旧制石川県立金沢第一高等女学校(旧制第一高女)の卒業生でつくる「済美会」は、1日に市内で開く同窓会で解散する。最後の卒業生が送り出されてから70年。高等教育を受けた女子の、先駆的な存在だった同窓生も高齢化が進み、開校120年の節目の今年、活動を終えることとした。
「ファースト」の愛称で親しまれた旧制第一高女は、1898(明治31)年に県内初の高等女学校「金沢市高等女学校」として創立した。1901(同34)年に「石川県立高等女学校」となり、23年(大正12)年には「石川県立金沢第一高等女学校」となった。
開校以来、女子教育の中心的な役割を担い、学制改革によって1948(昭和23)年にその歴史の幕を閉じるまで、約7千人が巣立った。
済美会の名簿には、哲学者として名をはせた旧七塚町(現・かほく市)出身の高橋ふみ(20回生)や、衆院議員になった金沢市出身の米山久(16回生)、さらに日本統治下の台湾で水利事業に尽くした八田與一技師の妻・外代樹(19回生)ら、近代日本の女性の新たな生き方を切り開いた卒業生の名がずらりと並ぶ。
同窓会は1900(明治33)年に発足し、10(同43)年に校内の講堂「済美堂」にちなみ、現在の名称に改められた。済美会は閉校後も存続し、同窓生同士で絆を深めてきたが、高齢化が進んで会の運営が困難になる可能性が出てきた。最後の卒業生の53回生も、今年度で84歳を迎える。
1日にホテル日航金沢で開かれる済美会の同窓会「秋の会」には、解散を惜しみ、普段より多い約160人が出席する見込みだ。かつて旧制第一高女の校舎があった場所に建つ、保育所「さいび園」の園児が駆け付け、第一高女の運動会で恒例だったダンス「ファースト」を披露して、最後の節目に花を添える。