大企業・製造業の景況感3期連続悪化 日銀短観

2018/10/1 9:07
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日銀が1日発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)は、企業の景況感を示す業況判断指数(DI)が大企業・製造業でプラス19だった。前回6月調査のプラス21から2ポイント悪化した。悪化は3四半期連続だった。3四半期連続の悪化は、2007年12月調査から09年3月調査までの6四半期連続の悪化以来となる。台風21号や北海道地震など相次いだ自然災害や、原材料価格の上昇などが業況感を下押しした。石油・石炭製品や窯業・土石製品、繊維などの悪化が目立った。

業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いた値。9月の大企業・製造業DIは、QUICKがまとめた市場予想の中央値であるプラス21を下回った。回答期間は8月27日~9月28日で、回収基準日は9月10日だった。

3カ月先の業況判断DIは大企業・製造業がプラス19と横ばいの見通し。市場予想の中央値(プラス20)を下回った。先行きについては米国と主要国との貿易摩擦が激化するとの懸念が根強く、生産用機械などに慎重な雰囲気が残っている。

18年度の事業計画の前提となる想定為替レートは大企業・製造業で1ドル=107円40銭と、実勢レートより円高・ドル安だった。

大企業・非製造業の現状の業況判断DIはプラス22と前回を2ポイント下回った。業況感の悪化は16年9月調査以来8四半期ぶり。台風や地震など自然災害の影響と、それを背景とした国内外の旅行客の減少、人手不足による人件費の上昇などコスト増が逆風となった。3カ月先のDIは横ばいのプラス22だった。

大企業・全産業の雇用人員判断DIはマイナス23となり、前回(マイナス21)から一段と低下した。DIは人員が「過剰」と答えた企業の割合から「不足」と答えた企業の割合を引いたもので、マイナスは人員不足を感じる企業の割合の方が高いことを表す。1992年調査(マイナス24)以来およそ26年ぶりのマイナス幅だった。

18年度の設備投資計画は大企業・全産業が前年度比13.4%増と、市場予想の中央値(14.2%増)を下回ったものの、6月調査からの修正率は小幅にとどまった。収益の増加傾向を受けた企業の設備投資意欲は強く、人手不足を背景にした省力化投資の需要も追い風となった。

〔日経QUICKニュース(NQN)〕

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