トランプ政権、FBI捜査制限を否定 キャバノー判事の性暴力疑惑
連邦最高裁判事候補のブレット・キャバノー高裁判事(53)の性的暴行疑惑をめぐり、ホワイトハウスは9月30日、連邦捜査局(FBI)の捜査範囲を制限したとの報道を否定した。
上院司法委で与党・共和党の議員が要求したFBI捜査をドナルド・トランプ米大統領が命令したものの、実際には政権が、FBIの捜査対象を制限し、聴取相手や内容を限定していると、米NBC米ニュースなどが伝えた。
キャバノー判事は疑惑を全否定している。
FBIが最大1週間にわたり、判事の性的暴行疑惑を捜査することになり、上院本会議での議決は延期されることになった。キャバノー氏が最高裁判事に承認された場合、最高裁は保守寄りになる。
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複数の米メディアは先週末、ホワイトハウスがFBIの捜査範囲を制限しており、キャバノー氏を告発した3人の女性のうちの1人、ジュリー・スウェトニク氏が聴取されない見通しだと伝えた。
トランプ大統領はこれについて、捜査制限などしていないと反論。FBIには「適切と判断した人物なら誰でも聴取」してほしいと主張した。
その上でツイッターでは、「なんと! 妨害と先延ばししか頭にない民主党が、キャバノー判事と目撃者に対するFBI捜査の『時間』や『範囲』が不十分だと言い出した。もしもし! 何をどうしたって向こうは不満なんだ。見守ってて!」と書いた。
大統領のほかの政府高官も、FBI捜査について報道や民主党に反論した。サラ・サンダース大統領報道官は、トランプ政権は捜査を「細かく管理」していないと話した。
「これは上院でのプロセス。最初からそうで、承認の条件を決めるのは引き続き、上院だ」
一方でNBCニュースは、あるホワイトハウス高官が捜査制限はなお続いていると述べたと報道。この高官によると、ホワイトハウスが決めた範囲内で、FBIは犯罪捜査ではなく身辺調査を実施しているという。
上院司法委員会の民主党筆頭委員、ダイアン・ファインスタイン議員はホワイトハウスに対し、トランプ大統領がFBIに捜査を命じた大統領命令に内容を公表するよう書簡で求めている。
FBIは何を捜査する?
キャバノー判事の承認手続きを進めていた上院司法委員会は28日、判事が直面する「信ぴょう性のある疑惑」に対する新たな取り調べを条件に、上院本会議での審議に賛成した。
これを受けてトランプ大統領は、1週間以内に「補足的捜査」を終えるようFBIに指示した。
今回の捜査は、FBIが過去に行ったキャバノー判事の身辺調査を再開するもので、FBIは過去の目撃者や新たな証人から話を聞く可能性がある。
この捜査は犯罪捜査ではないため、FBIは疑惑の真偽については見解を表明しない。
被害を訴えているのは誰?
最初にキャバノー氏を告発したのは、カリフォルニア州のパロアルト大学で心理学を教えるクリスティーン・ブラジー・フォード教授(51)。フォード教授は27日、1982年に当時17歳だったキャバノー判事が15歳の自分をベッドに押し倒し、服を脱がそうとして、自分の口をふさいだと司法委公聴会で証言した。
これに対しキャバノー氏は、誰も暴行などしていないと反論。民主党が連邦最高裁判事のプロセスを政治化し、自分の家族と名誉を傷つけたと述べた。
キャバノー氏をめぐっては、他に2人の女性が性被害を訴えている。
イェール大学でキャバノー判事の同級生だったデボラ・ラミレス氏は、1980年代に大学寮のパーティーで、キャバノー氏が性器を露出して自分の目の前につきつけたと表明している。
さらにジュリー・スウェトニク氏は、1980年代初めにハウスパーティーで知り合ったキャバノー氏と友人らが、女性の飲み物に薬を入れていたと告発した。
キャバノー氏はどちらの疑惑も否定している。