しまむらの客離れ続く!デフレ優等生の誤算

既存店の苦戦続き、2期連続の減益見通しに

しまむらの既存店売上高はマイナス基調が続いている。復活への糸口はまだ見えてこない(記者撮影)

低価格戦略とローコストオペレーションを武器に、”デフレ時代の優等生”として成長を遂げた衣料品大手のしまむらが迷走している。

同社は、10月1日に2019年2月期の上期決算を発表した。売上高は2756億円(前年同期比3%減)、営業利益は143億円(同40%減)と、増収増益を見込んでいた会社計画を大幅に下回って着地。通期の業績見通しも、売上高5700億円(前期比0.9%増)、営業利益394億円(同8.1%減)に下方修正した。

都市部の急速出店も逆効果に

この半年でグループ全体の店舗数は35店増えたにもかかわらず売り上げを落とした。それだけ既存店が軒並み苦戦を強いられたということだ。特に主力業態「ファッションセンターしまむら」は、京都や大阪など都市部立地の一部店舗で、急速な出店が逆効果となり自社競合も発生。今年度上期の既存店売上高は、前年同期比で6.9%減と大きく落ち込んだ。

しまむらはPB(プライベートブランド)の「裏地あったかパンツ」などが大ヒットして2016年度に過去最高益を記録したが、前2017年度は9期ぶりの減収減益に転落。北島常好社長は業績悪化の要因を「(前年度は)売り場を整理整頓する過程で在庫を絞りすぎてしまった」ためと分析し、アイテム数を拡充する方針を強調していた。だが、ふたを開ければ今年度はさらに苦戦している。

10月1日に行われた決算説明会で北島社長は、「大変厳しい結果に終わった。天候要因などもあるが、売り上げ減、在庫過多、値下げ増という悪循環に陥ってしまった」と苦渋の表情を浮かべた。

悪循環を引き起こした根因は、過度な低価格路線にある。昨年度に減収減益となった経緯もあり、「まずは客数を回復させよう」と、4月にはしまむらの1400出店を記念したセール、5月には会社設立65周年の記念セールを開催。Tシャツや靴下などを140円や65円といった低価格で大量にたたき売りした。

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  • NO NAMEb815633cd176
    買い物する楽しさ、商品を手にとって見られるというネットには無いワクワク感を大切にした店作りを希望します。
    up57
    down7
    2018/10/2 06:25
  • NO NAMEd1e38171610d
    業界全体の売り上げは年々下がってるのに、供給量在庫量は増える一方。
    結果通年投売りが常態化し、競合同士で不毛な消耗戦。

    しまむらの勢いがすごかった頃に比べると同価格帯の競合も増えたし。
    アダストリア(グローバルワーク、ローリーズファーム)、ストライプ(アース)、ジュン(ロペピクニック)、ファストリテイリング(GU)などなど…。

    業界全体が苦しい時期なんで、しまむらだけの問題じゃないのかな?とも思う。 
    up44
    down4
    2018/10/2 09:11
  • SR05d9bce1a19c
    そんな短期決算だけで判断するのは早計だと思うよ。
    波があって、たまたま今が減益しただけで赤字になったわけではないよ

    赤字のアパレルが問題なんだ
    up36
    down11
    2018/10/2 07:02
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