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「HelixPico」でついに自作キーボードデビュー:ウェブ情報実験室

ものすっごくカワ(・∀・)イイ!!

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こんにちは、フリーライターの宮里です。

8月に開催されたMaker Faire Tokyo。会場では心くすぐられるものが多く販売されていたのですが、その購入したもののひとつが自作キーボードキットの「HelixPico」でした。しばらく時間が取れずに手を出せなかったのですが、ようやく組み立てました!

実は「HelixPico」の購入が目的のひとつでした

自作キーボードには以前から興味があり、現在使用している「HV-KB390L」を購入する際にも、自作するというのが視野にあったほどです。ここ数年、ウェブ検索や自作キーボードの同人誌などから少しずつ知識を集めてきましたが、調べれば調べるほど、作ってみなければわからないことが増えていきます。そこで、ある考えにたどり着きました。完全自作をするためには、いくつか自作キットを試してみるのが近道ではないかというものです。

とはいえ、何でもいいというわけにはいきません。Aliexpressで「keyboard kit」などと検索すると、市販のキーボードと見紛うほどのキットがいくつも出てきますが、自分が欲しいのは背の低いもの。いわゆるロープロファイルスイッチを使ったものなので、ほとんどが対象外です。最初から選り好みせずにまずは作れよって思わなくもないですが、できあがるのが市販品とあまり変わらないメカニカルキーボードとなると、どうもやる気が......。いや、完成度が高いという意味ではすばらしいキットたちなんですが。

そこで目を付けたのが、遊舎工房さんの「Helix」。ロープロファイル対応のセパレート型キーボードで、OLEDやバックライトに対応するというユニークなものです。何より日本のショップなので、最初の1台としての安心感が違います。ですが気づいたときには既に売り切れていました。


▲超カッコいいセパレート型キーボードのHelix。市販品にはないデザインという点も、自作キットとしての魅力があります。

その後、少しの間自作キーボードのことは忘れていたのですが、7月末あたりでしょうか。「Maker Faire Takyo 2018の会場で新作のキーボードキットを販売するらしい」という情報を入手。Helixよりさらに小さく作りやすいということで、俄然興味が沸いてきます。しかも、他に必要なキースイッチやキーキャップも同時に販売されるとのことで、これなら確実に一式入手できます。

Maker Faire Tokyo 2018そのものも興味があったので、純粋に楽しみに行くついでに購入できるなと考えたわけですが、自分が出不精だという最大の問題が残りました。さらに人混みが苦手なので、仕事がらみでなければこういった会場へ行くのは避けがちです。それならば「行くのを仕事にしてしまえばいいのでは?」と考え、編集部に連絡。無事、「Maker Faire Tokyo 2018のイベントレポートを書く」という仕事にすることで、ようやく腹をくくりました。

ということで、仕事になった当日のイベントレポートはこちら。最後にちらっとHelixPicoを紹介していたのは、この購入が目的のひとつだったからです。


▲遊舎工房さんのスペース。キースイッチのサンプルが並ぶほか、アクリルプレートの違うHelixPicoの完成品が多数展示されていました。

ハンダ付けの回数は多くても、キットそのものはシンプル

ということで無事に入手できたHelixPicoのキット。ようやくまとまった時間が確保できたので組み立てです。

まずはキットの確認から。キットとは別に、キースイッチとキーキャップ(各50個)も一緒に購入したので並べてあります。こうしてみるとパーツ数はあまり多く感じませんね。なお、キースイッチは茶軸、赤軸、白軸が用意されており、好みで選べるようになっていたほか、キーキャップは白と黒の2種類あり、それぞれ刻印の有無が選べました。色々と悩みましたが、最終的に茶軸のキースイッチに白無地のキーキャップを選んでいます。


▲手前の段と中央の基板がキットの中身。左からProMicro、コネクターやネジ類、ダイオード、アクリルプレートとなっています。

▲プラモデルのような、わかりやすい説明書が付属。部品数は多いですが、作業そのものは簡単そうに見えます。

キットというくらいなので、組み立てには工具が必要です。半田ごて、ハンダ、ニッパー、ドライバーあたりが必須の工具で、これ以外に、こて台、ハンダ吸い取り器、ピンセット、耐熱マットなどがあると作りやすいでしょう。

▲工具は手持ちのもので。半田ごては温度固定、もしくは調整機能のある少しワット数の高いものが使いやすいです。あと、ハンダ吸い取り器と吸い取り線は後ほど活躍しました。

説明書を見ながらの組み立て作業は簡単ですが、その数の多さを実感

説明書の手順を見るとハンダ付けしなくてはならない部品数が多いため、ちょっと怯んでしまいます。ですが、実際は単純作業の繰り返しなので、コツさえつかめてしまえばサクサクと進められるでしょう。一般的な電子工作キットのように部品の種類が多いわけでもないので、部品を取り違えてしまう心配も少ないです。

問題は、最初に間違ってしまった場合です。繰り返しの単純作業なので、最初に間違えるとその後すべて間違えてしまう危険があるわけです。とにかく最初は何度も確認し、確認したつもりになるのを避けることが重要。説明書をチラ見して、「はいはい、こんな感じね」みたいな認識は本当に危険です。普通はこうだから、という思い込みで作業を進めるのも、失敗するフラグみたいなものです。

かく言う自分は、ProMicroの裏表を間違えました。2枚目をハンダ付けしている途中でおかしいことに気づきましたが、すでに手遅れ。時間をかけてハンダを除去して部品を抜き取り、裏返して再度ハンダ付けという作業が必要になりました。こんなの、ちょっと確認すれば間違えないようなことなのに......。なんとなくで作業を進めた罰ですね。

ということで、実際の作業をダイジェストで。

▲絶対に間違えてはいけないのが、ダイオードの向き。1つ目で失敗すると50個すべて失敗する可能性すらありますので、何度も確認します。

▲あとはサクサクとハンダ付けを繰り返すだけ。個人的に足は真っすぐ上に伸ばすのが好きなので、そんな感じで組み立てています。なお、写真はイメージです。


▲ダイオードの半田付けが終わったところ。この後、リセットスイッチなどを取り付けました。作業が終わってからも、向きに間違いがないかもう一度確認しておきます。


▲基板を裏返して、スピーカーと抵抗、ツェナーダイオードをハンダ付け。このツェナーダイオードも向きを間違えないように何度も確認です。


▲再び表面に戻して、今度はキースイッチを付けていきます。これはこの向きにしか入らないので、間違えることはないでしょう。浮かないように注意しながらハンダ付けです。


▲ということで、ProMicroもハンダ付けした後がこちら。ProMicroの部品面が表に来ている間違った作業後の状況です。やっちゃダメなやつ。


▲ProMicroからハンダを除去して部品を引っこ抜き、修正したのがこちら。この向きが正しいのです。

この作業を左右対称にもう1セット繰り返せば、HelixPicoのハンダ付けは終了です。この時点でUSBケーブルを接続すれば、キー入力ができるようになっています。試しにPCと接続してキーを押すと、文字が入力できることを確認できました。

ちなみにProMicroはどちらも同じもので、既にファームウェアが書き込まれています。USBケーブルをつないだ方が左手用、オーディオケーブルで接続したほうが右手用となります。

左右別々には動くのに、オーディオケーブルで接続すると動かない

USBケーブルを片方ずつ接続し、動作を確認。右手用は鏡面左手用みたいな動作になりますが、キーを押すと文字が入力されるというのはしっかりと実現されていました。これで、左右とも組み立てに問題がないことが確認できました。

ですが、オーディオケーブルを使って左右のキーボードを接続すると、どうしても右手側が反応しません。よく見ると、3.5mmのジャックが1ピン足りていません。そりゃ動くわけないですよね。っていうか、組み立て時に気づいてましたけど。


▲右が左手用、左が右手用の基板。よく見ると、左の方のジャックにピンが足りないのがわかります。

この時点で替えのジャックは注文したのですが、この完成間近の状態でお預けされて待てるほどガマン強くありません。ということで、とりあえず動作確認さえできればいいので、手元にあった適当なケーブルでハンダ付けしました。そうです、直付けです。


▲適当なUSBケーブルを切って、4本ほど直付けしました。動作確認用の仮付けですから、こんな感じで十分です。

この状態でUSBケーブルでPCと接続したところ、しっかりと右手側からもキー入力ができました。ジャックさえ何とかなれば普通に使えるようになりそうですね。

動作は問題ないのですから、あとはアクリルプレートとキーキャップを付ければ完成という状態。仮付けのケーブルのまま組み立ててもいいのですが、どうせバラしてジャックを付け替えなくてはいけないので、ちょっと面倒です。また、なにぶん適当に直付けしたもので、見た目にも機能的にも美しくないですよね。

ってなことで、どうせジャックが届くまでの間だからと、手元にあった金属片をニッパーで加工して、コネクタ部を修復してみました。修復というとなんかカッコイイですが、やってることは現物に合わせて切ったり曲げたりしただけです。

具体的には、バネになるよう金属片に切り込みを入れて曲げ、ジャックの抜けたピンに入るよう幅を調整。3.5mmの4極オーディオケーブルを挿してみて、接触するよう曲げる角度を微調整してからハンダ付けしました。



▲加工した金属片はこんな形。もっと長い破片を使えばよかったと加工してから気づきましたが、まー、一時しのぎですしね。使えればいいのです。


▲軽く挿して横幅調整。意外と横幅が狭いので、この調整に手こずりました。この後、奥まで差し込みますが、ジャックの内部が見えないまま基板まで足を通さなくてはいけないのは、なかなか難易度が高かったです。


▲オーディオケーブルをジャックに挿して、接触するかを確認。この後ハンダ付けして固定し、テスターで導通をチェックしました。思いつきで作った割にはまともに使えて、自分でも驚いてます。

金属片が短くてギリギリになってしまいましたが、テスターでの導通チェックも問題なし。左右のキーボードを4極のオーディオケーブルで接続して試したところ、バッチリ文字が打てました。ケーブルの抜き差しも問題なく、普通に使えています。耐久性があるとは思えないので接触不良になるまで割とスグな気もしますが、とりあえずの応急処置としては大満足です。

プレートとキーキャップを付けて完成!......でもオーディオケーブルで悩む

まともに動くようになったので、アクリルプレートとキーキャップを付けていきましょう。アクリルプレートは、地味にネジが2種類ありますので間違えないように注意するくらいで、あとは、ビックリするほどネジがギリギリの長さだということ以外、問題なく組み立てられます。キーキャップは固めですが、押し込めば入ります。


▲片方だけキーキャップを付けたところで記念撮影。かわいいし、カッコイイし、自分で作っただけに愛着も出てきてるしで、やたらと枚数撮ってました。

アクリルプレートの保護シートをはがすのですが、この写真はHelixPicoの文字を残すのがちょっとカッコイイかなと思って残していた状態のものです。この約5分後、やっぱりダセェって思ってはがしましたけど。

ジャックが届けば植え替え作業が待っているとはいえ、これでひとまずの完成です。

ここでちょっと困ったことになりました。一応手元に4極のオーディオケーブルはあるのですが、これが長くてキーボード接続用としては使いづらいものなのです。これ以外に短いケーブルも見つけたのですが、4極なのになぜか2本しか結線されておらず、使えませんでした。

せっかくなので、ちょうどいいケーブルはないかとAmazonをあさり、L型の短いケーブル、安くてカラフルなケーブル、マイクなど不要なものが付いてるけどカールコードが魅力の製品の3種類を購入しました。


▲左から「iNTE-SA1069BK」「製品名不明」(4本セット)「CAR-35RMCLLSBK」の3種類。1本でいいのに無駄に買い込むあたりが、ちょっとアレです。

カールケーブルの「CAR-35RMCLLSBK」は、マイクやスイッチなどが付いているので使えないかもしれないと思っていたのですが、試してみると問題なく使えました。すでにメーカーでは終了品のようで、500円を切る投げ売り価格になっていたため、ちょっと得した気分です。

3種類のケーブルを実際に使ってみて気づいたのですが、カールケーブルはある程度伸びるので左右セパレート型のキーボードにはピッタリです。ただし、ケーブルが太くて意外とジャマ。使うシーンによっては逆に使いづらく感じてしまいそう。

L型の短いケーブルはスマートですが、見た目が地味なのと長さに余裕がないのが気になります。色だけでいえば製品名不明のケーブルがいいのですが(4色入ってましたし)、1.5mとやたらと長いのが問題ですね。

その日の気分で付け替えて使っていれば、そのうち気に入るものが出てくるでしょう。なんだったら、また別のケーブルを買ってもいいですし、改造するのもありです。

まだ使い始めて間もないので、思ったように打てないのが悩み

こうして無事にHelixPicoが完成し、キー入力できるようになったのですが、実はこの原稿はHelixPicoではなく別のキーボードで書いています。なぜか。その理由はとてもシンプルでして、まともに打てないからです。

その原因はいくつかありますが、とくに違和感があるのは縦横キレイに並んだキースイッチの配置。これは手が覚えている配置と違うことによるものなので、慣れるまでどうしようもないです。とにかく使って体に覚え込ませるしかないですね。

もうひとつが、純粋にキー数が少ないことによるもの。RaiseキーとLowerキーとの組み合わせで入力することも多く、どのキーを組み合わせれば何の文字が打てるのか、配列カードを見ないと分からないのです。最終的に文字配列は自分好みにカスタマイズしてやろうと企んでいるとはいえ、まずはデフォルトに慣れてからだと思っているので、とにかく練習あるのみです。配列カードを見ながらだとなかなか厳しいので、そのうちキーキャップにマジックで書いてしまおうと思っています。


▲慣れるまで難しいというのは遊舎工房さんでもわかっているようで、親切にも配列カードが付属していました。これを見ながら練習です。

なお、まともに打てませんが今のところ不満はありません。自分で作ったという愛着と、何よりここまでコンパクトだというのがうれしくて、見るだけで許せちゃうくらい気に入っているからというのがその理由。手のかかる子ほどかわいく見える親バカの心境でしょうか。

また、たどたどしくしか打てない状況がPCを初めて手に入れた頃の感覚に近く、やたらと新鮮で楽しいんですよね。普段、どれだけ無意識にキーボードを打っているのかという証拠でもありますが、この気持ちを大切に、ストレスにならない範囲で少しずつ慣らしていけたらなと思ってます。


▲現在、特殊なキーのキーキャップは黒に変更。これだけでも、意外と打ちやすさは変わります。

慣れてきたら、ちょっとずつ改造もしていきたいですね。配列の見直しもそうですが、ケースやらケーブルやらも手を加えたいですし、キーキャップの自作なんかも楽しそう。難しいとは思いますが、やりがいはありそうです。そしてゆくゆくは、キットではない自作キーボードも作ってみたいものです。

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