ付け溶接

プラズマ溶接とロウ付け溶接とは根本的に違うもの。

プラズマは溶接したい材料(母材)を溶かしてつなぎ合わせる。溶融接合の一種。それを平滑にするにはグラインダーで削る。

ろう付けとは母材をそれより融点の低い材料をとかして繋ぐ。従って母材は溶けない。ろう付け溶接とは言わない。単にろう付け。具体的なイメージとしてはハンダ付けが代表的。

過去Cピラーは部材を溶接し、そのすき間をハンダによるろう付けし、それをグラインダー仕上げしてきた。しかしハンダには鉛が含まれるためにやりにくくなり、今はTIG溶接が多く使われている。

 今ではドイツ車を上回る革新、レベルアップを行っているフランス車の実力は日本メーカーの2歩以上前を走っており注目すべき存在だ。

→フランス車は国産車より進んでいるところもありが遅れているところもある。2歩以上前ということは無い。典型的な外車信仰の一種か。私も外車を数台所有したが2歩以上進んでいるのは国産HVだと思うが。


No title

新型ルーテシア

トルコ製ということは フランス車ではないじゃん!

Re: No title

実は最近フランス車は、日本のサプライヤーの部品を多数使用しており、それ以外の部品、コンポーネンツも大手グローバルサプライヤー製がほとんどで、ドイツ車もフランス車もイタリア車もあまりローカル色がなくなっているんで、修理やメンテナンスの実態も国別であまり差がないと思っています。

No title

本気で言ってますか?
フランス車なんて買ったら最後、ずっと修理続きがパターンじゃないですか
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