本庶佑さんにノーベル医学生理学賞が送られることが発表になりました。
一応、色々と知る立場にあるものですから、コラムの読者皆様に少し解説しますね。
こちらの漫画にも描いているんですけれど、普通に文章だけ読むと、たぶん新聞記事を読んでもなかなか難しいと思います。こういう説明って、専門用語をすっ飛ばして雑に説明した方が分かるんですけれど、記者の皆さんも頭いいから。
ええとですね…どこから話せばいいかな…
一言で言うと…
10年後くらいにガンで死ぬ人はいなくなるかもよって話
だと思ってください。少なくとも僕の知ってる複数の医者がそう言ってることは確かです。
解説しますね。
人間の体って諸説あるんですけれど、30兆とか50兆とか80兆とか、もうね、めっちゃたくさんの「細胞」って小さな粒が集まってできてるんです。
で、その細胞の1%くらいは毎日死んでるんです。その分1%くらいは細胞分裂して新しいのが出来ていってて。
仮に人間の体が30兆個の細胞だったとしますね。
だとすると、毎日毎日、3000億個ほどの細胞は死んで、3000億個ほどの細胞が産まれていってるんです。ちなみに死んだ細胞がお風呂で出るアカとかですね。
で、毎日そんなにめちゃ沢山の細胞が生まれていってるんで、たまにバグった細胞が出来るわけです。けっこうふざけた細胞で、人を殺しちゃう可能性すらある連中。
地球も70億人もいれば、何人かはテロリストが生まれるでしょ?あんな感じ。
それがガン細胞です。テロリスト軍団ですね。人間の体には毎日毎日、テロリスト=がん細胞が3000~5000個ほど出来ています。
けっこう出来てるでしょ?
これ読んでるあなたの体にも、今まさにがん細胞出来てるんです。いや、ほんとに。
でも、世界で言えば警察がいるし、人間の体には「免疫細胞」っていう「ふざけた細胞をやっつける自警団」がいるわけ。食っちまうんですね。悪い細胞を。で、自分の体に毒素ごと取り込んで、自分も死んじゃうっていうカッコよすぎる連中がいるんです。
ちなみに正義の味方の免疫軍団がテロ軍団(風邪の菌とかも殺す)をやっつけて(というか食い殺して)、自分も死んだ後、ちょびっと黄色がかった色になることがあります。それが膿(うみ)ですね。
んで、人間の体に出来まくってるガン細胞なんですが、基本はこの警察軍団に殺されまくってる訳で、基本は警察軍団(免疫細胞)の圧勝が続いているわけです。そらそうよね。でなきゃ生物なんてみんな死んじゃう。
ですが、この警察を潜り抜ける連中がいたのが問題。
要はこれがガンなんですけど。
主に2タイプあって、テロリストがん細胞が生まれたのに、そのガン細胞のあるおっぱい部分に、とにかく全く警察が巡回しなかった場合。上手く免疫細胞がそのガン細胞までたどり着かないままに、ガン細胞がどうしようもないくらいに大きくなっちゃった場合。こうなると乳がんになるってイメージです。
ですが、しょせんはテロ軍団だから無茶苦茶大きくなると、普通は免疫細胞に見つかるわけです。
じゃあ何でガンで死ぬ人がこんなに多いのって話なんですが、そこが今回の本庶先生のすごいところ。
ステルスって言えばいいのかなぁ…免疫細胞が本当は殺さなきゃいけないのに…殺すどころか横をすり抜けるステルス性のガン細胞ってのがいるんです。忍法隠れ身の術みたいな感じで隠れちゃってんです。
テロリストのくせして、警察がテロリストって気づかない連中がいるわけですよ。
アルカイダに全く気付かずに同時多発テロをやられたアメリカみたいな感じ。
警察はちゃんといるのに、警察がテロ犯を逮捕してくれないわけ。
こいつらがどんどん大きくなって自分の体を殺しにかかるわけです。これがガン。
本庶先生のすごいところって、このシステムに気づいて
「え?じゃあ、ステルスを消せば逮捕できんじゃね?」
ってとこにたどり着いた。
で、ガン細胞のステルス部分=警察に気づかれなくする要素を消しちゃうことに成功したんです。
簡単に言えばもう抗がん剤いらないわけ。もともと、人間の体って免疫細胞=警察官がいるんだから。
「ほれ、見てみ?あいつ、テロリストだぜ?」
「あ、ほんとっすね。逮捕してきますわ」
的なシステムを作ったのが「オプジーボ」。
肺がんとかにも適用されてるんですけれど、基本は悪性…ええと…要はホクロとかのガンに効く薬だって思ってください。業界ではそもそもそっちの薬って認識の方がはるかに普通の認識なんで。
この「システムの発見と開発」が凄いんです。
ガン細胞って、ステルス効かしてね?
じゃあ、ステルス消せばよくね?
あ、バッチリじゃん。
これのノーベル賞。
だって、お医者さんって本当に優秀な人たちは激烈に優秀。システムさえわかれば、今はホクロのガンの薬ってイメージですが、理屈と理論が分かったわけですから、もう他のガンの研究がどんどん進んでってるんです。
やり方さえわかれば、人類の頭脳はすごいです。
きっと、僕は10年しないうちに、ほとんどのガンを殺せるようになるとみています。
そう。
今苦しんでいる皆さん、信じてください。
10年後、ガンは怖くない病気になるはずです。ホントに。だから戦ってる皆さん、頑張って。
ちなみに、テロリストと警察の話で例えましたが、今は抗がん剤っていう薬を使っています。
これはイメージで言えば、
「なんか、千葉県の千葉市辺りにテロリストいるらしいぜ?」
「マジで?あ、確かにいるっぽいね。オッケー」
といって、千葉市全域に核爆弾を落としてるイメージだと思ってください。
千葉市、テロリストは死ぬかもだけれど、放射線の汚染がえらいことになってる感じ。あくまでイメージの例え話ですけどね。そんな治療を今はしています。大半は殺しても、そのテロ集団の何人かが東京に出張に行って偶然潜伏してたら、今度は東京を拠点に組織を作り始めるだけだしね。そんな無茶な治療を行ってるのが今の医療界だったんです。
やたらムズカシイ専門的な話がいろんなところで言われていますが、本庶佑先生のノーベル受賞は遅すぎたレベルだし、業界では当然のこととして受け止められています。本当に素晴らしい人類を救う発見。
本庶先生、おめでとうございます!
一応、色々と知る立場にあるものですから、コラムの読者皆様に少し解説しますね。
こちらの漫画にも描いているんですけれど、普通に文章だけ読むと、たぶん新聞記事を読んでもなかなか難しいと思います。こういう説明って、専門用語をすっ飛ばして雑に説明した方が分かるんですけれど、記者の皆さんも頭いいから。
ええとですね…どこから話せばいいかな…
一言で言うと…
10年後くらいにガンで死ぬ人はいなくなるかもよって話
だと思ってください。少なくとも僕の知ってる複数の医者がそう言ってることは確かです。
解説しますね。
人間の体って諸説あるんですけれど、30兆とか50兆とか80兆とか、もうね、めっちゃたくさんの「細胞」って小さな粒が集まってできてるんです。
で、その細胞の1%くらいは毎日死んでるんです。その分1%くらいは細胞分裂して新しいのが出来ていってて。
仮に人間の体が30兆個の細胞だったとしますね。
だとすると、毎日毎日、3000億個ほどの細胞は死んで、3000億個ほどの細胞が産まれていってるんです。ちなみに死んだ細胞がお風呂で出るアカとかですね。
で、毎日そんなにめちゃ沢山の細胞が生まれていってるんで、たまにバグった細胞が出来るわけです。けっこうふざけた細胞で、人を殺しちゃう可能性すらある連中。
地球も70億人もいれば、何人かはテロリストが生まれるでしょ?あんな感じ。
それがガン細胞です。テロリスト軍団ですね。人間の体には毎日毎日、テロリスト=がん細胞が3000~5000個ほど出来ています。
けっこう出来てるでしょ?
これ読んでるあなたの体にも、今まさにがん細胞出来てるんです。いや、ほんとに。
でも、世界で言えば警察がいるし、人間の体には「免疫細胞」っていう「ふざけた細胞をやっつける自警団」がいるわけ。食っちまうんですね。悪い細胞を。で、自分の体に毒素ごと取り込んで、自分も死んじゃうっていうカッコよすぎる連中がいるんです。
ちなみに正義の味方の免疫軍団がテロ軍団(風邪の菌とかも殺す)をやっつけて(というか食い殺して)、自分も死んだ後、ちょびっと黄色がかった色になることがあります。それが膿(うみ)ですね。
んで、人間の体に出来まくってるガン細胞なんですが、基本はこの警察軍団に殺されまくってる訳で、基本は警察軍団(免疫細胞)の圧勝が続いているわけです。そらそうよね。でなきゃ生物なんてみんな死んじゃう。
ですが、この警察を潜り抜ける連中がいたのが問題。
要はこれがガンなんですけど。
主に2タイプあって、テロリストがん細胞が生まれたのに、そのガン細胞のあるおっぱい部分に、とにかく全く警察が巡回しなかった場合。上手く免疫細胞がそのガン細胞までたどり着かないままに、ガン細胞がどうしようもないくらいに大きくなっちゃった場合。こうなると乳がんになるってイメージです。
ですが、しょせんはテロ軍団だから無茶苦茶大きくなると、普通は免疫細胞に見つかるわけです。
じゃあ何でガンで死ぬ人がこんなに多いのって話なんですが、そこが今回の本庶先生のすごいところ。
ステルスって言えばいいのかなぁ…免疫細胞が本当は殺さなきゃいけないのに…殺すどころか横をすり抜けるステルス性のガン細胞ってのがいるんです。忍法隠れ身の術みたいな感じで隠れちゃってんです。
テロリストのくせして、警察がテロリストって気づかない連中がいるわけですよ。
アルカイダに全く気付かずに同時多発テロをやられたアメリカみたいな感じ。
警察はちゃんといるのに、警察がテロ犯を逮捕してくれないわけ。
こいつらがどんどん大きくなって自分の体を殺しにかかるわけです。これがガン。
本庶先生のすごいところって、このシステムに気づいて
「え?じゃあ、ステルスを消せば逮捕できんじゃね?」
ってとこにたどり着いた。
で、ガン細胞のステルス部分=警察に気づかれなくする要素を消しちゃうことに成功したんです。
簡単に言えばもう抗がん剤いらないわけ。もともと、人間の体って免疫細胞=警察官がいるんだから。
「ほれ、見てみ?あいつ、テロリストだぜ?」
「あ、ほんとっすね。逮捕してきますわ」
的なシステムを作ったのが「オプジーボ」。
肺がんとかにも適用されてるんですけれど、基本は悪性…ええと…要はホクロとかのガンに効く薬だって思ってください。業界ではそもそもそっちの薬って認識の方がはるかに普通の認識なんで。
この「システムの発見と開発」が凄いんです。
ガン細胞って、ステルス効かしてね?
じゃあ、ステルス消せばよくね?
あ、バッチリじゃん。
これのノーベル賞。
だって、お医者さんって本当に優秀な人たちは激烈に優秀。システムさえわかれば、今はホクロのガンの薬ってイメージですが、理屈と理論が分かったわけですから、もう他のガンの研究がどんどん進んでってるんです。
やり方さえわかれば、人類の頭脳はすごいです。
きっと、僕は10年しないうちに、ほとんどのガンを殺せるようになるとみています。
そう。
今苦しんでいる皆さん、信じてください。
10年後、ガンは怖くない病気になるはずです。ホントに。だから戦ってる皆さん、頑張って。
ちなみに、テロリストと警察の話で例えましたが、今は抗がん剤っていう薬を使っています。
これはイメージで言えば、
「なんか、千葉県の千葉市辺りにテロリストいるらしいぜ?」
「マジで?あ、確かにいるっぽいね。オッケー」
といって、千葉市全域に核爆弾を落としてるイメージだと思ってください。
千葉市、テロリストは死ぬかもだけれど、放射線の汚染がえらいことになってる感じ。あくまでイメージの例え話ですけどね。そんな治療を今はしています。大半は殺しても、そのテロ集団の何人かが東京に出張に行って偶然潜伏してたら、今度は東京を拠点に組織を作り始めるだけだしね。そんな無茶な治療を行ってるのが今の医療界だったんです。
やたらムズカシイ専門的な話がいろんなところで言われていますが、本庶佑先生のノーベル受賞は遅すぎたレベルだし、業界では当然のこととして受け止められています。本当に素晴らしい人類を救う発見。
本庶先生、おめでとうございます!
コメント
コメント一覧
ただ、医学・生理学に関するものはこうやってわかりやすく説明できるのでしょうが、
これが物理学とかだとそもそも前提となる知識が多すぎて噛み砕けない、
みたいなことはあるような・・・長谷川さんのこのへんのご意見も聞いてみたいですね。
そして、今回のエントリの何よりすばらしいのは、
テロリストや核爆弾のたとえのところで特定の団体や国家に無理矢理結びつけるようなことをして、
結果として本庶先生の業績にケチつけるような文面にしなかったことだと思います。
当たり前のことを、といわれそうではありますが、
最近、例えばスポーツ関連のグッドニュースなどでその手の不快なコメントをたくさん見かけたので。
改めて、本庶先生の偉業と、人類への貢献に感謝させていただきたいですね。