フロイドの狂気日記

いつ走り出すか誰も教えてくれなかった、お前はスタートの合図を聞き逃したんだ!

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ZOZOの社長が頑張るほど貧困は拡大していく

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貧困支援、災害支援、月面着陸でも何をしてもいいと思うんだが、ZOZO社長が頑張って働いて、規模を大きくすればするほど貧困は拡大するだろうと思われる。

 

これは例えば「サピエンス全史」「ホモ・デウス」を書いたユヴァル・ノア・ハラリなんかが言っていることではあるが、人類はどんどんオートメーションを進め、人工知能なんかが大幅に人々の仕事を減らしていくだろうと。

 

アメリカの学者たちがトランプの移民が仕事を奪うという発言に対して、仕事を奪っているのは機械であると反論する。今後の科学はほぼ人間の仕事を奪っていくというふうに解釈されているし、多分そうなんだろう。

 

ZOZOの社長が新しい技術を利用して、富を手に入れたことである。ZOZOはwebで服を売る仕事だが、旧来の店舗販売や百貨店の服を売る人たちが売上を下げていく中で、彼らが上昇していくのは、ZOZOがテクノロジーを利用して大幅に人のやる仕事を削減しているからに他ならない。

 

彼らがさばく服は本来なら店舗を構えて人を雇い、ランニングコストを負担しながらやってきたことだが、ネットのテクノロジーによってかなりの部分の負担を抑え込んでいた。それこそが21世紀のビジネス成功の基本なんだろう。

 

今までの仕事をどれだけオートメーション化で削減できるか?

 

これをうまくできた起業家は巨万の富を得るし、投資家を惹きつけられる。その裏でたくさん人達が失業するということだ。今までの仕事がなくなっていくのだから。そのため社長が善意でバスキアを美術館に貸しても、三陽商会をリストラされて辛い目にあったサラリーマンは美術館の特別展示の料金さえ払えずに、呑気に芸術を見る時間があるならZOZOの倉庫で低賃金のバイトをせざるを得ないというわけだ。

 

ZOZOの社長が発展途上国に寄付したりするのは立派だが、彼らが失業させる人々の富に比べれば微々たるもんだろう。だがZOZOの責任というわけではない、資本主義のルールがそうなのだ。ZOZOがやらなけりゃ他の誰かがやるだけだ。

 

そして発展途上国に寄付したりしても、それ以上に彼らは苦しむ。という人もいる。というよりオートメーション化による失業の波は発展途上国の方が影響があるのではないか、と。先進国は今ままでの資産があるから格差が拡大するかもしれないとしてもその影響を抑えられかもしれない。発展途上国は豊かになる前に、自動化の失業に耐えられないかと言われる。すでによく知られているが、新しいテクノロジーを率先するGoogleFacebookは売上・規模ほど雇用を生み出していない。なので新しいテクノロジーはおそらく発展途上国の大量の国民を豊かにしないかもしれない、と。

 

ZOZOの社長は平和を願っているかもしれないが、科学の進歩がどうやら雇用を生み出さないのなら、貧困はどのようにして解決するのか。貧困こそが暴力や不満爆発の温床なのだから平和など訪れんだろう。先進国は今でも新しいテクノロジーの規制を模索している。ヨーロッパがその主戦場のように見える。Uberなんかのギグ・エコノミーを生み出す企業を規制し始めているし、個人情報の保護についても強化していくようだ。そんな時代を予見してかビル・ゲイツはロボット税を取れとも言っている。

 

それでもテクノロジーは発展する。先進国は再分配の強化で乗り切るかもしれない。だが最初から分配する富も企業もない途上国はもっとシビアな状態に追いやられるかもしれない。日本が戦後大発展を遂げたような、そういった大規模雇用は今後、存在しえないからだ。

 

そんなわけでZOZOの社長が頑張れば頑張るほど、仕事を通じた再分配がなくなっていき、先進国も発展途上国もどちらも中間層が没落し鬱屈した人の群れが見られるだろう。なので社長のいう平和というのはお気楽な理想か、パフォーマンス用の標語といったところのように思える。

 

とはいえZOZOが発展しなくても、結局は他の企業がそれをするのだから、大量失業や低賃金の不安定社会の到来は避けられないだろう。だからといって一企業がハイテクノロジーへの投資を辞めるとどうなるかというと、他の企業に競争で負けて売上が小さくなって悪くすると倒産という憂き目にある。

 

とまあ、21世紀は時間が進むに連れて仕事を通じた再分配は機能しなくなっていくようなので、世界全体の収入の低下が進んで沢山の人達があまり豊かでなく不満をつのらせて不安定化するのではないかと予測できる。その片鱗はすでにEUアメリカで顕著である。

 

ZOZOの社長はバスキアを買っても、月に行っても、発展途上国を支援しても誰からも文句を言われる筋合はない。ただし彼が今のビジネスシーンで最も大事なオートメーションとITへの投資をし続けるほど、世界中平和や争いのない社会は遠のくだろうという事は言えるだろう。