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評価経済社会など来ない

お世話になっております。
IDOMの直人です。

最近、ネットを散策していて「評価経済」という言葉をひさびさに見かけました。

ここ1年以内の論評を調べてみると、どうやら「VALU」や「Timebank」といった、個人の (将来も含めた) 価値や時間を売買するようなサービスの勃興と共に改めて話題になっているらしい。

このコンセプトを知ったのはもう10年近く前だけど、当時からなんだかもやもやした気持ちを抱いているんす。勢いに任せ、当時のノリでブログでも書いてみるか、という気分になったので書きました。

「評価経済社会」に対する論調とわたし (2011)

この言葉を聞いたのは、たしか2011年〜2012年ごろだったと思う。岡田斗司夫さんが著した「評価経済社会 ぼくらは世界の変わり目に立ち会っている」という書籍を友人に勧められて読んだのがきっかけだった。

リーマンショックに端を発した経済不安、そこから発展した貨幣経済への反感。ネットではソーシャルメディアによる個人のつながりが可視化されたり、個人が発する情報が力を持ったり、競争戦略のお家元である経済学者が企業の社会的責任を発展させて社会との共有価値を謳ってみたり。とにかく資本家から社会、それを構成する各個人へ、パワーバランスがどれくらいかわからないけど動いた時期である。

身内の反応

「貨幣経済の時代が終わり、評価経済に移行する」という表現は2011年IT業界ビジネス職の気分にフィットしていた。特に、ソーシャルメディアを使って企業を超えた横のつながりが生まれた社会人コミュニティにおいて「評価経済社会」というコンセプトの受けはよく、会社組織のルールがない中で「評判」が個人の信頼性を担保するようになっていたのは一部界隈では事実だと思う。

いちおう読んだ

前述の書籍について、当時かすかに話題になっていた「The Power of Social Networking: Using the Whuffie Factor to Build Your Business (タラ・ハント)」に出てくる「ウッフィー」のようなコンセプトを期待して読んだが、岡田氏の著書はどことなく随筆のような趣があり、コンセプトは前半ですぐ終わって後半は一歩踏み込んだ具体的なそれ系ビジネスのススメで根拠は著者の体験談、という印象 (要するに忘れた)。

その後、Cyber Agent の渡邊大介さんが Shake 100 という勉強会で 岡田斗司夫さんと、一橋MBAの 楠木建 先生のセッションを企画していたので聞きに行った。楠先生のアフリカ時代の体験談は先生の人柄を考える上でファンとして楽しかったのだが、評価経済についてはどちらかというと現代風セミナービジネス指南のような話だったと思う(要するに忘れた)。

定量化はよっぽど客観的な人以外にはお勧めできない

前置きが長くなったので結論だけ先に書いておくと、私は今も2011年当時も「評価を定量化することは、定量化できない部分の価値を見誤る危険性をはらむので深入りしない方がいい。ネタでOK。」という気分だ。

知らないところで失っているもの

「定量化できない評価」とはなんなのか。例えを挙げてみる。

2011年当時、私はあるショッピングモールのメールマーケティングについて、関係者とディスカッションをしていた。そのECモールでは、利用者を複数のメルマガにオプトインさせ、店子さんから費用を徴収してメールマーケティングを行う、というビジネスモデルで大きな収益を上げていた。メールについては当然 A/Bテストや効果測定を行うが、個々の施策の成否とは別に年々メールの反応が鈍くなるというネガティブなトレンドがあることを、だれも口にしないが中の人たちは薄々勘付いていた。

「お客さまが、心から欲しいと思う情報を提供する」というスタンスではなく、「こっそりメール送信のチェックボックスを入れさせ、迷惑メールになったとしてもとにかく大量にメールを送りつける」といった、MoMを追う短期的な成果主義のツケが、ゆっくりとそのビジネスの本当の資産である「数千万件に及ぶ大量の顧客へのリーチ」を蝕んでいた (可能性がある)。

このトレンドを感じていた人間は少なくなかったが、定量化できないがゆえに上層部にエスカレーションされることはなかった。マーケティング施策の作用 (CTRやCVR) や反応は定量化しやすいが、反作用 (「ウザいから迷惑メールへ」) やブランド価値の毀損 (「ここキライ」「もう使うのやめよ」) といったものは定量化しづらい。

数年後、外部機関の独自調査で、ブランドの毀損は可視化される (私からんでないけど)。

競争戦略?的な余談

ちなみに前述のような話になると、「競争戦略とは、誰から好かれ、誰から嫌われるかを明確にすることだ。同社のマーケティング手法が気に入らない人が離脱する、というだけであれば戦略としては正しい。」という反論がある。

この反論は、ある程度、前提知識がある人から出てくるので、前提知識がある前提で自分の意見を述べると「顧客が純増する成長フェーズであれば問題ないと思う。ただ、新規獲得効率が落ちているフェーズでは維持率やリテンション、リードナーチャリングを重視するのは普通」だと思う。

ただ、短期的に成果の出せる刈り取り施策やプッシュ施策は麻薬のように魅力的で、組織がそれに慣れきってしまうと止めた時の禁断症状は大きく (ドーピングをやめた正常な状態の方が売上が低いから) 、なかなか抜け出すことができなくなってしまうのも心情的によくわかる。

ケースバイケースだし、本エントリの趣旨ではないのでこれ以上は言えない。

可視化が意図せず罠となるケースもある

人は、目に見えるわかりやすものに注意を奪われる。情報に触れても、自分に都合のよい情報だけを捉え、都合のよいように解釈し、都合のよい部分だけ記憶する、そういったバイアスの塊が人間なのだそうだ (これは昔、トライバルメディアハウス代表 池田紀行 さんの著書で教えられた) 。

だからこそ、目に見えないものには意識的に注意を払いたい。

Facebookの「いいね」や、ビジネスで言えば単月利益、ウェブサイトであればPV、広告で言えばCPA。これらの数字は真実であるが、因果を全て説明するにはほど遠い。

事業をやっていて、「今月の数字が良かった」ということがある。これは今月のマーケティング施策がよかったという直接的な要因がある一方で、半年前の戦略的な判断だったり、1年間のスタッフの努力だったり、メディアでの露出が増えたことによるお客さんの理解深化だったり、サービスの品質向上に日々努力した結果の積み重ねだったり、といった間接的な要因が、わんさか存在する。逆に「今月の数字が悪かった」時、直接的な施策だけでなく、マクロな外部要因や、普段から顧客やそこに至らないリードに対する接し方、自分の心の持ち方まで、事業を取り巻くあらゆる要素の影響を省みるべきだろう。

目に見える数字や評価は氷山の一角だということは、心に留めておきたい。見えている範囲で起こる事象に目を奪われ、広く深く観察する冷静な目を持たなければ、ただでさえ個人の理解が及ばない広大なこの世界で、大きな流れを見失う恐れがある。

道標

この国には、例えば「袖すり合うも他生の縁」「善意は人のためならず」「因果応報」など、「縁起」にまつわる古来からの教えが数多く存在し、油断するとすぐに、我欲に身を任せ享楽的な快楽を貪ってしまう私達を戒めている。

その人の立ち居振る舞いが、ネットにのって千里をはしり、都度サーバに刻まれる日々を生きる現代の私達だからこそ、ここは一つ基本に立ち返って、自分の価値観と真摯に向き合い、自らを律したい。何も「よいことをしろ」と言っているというわけではない。1ヶ月後、10年後の自分が振り返った際に恥ずかしくない、筋の通った生き方を心がけよう、というだけだ。私自身も奇行種であり、狂った価値観に基づいた異常行動もあるし、育ちの悪さから来る屈折した認知の中でもがいているが、自分ひとりで生きているわけではない以上、周囲への影響には配慮したいと思っている。

終わりに

タイトルの「評価経済社会など来ない」ですが、「今と変わらんのでは」というオチでした。まあなんでもいいけどね。

今の評価っていうのは、結果でしかない。それが醸成される過程は目に見えないからこそ、自分で律していかないといけないと思う。そして見えないからこそ、自分の信念が、意志が試される。評価を意図的にコントロールするのもいいけど、可視化されない「評価の負債」にも気をつけなさい。本当に意識すべきは、口数の多い少数派ではなく、物言わぬ多数派だ。彼らの心にオリのように溜まった感情は、大きなうねりとなって人生に干渉してくる。「運」とか「縁」とかの類は、そういうところから来るのだと思っている。

そういえば、昔のこと調べるのにググっていたら当時の知人が評価経済社会についてブログを書いているのを見かけた。
http://techse7en.com/column/195/

当時は某隊長のところにいると言っていたが、その後ECの人になっていた。今どんなことを考えているのかな。

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