インドネシア地震、なお数十人ががれきの下に 死者800人超

Debris and silt are seen along a coastal commercial area in Palu, 30 September Image copyright AFP

9月28日にマグニチュード(M)7.5の地震と津波に襲われたインドネシア・スラウェシ島パルでは30日現在、いまだに数十人ががれきの下に埋まっているとみられている。

救助隊は、倒壊したホテルやショッピングセンターでの捜索を続けているが、余震で危険が立ち入りが困難となったため、重機の到着を待っている。

閉じ込められた人たちの叫びが聞こえる中、救助隊ががれきの下の生存者に水や食べ物を差し入れる姿も見られた。

政府によると、この地震と津波でこれまでに832人が亡くなっている。

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インドネシアの国家防災庁は30日夜、少なくとも300人の遺体を収容できる共同墓地の建設を明らかにした。

ジョコ・ウィドド大統領は被災地を訪問し、生存者の救出に向け「昼夜を問わず」作業するよう指示した。

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インドネシア地震、生存者救出へ「時間との戦い」

救助活動の状況は?

地元メディアによると、ショッピングモールのがれきの下から携帯電話の信号が検知されたほか、ロア・ロア・ホテルの下からは叫び声が聞こえている。

救助ボランティアをしているサリブ・バワノさんはAFP通信に、同ホテルのがれきの下から3人が救出されたと話した。このホテルでは、50人以上が閉じ込められているとみられている。

「いくつかの地点で人の声を聞いた。子どもの声もあった」とバワノさんは話している。

Palu map
Image caption スラウェシ島パルの位置

「みんな助けを求めているが、まだがれきの下にいる。生死の狭間で身動きがとれない人たちを、私たちは励ました」

「水や食べ物を差し入れたが、生存者が求めているのは別のものだ。みんな外に出たがっている。『外に出たい。外に、外に。助けて! 助けて!』と叫び続けていた。がれきをこつこつ叩くだけの人もいた」

道路や空港、通信インフラなどへの被害で、被災地域への救援物資などの輸送が困難になっている。

被災者の困難

被災者たちは、たとえ家が無事でも余震を恐れて帰宅をためらい、屋外で寝泊りしている。

病院も地震と津波の被害を受けたため、けが人も屋外で手当てを受けているほか、少なくとも1カ所にインドネシア軍が野外病院を設置した。

軍は支援物資を空輸し、被災者やけが人を飛行機で脱出させるため、空港の管理を引き継いだ。

慈善団体セーブ・ザ・チルドレンのトム・ハウェルズ氏は30日、「被災者が適切な衛生用品シェルターを得られないまま何日も過ぎると、状況は悪化していくため、我々はシェルターキットを送っている」と話した。

An injured man awaits evacuation at Palu airport, 30 September Image copyright Reuters
Image caption 軍用機で運ばれるけが人
A shattered mosque in Palu, 30 September Image copyright EPA
Image caption パルで倒壊したモスク

被災地の大部分が停電に見舞われており、携帯電話の電波も停まっている。海岸沿いのほかのコミュニティーからの情報はとても少ないが、そうした地域も津波に襲われている可能性が高い。

死者が増えた理由は?

米当局によると、スラウェシ島を襲った地震は28日午後6時3分に発生。マグニチュードは7.5、震源の深さは10キロメートルだった。

この時、多くの人が祭りの準備のためにパルの海岸に出ており、津波に襲われた。

今回の地震は規模が大きかったものの震源が浅く、縦の揺れより横の揺れが大きかった。こうした揺れは通常、津波に発展することは少ないという。

ユスフ・カラ副大統領は、最終的な死者数は数千人に上る可能性があると指摘。赤十字は、被災者は160万人以上と推計している。

Presentational grey line

けが人と遺体が並ぶ救急現場――レベッカ・ヘンシュ、BBCニュース(パル)

パルのマンボロ診療所の外に置かれたストレッチャーに、脚の骨を折った5歳の少女が寝ていた。その場にいたササノ医師によると、この少女は発見されたとき独りだった。

「家族がどこにいるかも分からないし、彼女は住んでいた場所を覚えていないのです」

この診療所は停電し、医薬品も底をついている。

少女の寝るストレッチャーから数メートル先には、遺体の入った袋が並べられていた。腐敗臭があたりに立ち込めている。

ササノ医師によると、遺体は共同墓地に埋められる。病気のまん延を防ぐためだ。

「すでに臭いはじめている。親族が引き取りに来るのを待ちたいが、これ以上は無理だ」

かつて活気のあった漁村があった海岸線には今、がれきの列ができている。

車やボートが大波に揉まれ、住民の持ち物が破壊され、散乱している。そのがれきの横で、被災した家族がテントを張って眠っている。

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(英語記事 Dozens feared trapped under quake rubble

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