マケドニア、国名変更の国民投票不成立

ヨーロッパ
2018/10/1 7:48
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【イスタンブール=佐野彰洋】東欧バルカン半島のマケドニアで30日、「北マケドニア共和国」への国名変更などの賛否を問う国民投票が実施された。投票率は30%台にとどまり成立に必要な50%に届かなかった。同日夜、ザエフ首相は賛成が9割以上に達したことを理由に「議会が多数派の意志を確認する番だ」と述べ、国名変更に必要な議会での改憲手続きを進める立場を強調した。

マケドニアのザエフ首相は国名変更の必要な手続きを進める意向を示した(30日)=ロイター

AFP通信によると、9割超の投票所で開票を終えた段階で賛成91.3%に対し、反対5.7%だった。国民投票は国名をめぐり対立してきたギリシャとの合意に基づき実施した。法的拘束力はないが、合意に反対する野党側はボイコットを呼び掛けていた。

連立与党は改憲に必要な議席の3分の2に届いていない。国民投票が不成立に終わったことで、野党陣営の切り崩しが難航する可能性もある。

マケドニアは1991年に旧ユーゴスラビアから独立した。だが、国内に同名の地方を持ち、古代マケドニアを自国の歴史の重要な構成要素と考えるギリシャが反発。欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)への加盟を阻んできた。

ギリシャとマケドニアは国名変更を条件に、ギリシャがEUなどへの加盟反対を取り下げることで6月に合意していた。これを受け、NATOは7月にマケドニアの加盟交渉入りを承認した。

EU欧州委員会で統合拡大を担当するハーン委員は30日、「(国民投票の)決定を尊重し、最大限の責任と超党派の団結で推進するよう全ての政治指導者に期待する」との声明を発表した。

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