ペンシルベニア州立大学の研究チームは、大きな粒子を通すが小さな粒子を通さない、不思議な性質のフィルタを開発した。
一般的に何かを濾過(ろか)するフィルタは、小さな穴が数多く開けられた一種の膜であり、その穴の大きさよりも小さな粒子を通し、大きな粒子を通さない。ところが、研究チームの開発した膜は、これと逆に大きな粒子を通し,小さな粒子を通さない。
開発した膜は、大きな粒子がぶつかるとその運動エネルギーを受けて破れるため、その粒子を通す。小さな粒子がぶつかる場合は、受ける運動エネルギーが小さいため、壊れずに粒子を通さない。さらに、膜は自己修復性を備えており、大きな粒子が通過して破れてもすぐ元の状態に戻るため、フィルタとしての機能を維持できる。
この膜は、生物の細胞膜と似ていて、液体を安定化する物質が水を挟む構造をしている。液体や物質の成分を変えることで、フィルタとしての寿命を延ばしたり、特定の気体を通さないようにしたり、といった機能が付加できるという。
研究チームは応用例として、手術などの医療行為を実行する際に、傷口への細菌やホコリの侵入を防ぎつつ、メスや鉗子(かんし)といった医療器具の動きを妨げない保護膜が考えられるとした。また、水洗設備のないトイレにおいて、水や汚物は通すが配管からの悪臭は通さない、というフィルタにも応用可能としている。
開発したフィルターの紹介ビデオ(出典:ペンシルベニア州立大学/YouTube)
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